抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

ドラマの方が好きでした「前科者」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はFilmarksの試写会が当選したので、公開日迄2週間ほどある此方の作品の感想を先に提出になります。

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WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

(以下ネタバレ有)

 

1.ドラマ版の感想

第一話

 今度やる映画の前に、保護司を始めるところから3つのケースを2話ずつかけて見せていく。保護司という仕事のポジション、やることを明示する導入の役割もしながらも、しっかり予測されうることをイベントとして起こしている。映画の前とか後にやるWOWOWとかのドラマはこれみたいにアマプラとかで期間限定でいいからやってくれると助かる…けどそうしたらWOWOWが儲からないか。
 有村架純の怒鳴ったりする演技も初めて見たし、盟友となる石橋静河も抜群、5.6話の古川琴音もまた評価を更に上げた。映画も楽しみ。

2.ドラマ版と比較すると…

 ドラマ版と比較して、圧倒的に足りないな、と感じたのが軽さ。それはある意味で、お仕事ものとしての軽さもですし、全体的にウェットになりすぎてるな、っていうことも含めて。

 はじめは、色んな保護対象者との話を見せていくので、あくまで主軸となる森田剛だけに限らず、保護司の仕事とは?みたいな導入がちゃんとされている。ちょっとそこが長いっちゃ長いんで、事件が起きるまで結構かかるんですが、そこはまあ好み次第のレベルかな。

 拳銃強奪事件、街中での射殺と2人目の被害者が出るまでは、事件の描写も散発的で、全然佳代の生活に絡んでくる感じがしない。そしてあからさまなフードを被った犯人。森田剛演じる工藤が犯人だって方向にミスリードしたいのかな?と思ったが、3人目の殺害はしっかり見せてしまうので、工藤ではなく、銀髪若葉竜也がやったことが観客には明確になってしまうので、ミステリとしてもちっとも機能しない。

 犯人が分かってるんで、警察に殺人犯扱いされた工藤を信じる佳代っていう構図が見られるのかな、と思ったらこっから物語は、佳代が保護司になった理由にあたる、磯村勇斗との因縁というかラブロマンスというか、みたいな話になってて…???はっきり言って、磯村くんとの話は全部バッサリ言っていいっていうか、やらない方が彼の印象の為にも良かったと思います。なんか、自然消滅した元カノとヤレそうだから押し倒して謎にベロチューして、その後はなんかずっと殺人犯だ!ってうるさい(観客は工藤が真犯人じゃないのを知っているからヘイトしかたまらんし)、そのうえで、まあそりゃ事情は理解できるけど、彼の側が佳代に死ねと思っていたことへの謝罪みたいなのもなくて、佳代の方が譲歩する形になっていて、ほんとクソみたいな男だな、で終わってしまう。マキタさんはまあ本人通りのいい老害でしたけど、バディ組むなら相手は対称的な若者像の方がいいっすよ。

 割と変な編集なんですが、それで執拗に回想とか出してきて、はい!ここでこう!みたいに重くしてくるのも合わなかった。しつこい。

 結局、良いな、と思える絶品のキャラ石橋静河に対してそう思えるのもドラマの1話から出てきての蓄積なように思えちゃって、うーんそれってこの映画の得点なのか、わっかんねぇ。

3.感情の誘導。有村架純2度目の被害

 はっきり言って、この映画、導入が最悪でした。導入と言っても映画の導入ではなく、試写会で拝見した際の導入。宣伝プロデューサーの方が始まる前にお話になられたんですけど、泣けるとか、浄化されるとか色々こっちの感情を先取りしてしてくるようなことを言ってきて、はっきり冷めました。いや、いいから見せろよ、それはこっちで判断するわ。「コーヒーがなんちゃら」の時もそうですけど、有村架純は可哀想ですね、自身と関係ないところで余計な先入観を持たされて。

 でまあ、実際に試写会場で泣いてる人はいましたよ、確かに。工藤が弟の復讐を継ごうとして、弁護士に襲い掛かろうとした瞬間からの佳代からの説教。森田剛は鼻水たらして見事な熱演をしていたと思うし、それに感極まってしまう方がいるのは分かります。でも、コイツ今人殺そうとしちゃったんだし…みたいなのがノイズになっちゃって。あと、保護対象者が罪を犯してしまう、っていう文脈でいうと、ドラマ版5・6話の古川琴音さんの役の方が可哀想度&泣ける度は圧倒的に高いと思わざるを得ない。

 んで、結局これだけ泣けます!コンビニバイトの仕事を犠牲にしてまで、滅私奉公で佳代は頑張ってます!が泣けるポイントのひとつだとは思うんですが、そこへの批判的視座が無いのは、うーん、どうなんでしょう。これほどまでに大変な仕事を無給でしている、善意の搾取が構造化している社会や政府への批判的視座なく、佳代の頑張りを感動の材料にするのは、実際に活動されている保護司の方に対しても失礼、というか、うーん、納得がいかない面がございました。

 あとね!いくら自分の親を殺されても、図書館の本にラクガキしちゃだめ!そしてそれをこっそり持って帰っちゃダメ!更に数年も経ってから本棚に戻すのもダメ!という変な本に関するアレにも引っかかりました!学校司書さんは混乱しまくってると思います。