どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
さあ、ゾンビの時間ですよ!名作と名高い『パターソン』をスルーしていた私でも、この題名でゾンビやられたらしょうがない。見てきました。あ、でも多分オマージュされてるだろうロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は見てないです…。ゾンビ3部作は真ん中しか見てないな…。
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
(以下ネタバレ有り)
1.これが本当のぞんぞんびより!?脱力系ゾンビコメディ
いやー、びっくりしました。何ですか、これ?ジム・ジャームッシュってこんな監督なんですか!?
とにかく間を厭わない。すごーいゆったりしている。オフビートとも違う非常にゆったりした時間が流れます。ゾンビ映画ですよ?サスペンス殆ど無いじゃないですか。
特に主演のアダム・ドライバーとビル・マーレイのコンビはずーっと真顔芸。落とし穴に落ちて悪態をついても真顔。アダム・ドライバーはどんだけ真顔でいるんだよ。
そして、もう1人。ティルダ・スウィントンはもう可笑しいという騒ぎでは収まらない。明らかに映画自体のリアリティラインを揺るがしかねないレベル。名前がゼルダ・ウィンストンの時点で遊んでるのに、初登場での日本刀振ってるところの時間の使い方がフツーの神経してたらできないって。あんなゆっくりできる?んで、直角歩きやら居合の達人やらキャラを付けておいてUFO呼んでさようなら、って凄い。この人画面に出ている時は基本笑ってしまいました。飛沫、飛沫。
全然違うんですけど、のんのんびより!のゾンビ版、ぞんぞんびより!なんて言われるがっこうぐらし!のアニメ版をもっと無表情にした感じの印象を受けました。マジで。日常モノのすっごいすっごい変型っていうか。ふざけっぱなしの間で延々やっている日常モノにうっかりゾンビが侵入した感じです。
2.確かにゾンビ。続くロメロイズムと皮肉。
とまあ、明らかに笑いを誘っている話こそ書き連ねたものの、明確にジャンル映画としての定型を意識して、ゾンビ映画としてかなり初期のフォーマットをなぞっているのは間違いないと思います。めちゃめちゃリスペクトしてますよ、コレ。近年壮大かつスピーディに行動しているゾンビをかつてのロメロのようにゆっくり人肉を食らいに行く。彼らはショッピングモールに集ったかつてのゾンビのように、生前の記憶の通りに動いていく。Wi-Fi、Bluetooth、アスピリン、コーヒー…。
また、序盤に「The Dead Don't Die」を掛けておいて、テーマ曲だと劇中で言わせてメタラインを一段階挙げておくことで、アダム・ドライバーが繰り返す「悪い結末になる」発言の通りのバッドエンドなんだろうな、とまあ安心して見てられますよね。言ってた理由が台本読んだから、というのは流石に爆笑してしまいましたが。 この言い訳していいならアダム・ドライバーの行動全てに根拠いらないですから。無敵。
さてさて、ゾンビ映画となると彼らが何を象徴しているのか、それがまあ大事な訳ですがこれまたもう堂々と言ってしまってます。物質主義の象徴だ、と。かつてはショッピングモールの大量消費が皮肉られていた訳ですが、現在はもはや無形のネットの海まで含めた物質主義への批判でしょう。
ただ、もう少し深読みしたい。例えば、ボディブローのように入れられたコーヒーがブラックすぎる、を使った差別ネタ。まあ分断ですよ。キャップが白人至上主義的でしたからね。でも、これが黒人差別よりももっと普遍なテーマとして通底している。ティルダ・スウィントンも移民を排斥していたら有事に頼りになっても相手せず出ていっちゃうよ、みたいなメッセージも込められているでしょう。
ゾンビによって分断されたこの村では、各々が勝手に戦い、そして勝手に散っていく。本来守る立場の警察である主人公たちですら立てこもってゼルダがやってくるまで巡回にすら行かない。金物屋に閉じこもった住民を助けようとしても、やっぱり止めて走り去ってしまう。それどこから、ピッツバーグから来たと思われる見るからにパリピの3人組に関しては死体蹴りですよ。そこに助け合いの精神なんて無い。団結をしないと、悪い結末になるぞ、なんて言っているんでしょう。
あと、ゾンビ発生の原因が地軸のズレによる日照時間云々とか。一方で政府はそれを隠匿。っていうあたりも陰謀論とかを皮肉ってる感じしましたね。
さあここまでゾンビに付き物のお話をしてまいりました。結果ゾンビものってどうやって生き延びるのか、よりもどんな生を過ごして死を迎えるのか、っていう話になるわけで。物質主義結構、私はそれでも良いと思うんですよね。きっと今死んでゾンビになったら私は「movie...soccer...mystery...」なんて言ってると思うんですが、その何が問題だというのです。蘇ってもなーんにも言えないぐらいなら、物質と快楽にまみれて生を全うしてからゾンビになってやりますよ。死んだ後でも楽しめるように墓石に点数を彫ります。
そして!ジム・ジャームッシュ監督インタビューはこちら!刀の扱いとか実に興味深い話でした!
折角なので、昨日に引き続きぷらすとの関係回を載せておきます。ぷらすとForever!!