抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

年末特番「この映画は見てほしい2021」傑作選

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は、実は毎年恒例の特番企画。年間トップ10とかには入らないけど、でも好きな映画だからどんどん宣伝していこう!!と声高に叫ぶ人類賛歌のコーナーです。いやまあ、つまりこれで紹介したらランキング外が確定しちゃうんですけど。あと趣旨を考えて、上半期ベスト10に入ったやつも外しました。「時の面影」とか「ビバリウム」も見てね。

 

静かなる侵蝕

 しれーっと12月に配信されているんですが、さあ皆さんお気づきでしょうか。Amazon Prime オリジナルの作品です。12月のアマプラ新作は、アーロン・ソーキンの「愛すべき夫妻の秘密」(原題:Being the Recaldos)も見たかったんですが、年内には間に合いませんでした。ということで、代わりにこれをご紹介。

 昨年アマプラ映画としてはかなり高評価でした、「サウンド・オブ・メタル」が素晴らしかったリズ・アーメッドが再びアマプラ映画で主演。今回は、子ども2人を守るために頑張るお父さんの役です。舞台は、虫が微生物に寄生されたポストアポカリプスの地球。そのため、虫描写に注意は必要ですが、虫よけスプレーがそのまま身の安全を保障するリアルポケモンの世界観の導入も丁寧。気づいたら、親子愛に泣くことになるでしょう。感覚的に言えば、「未知との遭遇」→「宇宙戦争」でスピルバーグがSFやりながらも、中身は親子、みたいな映画を作ったわけですが、その文脈に入ると思います。

ほんとうのピノッキオ

 マッテオ・ガローネ監督による不気味大サーカス。誰もが知るディズニーの明るくてお茶目なピノキオではなく、イタリアでこれでもかとグロテスクに作ったピノッキオです。ジェペット爺さんを演じるのが、ライフ・イズ・ビューティフルロベルト・ベニーニ、というと映画ファンは見てくれるでしょうか。

 もうね、とにかくクリーチャー感、気持ち悪い顔面、ヌメヌメ、かと思うとしっかり人形。ともすればZ級にも見えかねない、丸太がただ動く、という導入も何故か不思議と観れてしまう光の当て方。ファンタジック!

 

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楽園の夜

 「The Witch/魔女」のパク・フンジョン監督最新作。魔女は見ていないんですが。コロナ禍でネトフリに来たようで、本来なら劇場公開レベルだったみたいですね。それも納得のクオリティ。韓国ノワール特有の取り敢えず怖いマフィア連中の中で、下っ端の男が上の人間を殺したことで責任の押し付け合い。韓国映画が得意とする主導権とメンツの奪い合いです。タメ口に厳しいのは誰か、に注目して見ているとそれだけでこいつ等くだらんな、と楽しめます。

 中盤の鉄扉を挟んでの銃撃戦が今年ベスト級の銃撃シーンだったんですが、それが終盤にも生きてきて良い舞台になってるんですよ。よくできているなーと感心しきりです。

キャンディマン

 ホラー苦手な抹茶さん、として生きているわけですが、それでもしかし非常によくできていた、と言わざるを得ないのが本作。いやまあね、ジョーダン・ピール監督が脚本に回っていたりするので、布陣としては十分。

 この映画においては、オリジナル版のキャンディマンの事件が実際に起こった上で、それが都市伝説化している、っていう状態。ジェントリフィケーションや黒人差別の問題を文脈に入れていたオリジナルに、新たに現代アートとかの文脈なんかもぶつけておいて、スラッシャーホラーとしての怖さもしっかり担保してある。あとあれですね、鏡に向かってキャンディマンと5回唱えると殺人鬼が現れる、っていう設定は、現実に侵食してこないからかなり有難いですよね。迂闊に試さないですもん。家入ったらダメとか、ビデオ見たらダメとか、その部屋に住んだらダメとか、もう回避できないですもん。

 

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映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園

 クレヨンしんちゃんの映画だと思って甘く見ているなら、その考えを捨てることをハッキリとお薦めします。そんじょそこらのミステリ邦画よりもかなり出来のいい青春ミステリになっています。このミステリーがすごい!には毎年映像化されたミステリのコーナーがあって、今年のページにはドクター・デスの遺産、護られなかった者たちへ、鳩の撃退法、藁にもすがる獣たち、チェリーが掲載されています。クレしんはオリジナルなので、ここに載らない訳ですが、いやいやこのメンバーに対しても遜色ないレベルどころか、ですよ。本格ミステリとしての担保をしっかりできているのに、学園もの、っていうクレヨンしんちゃんでは本来相容れない設定を成立させ、且つギャグも安定している。私は大好きだし、今年のミステリ映画ではベストだと思います。

 

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ジャスト6.5闘いの証

 今年の舐めんな枠で言えば1番推したいかもしれない。

 キアロスタミやらアスガー・ファルハディが評価されてるイランからやってきた新作。言うてその2人の映画を見たことないんでイラン映画初体験。まーたすごいわ、っていう作品。冒頭のアレ取れるなら純粋アクションのイラン娯楽映画も見てみたい、と思わせるレベルの冒頭の追跡劇の緩急がお見事。このオープニングだけで絶頂もの。そして中盤以降は、麻薬王vs警察を見ていたはずなのに視点が変わりだして、なぜか感情移入先が変わっていく不思議な映画。恐ろしいほどの規模のエキストラを使った人数の圧のある風景なんかも含めて、いや是非見ていただきたい。

 

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