抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

更に向こうへ!!「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 年末っすね…。アニメのまとめ記事は年内に出すことを諦めました。っていうか、年内にアニメは見終わらない!恥ずかしい…。

 ということで、現在アニメも放送中のヒロアカ、劇場版第2作です!

 すっげぇ棒読みの島民がいると思ったらラグビー日本代表のみなさんだったんですね。コナンでサッカーやった時のヤットとかの棒読みっぷりを思い出しました。

僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

(以下ネタバレあり)

1. これこそ真のヒーローの姿!!

 前回の映画が既に能力を喪失しているため、描くことが不可能なオールマイトとデクの共闘という夢を見せるものでした。

 すると今度はヒーローとして、1-A組のみんなの活躍を見せてくれる!ファンサービスとして最高じゃないですか。申し訳程度ではなく、ちゃんと全員活躍した。それが嬉しいです。

 もしかしたら、本作を見て、いや口田や葉隠、砂藤あたりは活躍していないぞ!とおっしゃるかもしれません。確かに、彼らにバトルでの見せ場はありませんでした。でも、それはこの映画を爆豪的に捉えた場合の見方です。

 この映画においてヒーローとは、という問いには明確に人を守る存在だ、という定義がなされており、そのためにわざわざ雄英の職員室での相澤先生とオールマイトの会話も見せて、守る対象とのコミュニケーションも大事、ということを見せています。また、キャラ紹介も兼ねて、ですが序盤にしっかり島の人たちを守り、救助する様子も見せています。そう、ヒーローは悪を倒す存在ではありますが、それは目的ではなく、人を守るために、助けるために戦うのです。この映画ではそうした結果に対するアプローチをデクの助けて勝つ、と爆豪の勝って助ける、で併存させています。

 各地でのヴィラン出現に対しても委員長の飯田君とヤオモモは救助と戦闘で班をちゃんと分けていましたし、戦いにはやる轟を飯田は安否確認を理由に引き留めています。彼らはちゃんと守らなければ勝てないことを理解しています。勿論、爆豪だってわかってはいますが。

 そんな中での最終決戦。それぞれの見せ場をしっかり見せてくれる中で上記の3人は洞窟に避難させた住民の安全を守る役割を果たしていました。島の住民は避難させて終わり、じゃない。ちゃんと彼らにも気を配って守る。助けて勝つために必須の役割を負わせているわけです。これだけ彼らの役割が重要だと示しているので、彼らの活躍が秒数としては少なくても、個人的には大満足。

 また、スパイダーマンぐらいでしか見ない気がしているアメコミ映画の殴って倒せばいいじゃん理論にも対抗できるというか。勿論、彼らも必死に戦って助けてるわけですけど、勝って助けるアプローチがあまりに多いのでそこに対してカウンターにもなっていると思います。

tea-rwb.hatenablog.com

2.いいんすか!アガる展開てんこ盛り

 さて、ちゃんと全員活躍していること、そしてヒーローの本義を描き切ったことは述べましたが、まあそういう御託抜きに最高!!となる絵面が多すぎるんですよね。たまらん。

 冒頭はいきなりヴィラン連合がナインを運んでいるところにロックロックを始めとしたヒーローたちがカーチェイス。ここで、おそらく因縁がありそうなのにまだ明かされていない荼毘とエンデヴァーの交戦もある。この時点で割と最高じゃないですか。ヒロアカはしっかりヴィラン連合側も描いているので、そっちの登場でもテンションが上がる訳です。この前の解放戦線編でトゥワイスのこと大好きになりましたもん。

 んで、まあやっぱりA組の20人がしっかり依頼に応じて、あるいは作戦に合わせて活躍しているのは素直に嬉しい。その中でも割とコメディリリーフだった瀬呂と青山の活躍は頼もしいったらありゃしない。改めて調べたらビームを1秒以上打つとお腹を下す青山があれだけビームを連打してミイラ相手に善戦し、ナイン相手にも必死。瀬呂は海岸でも活躍していましたが、麗日とのコンビでも梅雨ちゃんの舌でしかされてなかった気がする救出しながらの移動描写といい、メイン級の大活躍!そうだよ、お前の能力ほぼスパイダーマンなんだから強いんだよ!なんて劇場で興奮していました。ちゃんと全員限界のその向こうに、Plus ULTRAしてたと思う大奮闘でした。

 かように、最高に20人が全員好きになっていく訳ですけど、究極にアガるのは勿論爆豪とデクの共闘。明確に強すぎる敵相手に、あくまで勝つ構えの爆豪と、プロの救援まで耐えればいいぐらいの感覚から絶対守るために倒す!となったデクが共闘し、昔からの仲が完璧に生きる。そしてまさかのワン・フォー・オールの譲渡。まさかこんな絵が見られる日が来るとは思わなかったです。想像していた斜め上すぎて。でも、しっかり敵の強さ、守るヒーロー、そして口には出さずとも認めあうライバルで秘密を共有した相手だからこその選択。戦闘の超絶作画と合わせてもうそれはそれは最高でした。

3.アニメと地続きだからこその不安と期待

 前作もそうでしたが、ヒロアカの映画はアニメや映画と地続きという特殊性があります。前回の映画のキャラもアニメに顔を出したり、今回の映画でもアニメで使われていたデクのお母さんのシーンだったりオール・フォー・ワンと対決した話なんかがフラッシュバックしています。ワン・フォー・オールをナインが強奪しようとしたときには歴代所持者やオールマイトの師匠志村も出てきました。だからこそ、この作品がアニメや原作漫画でいうどの時系列なのか、そしてそのことがどのような影響を及ぼすのかが気になります。

 というのも、かつてTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」時代に映画監督でスクリプト・ドクターの三宅隆太監督が4とか5とか6とか7とかの続編が好き特集をした時の話だったのですが。物語の作り方には2種類あり、毎話ごとにリセットされてしまうクレヨンしんちゃん型とそうではなく、経験が蓄積していき成長を見せる型があると。のび太しんのすけが映画の度にその経験を還元していたら恐ろしい大人になっちゃうわけです。その点、ヒロアカは映画でも別アースとかしないで、アニメや原作との連続性を大事にしています。

 さて、そうなるとこの時系列がいつなのか。劇中でホークスが喋ったことから、現在アニメで放送中のオーバーホール編は消化し、個性消失弾は既にヴィラン連合の手にあることが分かり、時系列的にはそれ以降。更に轟と爆豪が仮免持ってるのでそれ以降。デクが潜在的に複数の個性持ちだという話もデクが気づく前なので連載中のエンデヴァーの下でのインターン編よりは前。特典の堀越先生のインタビューだとデクが複数の個性持ちだと気づく、これまでのワン・フォー・オール所持者が介入してくる直前らしいです。

 んで、そうなるとどうしても作品内のルールを徹底してほしくなるというか。爆豪にワン・フォー・オールを譲渡したけど、その記憶はなくしてデクの下に能力は帰還、怪我の跡からどう考えてもデクと同じタイプの怪我なのにそれには誰も気づかない、というちょっとズルいところは、オールマイトの言った奇跡、の一言で済ませて欲しくなかったな、と。

 そして何よりもう一つ。これは堀越先生大丈夫?という不安なんですが。オールマイトとエンデヴァーと能力的には近いデクと爆豪、そしてエンデヴァーの息子の轟。この辺の関係性を継承のテーマで描けていますし、まさに現在その真っただ中な訳ですが、爆轟とデクの共闘、更にはヒーローに憧れる少年に「君はヒーローになれる」と言葉を掛けるデク、という最高のオチをここで使ってしまったこと。メタ的な視点で視聴者や読者がまたかよ、と思うだけでなく、爆轟やデクの中でも言動の記憶がある状態なので、例えば誰かに「君はヒーローになれる」って言っても、あ、別の子にも言ったな、ってデクも思っちゃうわけですよ。まして、合宿編で洸汰くんに、オーバーホール編でのエリちゃん、とデクに憧れる子ども、いわば次世代はこれまでにも登場しています。そんな中で、ここぞの為の切り札を切った訳です。

 あと、全寮制にするぐらい安全に気を配ることにした雄英が、生徒だけのヒーロー活動を目の届かない沖縄の離島で行うことを許可したのがちょっと解せないかな?と。まあプロヒーローがやってこない状態にする必要があるので仕方ないし、前回の映画でも生徒たちが島にいる理由は多少強引だったのでいいかもしれませんが。

 まあそうは言ってもですよ、切り札を使ったってことは、堀越先生の中でこれを越えるラストが思いついている、ということだと思います。入場特典のインタビュー読んだら堀越先生これから考えるっぽい。体調にだけは気を付けていただいて、今後もヒロアカを楽しく、そして最終回のハードルを大きく上げて待っていたいと思います。