抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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名作を現代にアップデート「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 さあようやく見てきました。2月の試写会を体調不良で離脱した作品賞候補唯一の未見作、ルイーザ・メイ・オルコットの若草物語の何度目かの実写化です。なんか世の人々は1994年版で予習したみたいですけど、私は1949年版で予習しました。ベスとエイミーの出生順が変わってた!なんでそんな改変したんだろう、49年版よ。

 ソニピクさん!ちゃんと試写室で言った通りお金払って見ましたよ!遅くなりました!!

Little Women: The Official Movie Companion

WATCHA4.0点

Filmakrs4.1点

(以下ネタバレ有り)

 1.演技巧者たちのやりあい!

 まあね、見る前から分かってはいたんですよ。いたんですけど、俳優さんたちみーんなしてヤバくないっすか。

 まずオスカーノミネート組で主演シアーシャ・ローナン。「レディ・バード」が凄かったので、「追想」も彼女目当てで行きましたけど、本作もヤバい。物語の担い手であり、大きな推進力となる彼女。言ってしまえば、彼女はオルコットであり、そして監督のグレタ・ガーウィグでもあります。その分身としての役割をしっかり果たすだけでなく、名優メリル・ストリープ相手にも完璧に渡り合い、屋根裏部屋での今ならローリーのプロポーズを受ける、というというくだりなんかは非常に胸を打つものでした。あれですね、シアーシャ・ローナンは視線が凄く良いですよね。まっすぐ見ていると、本当に見通してる感じがするし、うつむくと本当にへこんでいる感じがでる。そっぽむくと一気に不機嫌さが増す。目で芝居するってこういうことなのかしら、と思いました。

 んでもう一人、ノミネートは助演でエイミーを演じたフロレーンス・ピューが入ってます。私、怖いのダメなんで「ミッドサマー」を見てなくて、彼女を初めて見たんですけど、めちゃくちゃお上手じゃないですか。末っ子としての幼さ、甘えを見せながらも嫉妬でジョーの原稿を焼いたり、スケートで湖に落ちたりと体を張っているし、ヨーロッパ滞在中のローリーとのやり取りなんかも多いので、結構彼女が画面を引っ張っている時間も長かった印象。衣装のせいか、「ブラックウィドウ」の為なのかわかりませんが、結構ガタイいいっすね。

 まあそれ以外も達者な人ばかりで。特に4姉妹のお母さん役で、「マリッジ・ストーリー」でオスカーを取ったローラ・ダーンはこれでもオスカー獲れるんじゃないか、っていうぐらいの母であり、妻であり、人間である強さを持った素晴らしい人でしたし、「キング」で男前なのに意外とダメなところを見せたティモシー・シャラメに関しては、もうスクリーンで見ると惚れない方がムリだろうというぐらいのイケメンでした。ローリーに関しては、ちゃんとエイミーを代替物じゃなく愛する過程をもっと欲しかったですが。

 まあ特筆したのは上記4人ですけど、まあみんな上手いですよ。グレタ・ガーウィグが台詞のひとつひとつも指導した、みたいなのを読んだ気がするので、監督の演出力も一助になっているのは間違いないんでしょう。

 

若草物語

若草物語

 

 

2.混乱させる時制リセットも納得のラスト

 さて、本作の大きな特徴は現在と過去(7年前)が入り乱れるところ。現在時制で始まって、1発目の回想の時には字幕が出ますし、そっからもっかい現在に戻るときはNYの看板が出るので分かりやすいですが、その後はほぼ放置。ただ、きっかけになるアイテムやイベントが必ずあってフラッシュバックに近い形で過去に移動する上に、過去は暖かな、柔らかい蝋燭のライティング、現在は少し冷たい、寒色の色使いなのを字幕がついているうちに提示しているのでまあついていけるでしょう。あまりに時制を飛ばしすぎて、ある程度ストーリーを知っていないとダメなのは、名作の映画化だと仕方ありませんかね。日本で今から浦島太郎を実写化して、時制ミックスしても説明しないですもんね。

 ところが、そういうみんなストーリーを知っている前提だと、重大な欠点があって、何を描こうと知っているし、の連続になってしまうこと。ただ見せ方の上手さ発表会になっちゃって、話自体の面白さがなくなっちゃうわけです。

 実際、本作でも冒頭で編集長がジョーに女性が主人公なら話は結婚か死だ、と告げているし、予習段階で最終的にジョーが結婚することも頭に入っている。ということで、正直中盤以降は若干ヒマしてたんですよね、見てて。ベスの死、ジョーのプロポーズを断る場面をクライマックスに持ってくるんだろうな、というのは途中から分かるけど、ジョーがちゃんと断っているのはエイミーとローリーの会話から明らかだし、そこまで大きな見せ場になるとは思っていなかったというのが正直なところ。だったら時系列シャッフルも意味なくないか?と。

 なーんて思っていた私がバカでした、すいません。確かに終盤にかけて過去と現在の色使いが似てきているとは思ったんですよ。そしたら、シアーシャ・ローナンがこっちを向いて語りかけてきたじゃないですか。第4の壁突破?と思ったら、そこのあたりから一気に語りに入っていた、と。ジョーをオルコットとほぼ同一視して、本当は結婚させたくないけど、出版社が言うから結婚をさせて幸せです、みたいな未来図を描いてはおくけど、ジョーは作家としての幸せを選択していますよ、という見せ方。調べれば、オルコットも生涯独身を貫いたとのことで、まあ勝手に代弁したってところでしょうね。かといって、別に結婚の否定、みたいな描き方でもない。ちゃんとエイミーもメグも幸せを選択して掴み取っているよ、というスタンスなのでスッキリしている。「パピヨン」のマイケル・ノアー監督版(チャーリー・ハナム×ラミ・マレック)もラストに原作者が登場人物だった!方式で現代版に昇華させてますけど、この手法、嫌いじゃないです。

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