抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

多分みんな大好き「コーダ あいのうた」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はApple TV+にて全米配信されて、結構アカデミー賞有力候補になっている「コーダ あいのうた」の感想。日本では配信じゃなくて劇場公開なんですね。Apple TVの浸透度がそこまでじゃないのでありがたい。

 ちなみに、公開日は勿論、1/21なんですが、2021年のうちに試写会で拝見したので、テンションは2022年の1本目の映画のテンションで書いています。公開される頃には「ハウス・オブ・グッチ」とか「スパイダーマン」を見ているんですよね。まじかよ、これ公開になるころもうNWH見てるのか。取り敢えず、まだネタバレはくらっていません(12/19時点)→食らわずに最速上映を勝ち取りました。まあ映画の感想は既に記事があるのでそこで。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.とにかくキャラの強い登場人物たち

 愛すべきバカ、と言っていいでしょう。本作の登場人物たちはみんなしてバカばっかで、大変いいキャラをしております。やはり何といっても主人公のルビーの家族ですよね。父・母・兄の3人は障害を抱えてはいますが、それぞれ非常に主張が強く、っていうかお前ら下ネタ好きすぎるだろ、と文句を言いたくなるレベルで、ルビーちゃんめっちゃ大変だったな、と思わず肩を抱きたくなります。ずーっとなっていた2つの音が兄のスマホで出会い系で〇と×みたいな音だったとは(ラランド・ニシダのTinder概論で見た気がする風景だった)

 そして、出だしはすっごい強烈に巻き舌をしてくるベルナルド先生、もといMr.V。なんか距離感近いし、みんなの前でオットセイでしたっけ、その発声を腹式呼吸の練習でやったりしてて、ちょっとハラみがある…みたいな警戒をしていたんですが、めっちゃ真っ当な人。ルビーの可能性を見出して、ちゃんと教えるし、ちゃんと向き合うし、でもそれも自分の発表会のためでもあって、完全な善に見えないビジュアルだし、でいい塩梅。挙句の果てに、大学受験の発表会でピアノの伴奏するけど反則スレスレの無理やりミスって緊張ほぐすみたいな荒業しちゃって、もうこの人好き!!ってなる。合格もすっごい喜んでくれてたね。

2.多数派、とは

 この作品の前提になっていることっていうのが、ハンディキャップをハンディキャップとして捉えない、というか、捉えられないように設定を作っているのが上手い。即ち、家族、という母集団においては聾唖の方が多数派であり、メインの言語が手話っていうことを見せるのが非常に上手い。漁船でのやり取りもだし、最初の食卓ですよね。食器の立てる音とか、聞こえない、っていうことの提示がスムーズかつ万全。

 で、そこから港における少数派、にしておいて権力に対する多数派っていうのとか、音楽を聞こえない、に合わせてきたことで多数派だった家族のみんながコンサート会場では一気に少数派になる。まるで何をしているのか彼らには把握できないし、拍手とかも全部ズレちゃう。それでも来てくれるから愛情っていうのも分かるし。で、それを見せたから、手話も同時にやったっていう大学受験の試験披露に繋がっている。いやー、シンプルに心を打つよね。

 


 ただ、ギャグにはしてるんだけど、セックス2週すんな、を守れない夫婦、そこかしこでヤってて出会い系もする兄貴、みたいなクソ家庭環境、学校に通いながら3:00起きで漁に同行してから学校、っていうシンプルに搾取な構造の家庭の時点でちょっと引っかかるよね。そりゃ、彼女がいなくて監視員にチクられたのは分かるけど、自分の娘、しかも就学児に頼って維持される産業はアカン。健聴者を常勤にしろ、は正論でしかねえ。障がい者に対する合理的配慮は必要だが、個人事業主だしなー。

 ってことで、これは多分みんなが好きなんだろうな、とは思うんですけど、全然賞には値しない映画、っていう印象です。2022年の映画鑑賞及び、アカデミー賞予想に向けていい基準点になったような気がしています。