どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
自粛中のブログのネタが無い無い、と言っていましたがやろうと思って途中だった企画を思い出しました。
以下、随分前に書いていた導入。
ゾンビモノ、スプラッター、怪獣モノ、西部劇、ディザスタームービー。俗に言うジャンルムービーと言われる作品群は、基本的なストーリーで新たな驚きを与えることは極めて難しい段階にあります。
だからこそ、要素の組み合わせや新たな視点の提供、配役の妙、映像技術などさまざまな部分で趣向を凝らしてそういった作品が出来上がります。
こうしたジャンルムービーは低予算が多く、単にお金のないせいで失敗に終わる映画は少なくないです。ですが、だからこそ監督の手腕や思想がビンビンに際立つことが多いのです。ジョージ・A・ロメロがゾンビものの定型を作り上げた際も描いたのはゾンビではなく、その先の社会風刺でした。
ってことで、かつて日本の名監督たちを生み出したジャンルムービー、日活ロマンポルノの現代リブートをチェックしてみます。ロマンポルノのルールは以下のサイトで。
こうした制約があるからこそ、それをどう料理するかの手腕も問われるし、それ以外は逆になんでもいいから監督の描きたいことがダイレクトに見えるはず。
ジムノペディに乱れる
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
見終わった後の感情としては無に近い。毒にも薬にもならないというか。行定勲監督の作品は「ピンクとグレー」しか見てないがまあ合わないんだろう。
落ちぶれた映画監督板尾創路がヤリまくるだけだが、彼に魅力を感じない。まあそれはいいとして。
結局彼にとって映画とは何なのか、の提示もされなければ、愛とは何か、常に与えられる側でしか無い。
風に濡れた女
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
これロマンポルノなん?というぐらいセックス、というか性欲を完全なまでにコミカルにしたブラックコメディ。女断ちを宣言して山中にて引きこもる男と肉食女の文字通りバトルは欲望の衝突であり、周りも含めて男も女も愚かなものよ、と笑ってのける。ここまで性欲を笑いに変換できれば、逆説的に愛それ自体の陳腐さなんかも透けてくる。
劇中劇なんかもあるが、まあ女断ちなんて演技みたいなもの。日常で被る仮面を剥げば男も女も欲望むき出しよ。
牝猫たち
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
3人のデリヘル嬢を通して、ネットカフェ難民、炎上、貧困、DV、老いと性、とにかく詰め込んでる。10分に1度濡れ場を入れなくてはならないロマンポルノでデリヘルというのは、仕事として濡れ場を消化しつつ、そうじゃないSEXに意味を持たせることができるいい設定では。
時間尺の問題もあり、問題提起とそれでもなんとか明日も生きていかなきゃいけない、というところで終わってるが、作家性がかなり出たのでは。
途中とろサーモンの久保田さんが紐で吊るされるが、そこよりもその前に万引きGメンという割と本ネタをコンビでやるのは笑った。あと音尾さんの濡れ場も。
アンチポルノ
WATCHA3.0点
Filmarks3.1点
おかしい…私が見たのは本当にロマンポルノだったのだろうか…。
園子温監督作品初挑戦がいきなりこれなのは順序を明らかにミスった気がする。
というのも、この作品はフェリーニの「8 1/2」を思い出させるような作家が考える内容を映画内映画的に描きながら虚実や現在過去が入り乱れる非常に理解が大変な作品に。ロマンポルノなのに殆ど色気は感じないし、ともすればつまらない、とすらいえる。
もっとも、それこそ「アンチ」とタイトルに付けられた意味だと思うし、監督のこれまでの作品を縦軸で見た時にもっと重大な意味を帯びてくる作品だろう、というのは想像できる。
演技が下手な設定やどこがフィクションなのか難しいこともあって、原色の部屋や芝居がかった発声は気にならなかったが、筒井真理子があまりにも圧巻。凄すぎて主演が完全に霞んでいた。
ホワイトリリー
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
陶芸家の女性師弟とそこにやってきた男、という流れでまあ分かりやすいタイプの愛憎劇。
陶芸というモチーフ自体が既に性の匂いをさせるので、ロマンポルノとしてはクドいような気もするし、行為の時に白ユリを満載にするイメージは「ユリゴコロ」のオナモミで見た意味わからん奴だ!なんて思いつつ。
依存しているようで、されていて、それでも共依存で?みたいな話だが1番怖いのは人間の愛の呪いで自分を縛る事なのです…みたいなことを言おうとしてフツーの昼ドラっぽさ全開のクライマックス&説明台詞は少しがっかりか。なんていうか、男もバカなチャラ男、その彼女も主人公の映し鏡的でありながらバカ、先生は欲強め、みたいな記号的なキャラなのにその説明がまた記号的な行為が多い。