抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

そこにある悪からの脱出「ただ悪より救いたまえ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 まだまだ2021年の宿題が残っています。クリスマス公開でみんなレイジング・ファイアと2本連続で見に行ったりしてて凄い。

Deliver Us From Evil [Blu-ray]

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

1.不思議な照明

 まずは日本のヤクザ是枝大輔なる人物を殺すファン・ジョンミン演じるインナム。アバンで仕留めるが、なんか家の中がずーっと暗い。そう思ってると、アバンの後の殺し屋リタイアものということで、パナマパナマどこよ!コスタリカの横よ!それもどこよ!を考える、と。

 景色が一転してのバンコク、幸せな家庭、からの誘拐。よく見るとここの照明もおかしい。赤い、砂埃の色かしら。タイは全編こんな感じ。

 ということで、照明にすっごい特徴があるな、っていうのが第一印象。後半以降はずーっとタイにいるので違和感が無くなってくるんですが、日本、タイ、韓国を行き来しているうちは、結構タイでの砂ぼこり色に困惑してました。

 ついでに、編集?でいいんだろうか、イ・ジョンジェ演じるレイとインナムが戦うところでの打撃の瞬間加速するような映像の見せ方をしていましてね。なんだろう、韓国映画なのに湿度感がジメジメより乾いた感じで、いつもと雰囲気が全然違う。なんだろう、すっかりタイの空気がメインなので007でそれこそ中米辺りに行ってるような雰囲気を感じました。いや、でもハリウッド映画とかじゃないのにそういう空気を感じられるのは凄いですよ。

2.勧善懲悪ではない

 タイの奥さんからの連絡を取らなかったことで、彼女は結果的に死んでしまった。本当はそこに、インナムの過去の所業とか、彼の殺し屋稼業に何の関係もない、資本を持っているっていうだけで地元の連中に狙われた、っていう流れだった訳で、インナムを責めるのは酷っていうもの。それでも、インナムは子どもを引き取るためにバンコクへ向かい、ケジメをつけようとする。

 一方、是枝大輔の弟、レイが復讐も無茶苦茶。絶縁状態だったとはいえ、兄の仇をとるんだ、というケジメなんだが、最後にはなんでこいつを殺したいのか忘れた、みたいなことを言いだしていて。こいつ何回血まみれになっても次のシーンでは、派手派手な純白のスーツに着替えなおしてるんで、染まらない、いわゆる絶対悪の象徴みたいなもんだと思うんですが、それにしても狂ってた。狂いすぎていて、トゥクトゥクで登場する、という本来ならギャグでもおかしくないシーンなのにカッコよさすら見せる、早くも2022年のベスト登場シーンの可能性すらあります。

 ということで、ケジメをつけるための男二人の戦いに日本で、韓国で、タイで、と殺されまくって本当に迷惑な連中なんですけど、そもそも子どもを誘拐したタイの人身売買連中だったり、そいつに金貰っていてダメな警察とか、金を払ったから味方になっている南米への密輸する謎組織、とかもうその辺に悪が栄えまくっている。だから邦題は、悪をやっつけるじゃなくて、悪から救う、っていう趣旨なんでしょうね。納得。

 でもですよ、死なば諸共のラストは、似たような雰囲気を持つ昨年の『楽園の夜』には劣るかなー、と思ってしまったのが正直なところ。それでも、韓国映画特有である体力ゲージどうなってんねん映画を久々にみれて痛快でしたね。