抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

2019年8月に見た過去作の記録

  どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 毎月お馴染み過去作の鑑賞報告。

 8月は名作祭り。ネトフリ配信終了が大量に出たのでその消化にも追われましたが、評価の確定している名作・秀作ばかりだった気がします。

 見た本数は25本。映画館にあんまり行かなかったので宣言通り過去作の月になりました。9月は逆に劇場に入り浸る可能性が高いので過去作鑑賞は10本行かないかも…?

 

シックス・センス

シックス・センス (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 シャマラン初挑戦。いやー、どんでん返し系の名作とは知ってたんですが、1時間しないうちに気付いちゃったなぁ…。がっこうぐらしはコレもリスペクトだったんですね。

 仕掛けに気付いちゃっても、ドアノブでの反射とか上手く演出してるし、コールの死者との交信もホラーっぽい方法で緊張感持たせながら、コールの成長にしっかり繋がる。純粋な少年成長譚として美しかった。

ブルース・ブラザーズ

ブルース・ブラザース (字幕版)

WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 全編通して非常に偏差値が低く、楽曲も底抜けに明るい、楽しい楽しい2時間。演奏とミュージカルだけ集めたDVDがあるなら欲しい。レイ・チャールズアレサ・フランクリンとか洋楽知らない私でも名前や曲知ってるし。

 ただ、その明るさとバカさに合わせて命や罪の重さも驚くほどに軽いので、ポップに大事件が起きるのに命の心配はいらない。その分サスペンス的な緊張もないけど。

 危険だな、と思うのは子どもの為という大義名分や神を騙ることでただの犯罪や他者の権利を蔑ろにしまくる行為の数々はテロリストとさして変わらない気がするのに凄くいい話に作ってること。まあ80年代ってこんなもんか。制作の金余りすぎだろと言うぐらいにクラッシュしまくる警察の人たちとか何も悪いことしてないのにちょっと可哀想。神はこんな感じで集めた金は喜ばんぞ。結局刑務所にいたことが罪と向き合うとかそういう方向に働かず、楽天的に犯罪に手を染めれる人です、という紹介になってるんだよね。

 また、エリオットとジェイクの2人がいないとダメ、って感じもしなかった。別に後ろのバンドメンバーでインストやってもあれぐらい盛り上がるでしょ?ブーイングで瓶が飛んでくるのに盛り上がっても飛んでくる、みたいな演出の不統一感も気になった。

スタンド・バイ・ミー

スタンド・バイ・ミー  (字幕版)   

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 さすが名作と言われるだけはある。

 自分にもかつてあったはずの、あるいは無かったかもしれないのにあった気がする幼き日のちょっとした冒険を通して、生と死、家族、友情。色んなものが浮き上がってくる。線路を4人で歩くその絵だけで泣けてくるのは何故だろう。アメリカ映画のお手本のようなセリフの数々は今見ると少しクスッとくる。

 個人的には汽車に轢かれる!みたいなドキドキすら不要だし、対立軸として12歳相手に因縁つけてドヤってる兄ちゃんたちも不要だった。そこにあの4人がいて、4人を通して浮かび上がるならそれでいい。

ラン・ローラ・ラン

ラン・ローラ・ラン(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 時をかける少女!って感じがするが、記憶蓄積の無い「バタフライ・エフェクト」みたいな感じなので何度もやり直す、というより平行世界を複数パターン見せられた印象。僅かなタイミングの違いでローラだけではなく、すれ違う人たちの今後の人生も全く変わってしまう。何がどうなると人生がどうなるのか。そんなものはコントロールできるわけもないし、儘ならないものなんだ、というタイムリープものに対するアンチテーゼ的ですらある描き方は割と好み。

 別にローラは可愛くはないのでが、走るフォームが非常にいい。速いかどうかは知らないが画になっている。

 とにかく音楽の使い方やアニメーションのブッコミ、カットの割り方など非常にリズミカルで、よく考えたら別に同情の余地のない酷いヤツばっかの話、という点でも「トレインスポッティング」を想起した。

 「RUN FOR MONEY 逃走中」でかかってたBGMが使われていたが、なるほど確かにぴったりである。

レインメーカー

レインメーカー (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 オカダ・カズチカが主演じゃなかった(薄いプロレス知識)


【「カネの雨」入場演出を完全再現!】『オカダ・カズチカ レインメーカードルシューター』が新発売!

 マット・デイモンの弁護士始めましたモノ。ちゃんと初心者として法廷の中で勉強して成長していくのは見ていて楽しい。割といい人はいい人、悪い人は悪い人と分かりやすくキャラ付けこそされているが、よく考えたら一線超えた部分はお互いにあるし、職務に忠実なだけで悪い側にもきちんとやってる部分はある。だからこそ、主人公の下した進路に関する決断は納得できる仕上がりに。とはいえ法廷物としては論理の甘い部分も感じる。

 メインとなる保険訴訟だけでなく、遺言状作成とDV事件に関する話が出てくるがそこまでクロスしないし、DV事件に関しては主人公は弁護士としてというより、人としての一線を越えている。それがもう少し彼自身の人生や保険訴訟に関係してこないのはちょっと疑問。

ユージュアル・サスペクツ

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

あー悔しい!ネタが同じ小説が大好きなのに分からなかった。これはとてつもなく悔しい。振り返ってみれば確かにの連続で良く出来てるわ。カイザー・ソゼをアナグラムで…とかやってる場合じゃなかった。

どうしても時系列や回想が混ざることで、あ、キャラ覚えてないから誰が誰かわかんねぇの瞬間が訪れるが、どっちかといえばそれは私の問題。

レゴ®ニンジャゴー ザ・ムービー

レゴ ® ニンジャゴー ザ・ムービー(吹替版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 レゴの世界ならではの楽しいニャジラの蹂躙や、トランスフォーマーよりスペクタクルな前半の救助シーンは素晴らしかった。でもニンジャじゃないよね、ジャッキー・チェンだし。

 ただ、あまりにもクズなガーマドンやいじめっぷりのヒドい仲間たちまで許してあげるロイドが優しすぎる。ぶったぎっていいって。途中まで親子関係の回復という軸だったからガーマドンの方に感情移入してたら置いてかれてびっくりしてしまったのが失敗かしら。

 そう思っても、中盤以降の冒険のくだりとか結局何の為にやったのかよくわからない感じもあるし、倒すべき敵がどれなのか親子関係が修復するにつれ曖昧になるのも諸手を挙げづらい。とはいえこういった課題も、ニャジラの登場も全部レゴ®ムービーで提示されてることを考えると許せるんだよなぁ。

ドント・ブリーズ 

ドント・ブリーズ (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 ずーっと怖い。劇場で見てたら1000%失禁確実。緊張感が止まらないのでもう嫌だ(褒め言葉)。

 許せぬノリで強盗してる3人組と恐怖の殺人マシーン爺さん&犬コンビの誰にも肩入れできないまま地獄のような90分間。特に前半はグロい描写ないのに正視できない。

 と思ってたのに油断した最後のお土産のように駄目押しがひどい(褒め言葉)。犬が吠えてた時点で、あーおっさん追いつくな、とは思ったけどまさか死んでないとは…

 あとレイプせずに精子を注入して妊娠させて子どもを産んだら許してやる!とかどういう精神状態なら思いつくの?人の所業?

 多分二度と見ない(褒め言葉)。

エンド・オブ・ホワイトハウス

エンド・オブ・ホワイトハウス(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 ドント・ブリーズの緊張感でどうかしそうだったからコレを。こっちのがよっぽど大事件緊急事態なのに全く緊張感が無い。主演ジェラルド・バトラーなので絶対に勝つという安心感、最後には合衆国万歳をする気が満々で開始から観れる。

 そんな訳なのでテロリストが占拠するまでの40分ぐらいが1番ワクワクする。その後は勝ち確を見てるだけだし、特にドキドキするところもない。でもそれでいい。

 だから、天下のアメリカがそんな簡単に未確認飛行機をD.C.まで侵入させる!?とか言ってはならないのです。38度線付近から米軍が撤退したからって即朝鮮戦争再開とはなるまい、などと言ってはいけないのです。(まあこれは文在寅政権だから余計に思うだけかもしれないし)

 屋上の兵器を破壊したことを報告して今度こそ突入させれば良いとか言ってはダメです。

 報道管制がガバガバとか言えないし、敵の造形ももっと深みが欲しいとか禁句です。

 うん、そういう野暮なのを別にしたって大統領の息子とかもうすこし上手く使って欲しかったし、あの事故で夫人見殺しって言われるの可哀想すぎた。

フューリー

フューリー(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

 ガチガルパンティーガーって黒森峰だっけか。

 戦車チーム5人、というよりはノーマン君とブラピのバディ感の方が強かった。ノーマンの就職先間違えた…という感じの絶望で最初は戦場の狂気を良い感じに表現していると思ったけど、占領した町での残り3人の振る舞いでイラっとした。それで終われば軍隊isクソ、な感じでいいのにボイドはさっきはごめんな、とか言い出すから女性の前で大声を出したり威圧することがコミュニケーションだと思ってる最悪なクソに成り下がったので、このチームをヒロイックに見れなかった。そんな連中に認められても、クソな人側に近づいただけだし、成長とは言わないのでは…?

 本当に悪い人の描き方が下手だからデヴィッド・エアーはスーサイド・スクワットをあんな感じにしてしまったのかしら。

 あとこれより後発だから比べると可哀想だけど「ハクソー・リッジ」の方がエグかった印象。

tea-rwb.hatenablog.com

なんちゃって家族

なんちゃって家族 (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 楽しいしくだらないし、意外と脚本もうまいんだけど、どうもコメディが合わない。アメリカンコメディが合わないのか、下ネタが単純に合わなかったのか。

 社会のはみ出しものたちの疑似家族が本物の繋がりを見出す、冒険のハラハラ、コメディと大好きなガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと要素は似ているのに乗れ具合が全然違った。

 「デトロイト」とのウィル・ポールターの高低差よ!

ワルキューレ

ワルキューレ DVD

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 ヒトラー暗殺計画の7月20日事件をトムで!歴史を見れば計画が頓挫したのは丸わかりだし、そういう意味でもミッション・イン・ポッシブル。あっちは絶対成功だけど。

 前線ではなく会議の方の戦争映画でもあるので「ウィストン・チャーチル」とか「日本のいちばん長い日」なんかを思い出す。

 相手がヒトラーなのでトムを善なる存在として描けるが、やってることは殆ど2.26事件なのは留意しないと。まあトムだから善人にしか見えないけどさ。偉い人たちのオロオロで中々にハラハラするしおじさんたちの繊細な演技合戦は楽しかった。

LOOPER/ルーパー

LOOPER/ルーパー (字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 タイトルのルーパーの回収、ループするのは人じゃなくて罪や悲しみ、復讐っていうのは良かった。

 SFのフリしてるけど、完全に罪と罰を描いた作品。だからタイムトラベルとその矛盾や記憶の構成、超能力や未来ガジェットに関する部分がことごとくアカン。

 まあ30年後から来た奴の目的がコレでは悪者に見えちゃうし。

 ブルース・ウィリスが無双してもダイハードにしか見えないし、アクションの撮り方も上手くは見えないし、この人がスターウォーズに選ばれたのはちょっと可哀想だな、なんて思ってしまった。

フィフス・エレメント

フィフス・エレメント (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 レオンを見ないでリュック・ベッソンを見るプロジェクトでもしてるのだろうか。

 スペース・オペラっていうのかね、いろんなルックの宇宙人が出てきて愉快ではあるんだけど、結局話の中身が殆ど無い。石を巡る争いのファクターが多いわりに、どれぐらい石の活用方法を知っているのか集団によって曖昧だし、その石で止めたい相手についてもよくわかんないし。

 あと申し訳ないけどDJ役が割と不快。五月蠅いんだよね。なのに最後までくっついてくるし、状況を理解したわけでもない。主人公やリールーたちとのチーム感があればいいのに、それが全くなく個々人が勝手に頑張ったって感じで、コルネリウス神父でさえチームの一員だった、という感じもない。挙句別行動が多かったリールーとの結末は、え、そんな感じあったっけ?みたいな。

チャーリーとチョコレート工場

チャーリーとチョコレート工場 (字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 チャーリーを含む5人の子どもがチョコレート工場に招待されて1人、また1人と酷い目に遭っていく…なんて書くとスプラッターみたいだが、状況としては「そして誰もいなくなった」みたいなもんで普通に考えるとありえない酷い目に遭っている。ティム・バートンの描いた不思議な世界と全体に強く感じる寓話性がそこをソフトにしてくれる。

 最後の選択を考えると、チャーリーは映画が始まった時点で最後の問いへの答えを持っているので、実は成長しているのは工場主のウォンカ。そういう意味で考え直すとかなり良く出来ていると思った。

 正直、荒唐無稽な話だし、チャーリーのお家に模型があったりで、うわ、これ貧しいが故の妄想の話では?とずっと思ってたのでスムーズに受け入れていたが、チャーリーが招待状を手にする展開のトコだけはうーん、というか。素直に手に入れた方が良かったのかな、とは思うがティム・バートン100%善意で出来てる人間を描くわけもないか。

ローマの休日

ローマの休日 (字幕版)

WATCHA5.0点

Filmarks4.8点

 午前10時の映画祭にて。

 役割からの逃走、身分を隠した分不相応な恋。原点にして頂点!王道にして覇道!文句なし!

 この道の先にアナ雪を初めとしたディズニーの最近の風潮もある。

 何より最高にキュートで気品を併せ持つオードリー・ヘップバーンが最高。

 記者&カメラマンという職業なので、実は夢だったかもしれないその瞬間を確かに切り取って収めている、忘れられない1日にしている。

 ローマの観光映画としても是非。

ピンポン

ピンポン

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 湯浅政明版のアニメも見てる。それも傑作だが、此方も素晴らしい出来。

 アニメと比べればペコとスマイルの話にフォーカスしてて、即ち努力と才能の話でもあり、友情とヒーローの話でもあり、ジジイとババアの話でもある。2人にフォーカスしてもこれだけ多面的なので、国を背負ったコウや常勝を背負った海王高校のメンバーも好きだが、それ全部は出来ないし英断。

 スポ根はやっぱり汗ですよ。汗をかかずに熱さは出ない。ちゃんと卓球の試合が会話のラリーになってる。

アポカリプト

アポカリプト(字幕版)

WATCHA4.5点

Filmarks4.3点

 マヤ文明の頃を舞台にとても「野蛮」で「原始的」で「リチュアル」な世界での部族の話。戦闘っていうか逃走。あえて鍵括弧つきなのは、当然対比の対象が部族間ではないところに終盤持ってこられるから。

 世界史が専門ではないものの、例えば、バビロン捕囚とか、ダイレクトにレコンキスタとか、あとは当然ヨハネの黙示録。思いつく単語は色々ある。メル・ギブソン自体が非常に強い宗教観を持っている人だし、「ハクソー・リッジ」でもそうだったように彼自身のそれが作品に投影されているだろうことも容易に読み取れる作品。あれ、でもそうするとメル・ギブソンってどの立ち位置からこの作品作ってるんだ…??

 だが、それと同時に一人の男が自立し、そして家族の為に戦う物語でもある。自身のホームである森を舞台にした逃走と戦闘はアイデアに溢れ、とても楽しく見れる。近代的価値観であろうとそうでなかろうと、家族や自立、ということは十全に普遍的テーマとなりうることを示していると思う。

 この作品の中でのそれぞれの部族・文明での共通する宗教観などの前提条件の明示がないのでちょっとそこがノイズではある。(例えば予言の重要性)

アメリカン・スナイパー

アメリカン・スナイパー(字幕版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

 戦争映画としてはかなりミクロなつくりで、「ダンケルク」と似た印象。まあ戦争映画というよりも伝記映画なので当然だが。

 スコープから覗く映像の数々はスナイパーの生きざまを描いたものとして非常に優れており、銃撃戦の緊迫感はまるで自分も戦地に赴いたかのような印象に。また、狙撃手の特性上、戦場自体を俯瞰で見ながら一点を狙う、というのも戦場のカオスとは少し違うベクトルで戦争を捉えられるのでそれもよい。

 とはいえこの映画、一番描きたいのは戦争で活躍したことの顕彰ではなく、戦地から心が帰ってこれない男の悲劇。胸を張って国の為に戦った。守る為に戦った。だが、そもそも異国の地で軍隊を守る為に戦うという矛盾。「まだ救いたかった?」医者の言葉は「まだ殺したかった?」とも聞こえる。

 あとはこの映画、現在の視点から見るとイラク戦争自体をどうとらえるかまで踏み込んで描ければ大傑作足り得たのでは。描いている話の持つ問いかけ自体はモデルがイラク戦争なだけで、ベトナム戦争から変わっていない。個人にフォーカスするのも勿論だが、戦争の主体とは?を考えていかないと第2、第3のクリス・カイルが生まれてしまう。いや、既に生まれているし、彼だってその第1号ではなかったはずだ。

ラブ・アゲイン

ラブ・アゲイン (字幕版)

WATCHA2.5点

Filmarks2.7点

 えー、これ評判いいの…と困惑するのは私の恋愛観がどうもズレてるからなのか。

 息子と子守との話とか、いいとこはあった。

 真面目な男がチャラ男に出会って自分を変える、結構なことだ。でも人のことを尊重できずにディスっておいて、そっちの価値観に染まって純愛体質に勝手になったならその責任はとらないとダメでしょ。人の家庭ぶち壊してるのよ。そのせいで責められるスティーブ・カレルがあまりに可哀想で。優等生が一度校則破るのと、不良が猫拾うのと同じ構図や。

 そして何より最終的に到達する一定の恋愛観や親子観自体は否定されるものではないが、だとしたらジュリアン・ムーアはもっと罰を受けるべきだ。勝手に不義を働いて、別れてた間の行為にはとやかく言う。大体の問題はあんたのせいだぞ。「めぐり逢えたら」の感想でも思ったが、不義の理由がきっちり片付かずに解決した風になってるけど、数年後にまたやるぞ、この女。

 いかん、ハリウッドのロマンチックコメディ過激派になりつつあるな…

舟を編む

舟を編む

WATCHA4.0点

Filmarks4.1点

 良い人しかいない最高の世界で辞書作りを非常に長いスパンで描いた見ていて幸せにしかならない良作。

 言葉の海に溺れていく描写を入れた後にヒロインの宮崎あおいが登場するのだが、明らかに意図的に満月をバックに収めておいて名前がかぐや。絶対疲れて見た幻だと思ったら、どうやらそうではない。でも彼女も夢を持っていてちゃんと自立している。これ辞書作りに没頭しすぎたらいなくなる(=月に帰る)パターンかと思いきや全然そんなことなかった。いいひとしかいないこと、馬締でマジメ、という設定など、実はリアルに見えてファンタジックというか、フィクショナルな部分が入ってることでそこを迷ったけど、これって別に悪いことではないと思う。

 かぐやさんを含めて、男として、とか女として、妻として、そういうことではなく、人間として素晴らしい人たちばっかりだったので本当に精神衛生に良かった。時間を飛ばすのもあっさりしている割に説明台詞とかも少なくていい描写多かったし。

 しいて言うなら、13年後以降に関わった面々の地獄のロードが肯定的すぎる気がするのと、そこへの顕彰がないというか、初期メンが思い出として強すぎて黒木華とか少し可哀想かな?という感じ。

箱入り息子の恋

箱入り息子の恋

WATCHA3.5点

Filmarks3.3点

 全体的にいい話なんだが、終盤から怒涛にポカンとする話になってしまう。常軌を逸した行動と吉野家と違って必要のない繰り返しは間抜けにしか見えず。家や職場で泣き喚き、当たり散らすシーンは見てられない。どうしてこうなっちゃうと思いきや、この監督「ハルチカ」の人だった。うん、信頼感ゼロです。

 親が子の婚活をする、という事象に対して単純に気に食わないのだが、まあそれはこの作品のテーマとして並立させてある親の子離れとも繋がるからいいだろう。

 でも、結局そこの結論を特に大杉漣に関しては描いてないのはちょっと物足りない。彼自身の持つ偏見や子に対する考え方のズレの変化に対するエピローグがないと子離れ、というテーマに向き合えてないと思う。

 そして何より「盲目」ということを感動ファクターの1つにしか考えられてないと強く感じた。夏帆さんの演技自体は良いと思うが、例えば彼女の住宅はおよそ盲目の娘が、しかも彼女の面倒を見ていることを過剰に誇っているタイプの親がいる家には見えない。直近で「見えない目撃者」の試写を観てるからかも。

 星野源はイケメンとは思わないが、星野源の顔面で夏帆さんやガッキーと恋人役をするには星野源並みの才能が必要だと思うと辛くなる。いいな…

ハンニバル・ライジング

ハンニバル・ライジング (字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

 「羊たちの沈黙」でお馴染みのハンニバル・レクターの序章。これで終わりだと思ったらこれと「羊たちの沈黙」の間に「レッド・ドラゴン」というまた別の映画があるとか。何本あるんだよ。

 ナチスに両親を殺され、妹を食われるというレベルマックスのトラウマを抱えて殺人鬼として目覚めていくレクターを描いていて、復讐ものとしてはうまく行きすぎな場面があるものの、しっかり楽しめた。

 ただ、いかんともしがたいのは、これはハンニバル・レクターの物語だということだ。これはもう個人の解釈や希望の問題だからしょうがないが、彼がいかにしてああなってしまったのか、は語らないでほしかった。こうやって物語になることで非常に分かりやすく理解できる人間になってしまう。そうじゃなくて、そこにある狂気、みたいな存在でいてほしかったな、と。(じゃあこの映画見るなって話し)。

 それは置いておいても、レクター博士の「博士」の部分はそこまで、みられず復讐の追われた殺人鬼、ってだけで横溝正史金田一(孫の方)なんかに出てくるような結局理性より感情が先走った「人間」だった。

ヒッチコック/トリュフォー

ヒッチコック/トリュフォー(字幕版)

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

 「めまい」「ダイヤルMを廻せ!」「見知らぬ乗客」だけを見た段階でコレを見るのは早すぎたかもしれない。いろいろ見てからもっかい見よう。

 トリュフォーヒッチコックをインタビューした様子をフィンチャー、スコセッシ、黒沢清などの現代の名匠たちの語りと共に。これだけのメンバーが集まるヒッチコックの偉大さが身に染みる。