抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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超上質な150分異世界体験「DUNE/デューン 砂の惑星」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 ミステリが好きなことは伝わっていると信じていますが、その次ぐらいにはSFが好きなことは伝わっているのでしょうか。あまりにSF好きを公言するには基本著作すら読んでいない自信がある(逆に言うとミステリはそこの自信はある)ので、しれっと好きぐらいにしてますが、結構楽しみだったんですよ、DUNEです。

Dune

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

(以下ネタバレ有り)

1.とにかく圧倒的な異世界体験

 SFって、何を以てしてSFなのか。正直、私自身今でも良く分かっていない、というのが正直なところですが、非常に重要な要素として、全くの異世界を体験できる、というのがあると思います(これはファンタジーにも必要な要素であると同時に、SFに必須だとも思わないです)。そしてですね、その点で言えば、この作品はかなり満点に近いのではないでしょうか。

 勿論、題にあるような砂の惑星の砂描写も勿論なんですが、まずは前半の1時間ぐらいですかね、ようはお引越しの準備だけに使ってる訳ですよね。シャラメを中心とした、キャラへの認知・愛着を高めつつ、ボックス盟神探湯盟神探湯デビッド・リンチ版の方が好きだった)などをしてこれから広がる世界への準備もしっかり。ここで結構な閉所をやっているから、砂の惑星に出た時の広大さも段違いになる。開放感ずがーん!!ですよ。引っ越しを一緒にしたんで、当然新居への思い入れは、見ているだけの私たちにも伝わってくるし、引っ越してからお宅拝見(なおお宅=惑星)パートまでしっかりある。そりゃ芸能人のおうち訪問が盛り上がる訳ですね。

 あと異世界体験に非常に重要なもう一つの要素、音楽はハンス・ジマーがバッキバキに仕事してましたね。最初はうるせえ!!って思うぐらい主張が激しかったですが、作品世界に我々が馴染むにつれて違和感は無くなりました。

2.PART ONEにしては

 まあ言いたいことは前項と若干被るんですけどね、この映画、150分かけて上質な異世界体験させてくれるんですけど、やっていることってほぼ世界観と設定の開示だけなんですよね。なんていうか、気合の入り方が違う。これで2本撮りしないって、もはや蛮勇ですよ、ええ。

 シャラメに付き従うジョシュ・ブローリンとかジェイソン・モモアとかあっさり殺しちゃってるのも、結局シャラメとゼンデイヤの物語だからだと思うので、その2人が出会うまでで完結させちゃう。まあ正確に言うと、シャラメが初めて人を殺す、皇帝になる覚悟を決める、までやりますけども、SFとしてよくある難解な固有名詞の説明さえしちゃえば、正直この映画が終わったところから始めてしまったっていいじゃないか、ぐらいな勢いですよ。っていうか、リンチ版って途中そうしてませんでした?こんなに戦闘を見た記憶ないんですけど。

 で、そこをどう評価するのか、がこの映画を好きか嫌いかの分かれ目だとは思います。話が無いのに150分あると考え、テンポをもっと上げて欲しいと考えるのも分かります。分かりますが、私としては激賞したい。ただの設定開示、これから始まる壮大な物語りのプロローグでしかない。それなのに150分持たせた(と私は感じた)腕力に天晴と。プロローグでこんなに面白くていいのか、と。まあつまり、今後PART TWOが作られた時に、これだけ仕込んだ世界観を活かしてくれないとこの作品の点数も下方修正されてしまう可能性もあるってことですが。スパイスの話、青赤でフェンシング的に当たり判定してくれるやつ、宗教団体関連の絶対命令ボイス、とちょっと色々重なっているのが不安ではありますが、うまいことやってくれるのではないでしょうか。やっぱ、ヴィルヌーヴのテーマって、一戦越えちゃった人の話だと思ってるのでね。一線越えてる悪人たちに相対する為に一線越える側にいったシャラメに期待でございます。

 あ!でもヴィルヌーヴは羽ばたき機以外の宇宙船に気合を感じなかった、というか、ブレードランナーもメッセージもそうだけど無機質な船が好き、というよりロマンを感じて無さそうなのは主張が私とは違うな!もっとゴテゴテしよう!