抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

無事に迎えた大団円!「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」感想

 

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 さあクリスマスに相応しいでしょうか。大人気シリーズなのに2作目は劇場公開されなかったヒックとドラゴンの最新作にして完結編。見たことなかったんですけど、鑑賞前日に1と2を一気見して臨みました。あれですね、公開スルーしたから2は2って付けたけど、集客上3ってつけると来なくなるから3の邦題は数字消されたんですよね。

How to Train Your Dragon: The Hidden World [Blu-ray]

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

(以下ネタバレ有り) 

 1.今回もとにかく可愛いドラゴンたち

 いやー、もうとにかくトゥースに代表されるドラゴンの可愛さったらないですよ。2日間しか、っていうか事実上5時間ぐらいしか接していないのに虜ですよ。

 よくよく調べてみたら、むかーし飛行機の中で見た気がする程度の記憶のカンフー・パンダ以外ドリームワークス作品を見てないんですよね。ピクサーとも少し違う、でも確かに魅力的なキャラクターデザイン、そして動きに、「ボス・ベイビー」とかスルーしてた自分を反省しました。「グリンチ」とかのイルミネーションもスルーしてるんだけど、見に行くべきか…。

 って訳でまあトゥースの可愛さですよ。この記事公開時点では、1と2の感想も未発表になるので併せて書いておきますけど、まずその目ですよね。彼にも感情があって分かり合える知能を持つ生命体なんだ、ということ、そしてその優しさが明確にわかるあの目。吸い込まれるような目。ああもう大好き。

 重ねて、本作では白いナイト・フューリーことライトと恋に落ちるトゥースですが、それがまた可愛い。色々やって気を引こうとするあれやこれやに、気もそぞろになっている人間っぽさとたまらず走り出す本能感。高度な知的生命体と野性をどっちもしっかり持ち合わせた感じもいいし、コミカルな動きもあって本作のトゥースは過去最高に可愛いトゥースだったのではないでしょうか。

 トゥースに尺を取りすぎましたが、それ以外のドラゴンたちも大変魅力的。赤ちゃんとかめっちゃ可愛いし。勿論、可愛いだけでなくしっかり勇ましくかっこいい戦闘シーンもあるし、聖地での描写は美しく、神々しさに溢れていて、ドラゴンという本来存在しない生物の持つ神性っていうのを思い出させてくれたと思います。

2.アナ雪とは違う決断

 本作のラストで、トゥースとヒックは別れる決断を行います。

 そもそもの本作の本筋がトゥースの恋路と新たな聖地への冒険となるわけですが。

 1でヒックとトゥースの馴れ初めをしっかりと描き、異なる他者同士でも繋がり合えることを描きました。そして2でその繋がりの強さを描くと同時に、ヒックと父、母を描き、ヒックの周辺のストーリーは今回の3でサイドで進行するヒックの結婚話以外は消化してしまっている訳なので、今作がトゥースの話になるのは必然。また、ドラゴンを保護すればするほど現実的に空間時間費用すべてにおいて人間の負担が大きくなるのは当たり前。新天地を探さなくてはならないのは、たとえドラゴンが狙われなくても時間の問題でした。そういう意味でも今作の話の進み方には納得できます。

 その上での、2でも3でもドラゴンがいるが故に襲われた事、ヒックが自立し、トゥース自身の決断を尊重できる成長をしたこと、トゥースにとっての伴侶と理想郷、そして受け入れてくれる素地、更にはドラゴンの王としての責務。こうした条件が完全に整った上で、しかも互いに強い絆があるからこその決断だから支持できる。まあ要はポケモンアニメの初期の名作にして、「キミにきめた」でも描かれた「バイバイ、バタフリー」ですよ。そんなもん素晴らしいに決まってるじゃないですか。

 さて、ここでもしかしたら、本作と同じように別れて暮らすことを決断したアナ雪2ではそれを低評価の理由にしていたじゃないか、なんて思うかもしれません。でもこれは、私の中では明確なんですよ。アナ雪は互いの強い信頼こそあれど、自分に責任の無い血の文脈で分かれて暮らさなくてはいけない、という結論で。一緒にいる、手を離さない、という前振りからのソレとはやっぱり違うんですよ。うーん、上手く言語化は出来ていない気がする。わかってくれ~!!

tea-rwb.hatenablog.com

 

3.シリーズ通して残した課題

 さて、これにて完結となったシリーズですが、本作で言及してほしかったこのシリーズ自体が持つ矛盾というか、そこを突くようなキャラクターや物語が欲しかったな、というのも思いました。

 まずは、やっぱりドラゴンと人間のありかた。今作は、ドラゴンの主体性と生物感の中間を攻めた感じではありますが、2といい3といいドラゴンの王の言うことにはザコは従う、という感じでちょっと「ライオン・キング」的な野性がある。その中でドラゴン=完全な善、であってそんなドラゴンを悪用する人間が悪く、結局人間同士の対立で終わってしまった訳です。なんというか、どこか原題でのtrain(=訓練する).your(=所有格)で感じたペット要素が残ってる気がします。悪のドラゴンとか出てきても良かったと思います。

 そして何より最も気になるのはドラゴンとの共存こそ善すぎること。話せばわかるをドラゴンとは実践しているのに、人間とは武力で勝った方が勝ちの論理で、話したって分からない人間もいるみたいな扱い。更に驚愕したのは今作のOP。ただドラゴンと共生しているだけで専守防衛ならともかく、わざわざ出張ってドラゴンを解放して回っている。そこに全くの疑いを持ってない。ヒックが完全な善の立場であり、理想主義的すぎる。2も3もドラゴンを悪用しているだけの悪役でしたが、ドラゴンとの共存の仕方が違う敵や第三者が出てきて、ヒックの共存の仕方以外の方法を示せるなど、ヒックの正義が相対化されることがあってほしかったな、と思います。なんていうか、ヒックたちが割と過激派の環境保護団体とか、エコテロリストとかそいつらと大差ないようにも見えちゃったんですよね。

 とまあ、最後にちょこっと(?)文句は言いましたが、とにかく私はヒックとトゥースが大好きになりました。ネトフリにあるアニメシリーズがまだまだあるので、このコンビをまだしばらくは堪能できることを嬉しく思います。