抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

夏の調査ドキュメンタリー「誰がハマーショルドを殺したか」「はりぼて」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はすっかり見た後に書いた感想の分量が薄くてどう出すか悩んでた「ハマーショルド」と、鑑賞券が当選した「はりぼて」のドキュメンタリ2本立て。なんか、ドキュメンタリの感想は2本立て多いですね。どっちも開いた口が塞がらない系になります。

1.誰がハマーショルドを殺したか

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WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

Ⅰ. ダグ・ハマーショルドを巡る疑念

 ハマーショルドって誰やねん。と誰もがツッコミを入れたくなる映画タイトルですが、ハマーショルドはすっげーちゃんとした人物で、第2代国連事務総長。コフィ・アナン、潘基文、そして現任のグテーレスさんは知っているのですが、その前ともなるともう知らない。そんなハマーショルドさんはコンゴ動乱の調停に向かう飛行機が墜落して在職中に亡くなった唯一の事務総長だと。この辺ぐらいは説明はしてくれますが、前知識で入れておいた方がスムーズに見れます。まあ見に行く興味がある時点で調べるかな?と思いますが。

 んで、そのハマーショルドの墜落事故が人為的な暗殺だったのでは?というのを探るところからこの映画は始まります。15程度の章立てで延々と続く監督の語りは、正直言って眠くならないと言えばウソなのですが、衝撃的な展開に。

 犯人を捜しているうちに、マックスウェルという医師に着目、彼が組織したサイマーという犯罪集団が医療援助の名の下にHIVウイルスをアフリカの黒人たちにばら撒いていた、しかもそれにはイギリスの諜報部やCIA、南アフリカ政府まで関与している、などといいだすからもう大変。一応最後にハマーショルド暗殺にもサイマーが関与していた可能性が高い、なんて感じで終わりますが、いやいやもうそんなことどうでもいいよ…と思ってしまうラストでした。

Ⅱ.これはドキュメンタリーなのか

 一応ドキュメンタリーとして分類されている本作品。ただ個人的にはドキュメンタリーってなんだっけ、となるのが本作。

 勿論、内容の斜め上具合に伴う陰謀論の空気もそうさせる一助ではありますが、明らかに映画用にビシッと台本で撮影しているタイプライターとのシーンがそのせいだと思います。本作は、次から次に明らかになる「真実」を監督とタイピストの会話形式で明かしていく形式がとられており、当然そのシーンはいわゆる劇映画と変わらない状態な訳で、その中で語られたり、流れるシーンが撮れちゃった系ドキュメンタリーな訳ですが、最初も途中も最後も、タイピストの彼女との会話が軸にあり、彼女が決定的な質問などをしてくれます。おそらくは、彼女は監督の脳内における自問自答を可視化した存在であり、まるでフィクションのような話の中に気付けば飛び込んでしまった監督の五里霧中さを観客にも追体験させる作りになっているんだとは思います。ただ、ここまで事実と創作の境界が曖昧だと、もはやドキュメンタリーなのか、モキュメンタリーなのか、枠組みってなんだろうと考えてしまいます。

2.はりぼて

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WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

Ⅰ.謝ったら謝り返す!謝罪エンターテインメント!

 いやーこんなにおじさん、おじいさんが謝罪しまくる映画がかつてあったでしょうか。みんな半沢直樹で楽しいならこれも見ればいいと思うんですよ。

 まあ事の始まりは富山市議会の議員報酬の月10万円UPというところから。こっから不正な政治活動費の支出が馬鹿みたいに出てきて、それに怒っていた議員が次はバレる。完全にコントですし、音楽も調子っぱずれで笑わせにかかっている。なんでしょう、一番愚かな人間の瞬間を見せられているというか。一回目に証拠突き付けたら、わかりきった嘘で逃げるんですよ。んで、次は絶句・苦笑。次の日には謝罪会見と辞職。この人なら不正は無い!と任命された議長が1週間ぐらいで不正発覚して、結局不正でやめた議員の補欠選挙で通ったばっかの人が議長をやる始末。なんかもう笑えない。

 だが、こっから更に笑えない。討論会で自民党会派なのに不正をしていなかったと言っていたのに刑事告訴された村上市議、思わず大声を出していた木下議員は夜間に不法侵入して女性職員の机を物色。でもこの人たちはいわゆる居直りで職を辞すことすらしなくなる。明らかに不正に慣れ切って辞めなくてよくなっている。

 市長もコメントする立場にないを連呼(しているように見える編集)。部署を飛び越えて情報公開請求の内容が通達されて守秘義務を違反。市議会議員以外にもシステムのあちこちが腐敗しているのがわかります。

 当然ですが、現在起訴されているIR贈賄の議員、公職選挙法違反疑惑の夫妻、国政だって変わらないんだろうな、と思うのは当然ですよね。すっかり形骸化した民主主義の現状になかなかに目を覆いたくなります。

Ⅱ.射程は報道にまで

 ただ、この映画が捉えているのはただの政治腐敗の追求ではありません。最終盤、これまで中心に取材をしてきた砂沢記者は社長室付きに変わり、キャスターとして報道してきた五百旗頭アナは退社を決意。この2人が監督なわけです。いつしか不正を追及するあまり、政治の進行を妨げまくっているのでは?報道ってそういう仕事なのか?市民は許している人もいる。なんかそういう感じで報道機関の意義にも問いを投げかけております。ただ、最終的にこの映画の製作は彼らのいるチューリップテレビ。少なくとも、この映画を世に送り出す程度には決定的に道は違えていないようです。

 個人的には、制度論的にコメントできないとしていた市長や議員報酬増額それ自体には賛成の立場なので、彼らがどんどん醜くなっていく姿を見るのはがっかりでもありました。