抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

世界中の誰よりきっと「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はMCU最新作。7月にはもうラブ&サンダーですね。早い。それにしても、公開して1週間もしないうちに鑑賞しに行けたのに、すっかり世間からは置いて行かれた印象です。みんなGWとはいえ行き過ぎィ!

Doctor Strange in the Multiverse of Madness Official Trailer Music (Doctor Strange in the Multiverse of Madness Soundtrack)

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

(以下ネタバレ有)

1.怖いけど編集が速いからセーフ

 当初はMCU初のホラーって言われていた作品で、ホラーかよ、怖いのやだよ、なんて思っていた中でのサム・ライミ就任。死霊のはらわたシリーズなんかのホラー色が出るのか、スパイダーマンの方向の色が出るのか、レーティング含めて、当初の予定より多分ホラー色が薄くなったのでは??感を期待しつつ、見に行ったらやっぱり思ったよりは怖くなかったですが、文法はめっちゃホラーでした。

 イルミナティ惨殺シーンのところのヴィラン感は凄まじく(やっぱインビンシブル最高!)、カマー・タージ襲撃時の悪者っぽさ、鏡の中からやってきて(そんな能力あったっけ?)その中に引っ張り込むやつとか、ビシャンティの書がある場所にたどり着く前のところのホラーアイコンが追っかけてくるっていうのとか、うん、ふつーに怖いですよっていう。ただ、今回普段のMCUよりも更に格段に編集のテンポが速くて、いい意味で感情を置いてって次のシーンに行った感じで、ホラー弱者にはありがたい限りでした。無論、その分をキャラへの愛着で持って行く(まあ続編なんて大概そんなもん)

 あとバトルは楽しかったですね、基本。何でもありの魔法バトルなんだから、モルドと格闘戦なんかしてるんじゃねぇよ、とか思ってたら、第三の眼が開眼していたストレンジ(シニスター・ストレンジっていうんだって)とのピアノ激突からの楽譜バトルはtakt.op destinyの実写化じゃん!!と思わなくも無かったりするワクワクバトルでしたし、取り敢えず殴るだけでポータルが出てくるように覚醒したチャベスさんのもかっこいい。

2.ストレンジの続編として

 後述するような、アベンジャーズ的なサーガの中でキャラクターを動かすとどうしても映画っていうメディアとしては難しいところも出てくるっていうのはおそらく同意が取れるところだとは思います。MCUにおいては、明確にアベンジャーズIW/EGの話を避けられず、ストレンジはNWHでも出番が多かった。

 それにも関わらず、本作は見事にドクター・ストレンジの2にすることに成功している、と思いました。ストレンジはなんでもアリの魔法使い、でも傲慢で、劇中の言葉を借りれば「自分でメスを握らないと気が済まない」人物。クリティーン・パーマー続投に伴った彼女の結婚式への出席への時点で、ストレンジおまえ…な感じは否めないんですが、マルチバースのクリスティーンにも告白してて、おいおいっていうね。結局、ストレンジはダークホールドを読んじゃって対抗する策を取るんですが、そういうところも含めて、マルチバースだろうとお前はお前だし、みんな違う可能性に見えて根源は同じじゃね?みたいなストレンジ。で、それは反転してヴィランと化したワンダにも当てはまっていて、色んな世界のワンダの中であたしだけ、みたいなのもいやでも一緒だよ、っていうところと、でもちょっと変われるよ?のところが良いバランスで結論に向かっていったように思えました。スパイダーマンはやり直せるよ?だったけど、今回はやり直すより今幸せ?なの、少し面白いですね。でもそれは監督次第、脚本次第、もっと言えばコミックで積み重ねてきた歴史次第なんだと思います。答えなんかないからバラバラでいい。

 闇落ちは可哀想だけど、ワンダヴィジョンの時点でヴィジョンを諦められた代わりに息子への執着を手に入れちゃってるし、スカーレット・ウィッチという名前でヴィラン認定されたんだから、このプロセスは必定。ワンダヴィジョンはマイナスをゼロに戻しただけで、ヒーローには戻ってないからね。どっかでヒーローに戻れるのか、あるいはこれでおしまいなのか。

 話がワンダに逸れましたけどね、ストレンジは最後に壊れた時計を直す訳ですよ。見事に、1で止まった時間を動かすことに成功している訳で、いやここまでオリジンじゃないですか!

3.MCUの今後とうっせー連中の話

 さて、今回の映画で結構明確にMCUは大きな転換点というか、宣言をしたな、と思います。

 個人的には、映画を作るのではなく、世界を作る方に軸足を変えてきてるっていう。イメージとしては本棚。でっかい本棚を作って、今回は映画という媒体でこの号の話をしますよ、今回はアニメという体制でこの話をしますよ、次はこの世界をドラマでやりますよ、っていうコミックの具現化。いちから全部作っているっていうよりかは、もうあるものを3次元にも起こしていく、っていう作業。私は知っている単語でしたが、インカージョンとか、ビシャンティの書、ダーク・ホールドみたいな専門用語をバンバンだし、マルチバースの概念を導入し(ロキでかなり丁寧に説明したとはいえ)、インヒューマンズやX-MENも概念としては導入。なんか説明もなく存在したリントラなんかの存在も象徴的。だから、Disney+のドラマを見ていないと分からないものは映画じゃない、とかいう批判は全くあたらない、というか、頭の固いこと言ってんじゃないよっていう。映画っていう媒体の変容か、そこからの概念の止揚に近いことをやろうとしていているだから、黙って祭りにはついていきたい人が行きなさいよ、と思います。「間口が狭くなることを懸念します」懸念してんじゃないよ、お前は作り手か。我々は徹頭徹尾受け取り師なんだよ。文句を言うのも料金のうち、感想は各々。でも未来を創ってるのはこっちにボールないから。な。

 同様に、そういうアンチDisney的な方向とは真逆に面倒な連中が、ファンです。デアデビルとキングピンのカムバックそれ自体は私は嬉しいですが、それ以外のネトフリドラマ組もリキャストしないソフトリブートを要求したり、エージェント・オブ・シールドのキャラクターの続投を要求したり、ウルヴァリンヒュー・ジャックマンにまだやってもらおうとしてたり、はっきり言って五月蠅いんですよ。別の運営組織が作ったものをマルチバースで導入できたスパイダーマン自体が特殊な訳で、おまえらマハーシャラ・アリが決まった時に、ウェズリー・スナイプスにしろと文句は言ったのか?デアデビルがチャーリー・コックスで作られるときにベン・アフレックにしろ!って言ったか?なんでここ最近のだけ特別なんだ?

 そういう連中を黙らせるのがイルミナティ惨殺だと思ってます。奥さんのエミリー・ブラント含めてファンキャスティングが騒がしかったジョン・クラシンスキーのリード・リチャーズ、アニメで見せといたキャプテン・カーター、説明なくキャプテン・マーベルになってるマリア・ランボー、そしてドラマから直輸入のインヒューマンズのブラックボルト(テリジェンミストって言ってた!)に、FOX版と同じ俳優のやるプロフェッサーX(でも椅子が違うから別人)。こいつらを出しておいて瞬殺することで、はい、お前らの言ってることは叶えたからね、こっちはこっちのやりたいことをやりたいようにやりますよ、っていう、そういう宣言じゃないですかね。ケヴィン・ファイギがいるうちはそれでいいんですよ。ネイモアだけ形すら見せないのもそういうことなんじゃないですか?個人的には、ドラマ組をブラックボルトでやっただけ優しいとすら思いますよ。多分もう一回、シークレット・インベージョンで復活したあのキャラが化けてた敵でした!殺す!をやると思います。それでいい。

 まあ、そうはいっても、エターナルズもそのあと稼働できないし、NWHもピーターのことを知らない世界にしちゃったし、今回もストレンジはクレアに連れていかれてダーク・ディメンジョン(だったよね?)に行って、ワンダは生死不明。このあとどうにでも出来るようにうまーく終わらせてますよね、各作品。