どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
6月は19作品を鑑賞しました。 名画座ブーストが1回と午前10時の映画祭が1本であるので実質16本ですかね。先月よりは沢山見れました。
偶然引っかかった「セント・オブ・ウーマン」が滅茶苦茶ヒットしまして、今年全体のベストかもしれません。取り敢えず上半期はベストでした。
宇宙人ポール
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
いやー、サイモン・ペッグ×ニック・フロストは本当に外れない。めっちゃ面白かったわ。スピルバーグの「未知との遭遇」「E.T.」を中心に宇宙人モノやスピルバーグへのオマージュを大量にぶち込みながら、下ネタ罵詈雑言に人の死がギャグになる不謹慎系ネタも含めてもう最高。なのにちゃんとストレートにロードムービー、そして友情の物語として最高。そういった意味ではこの系譜の先にあるのはデップーちゃんなのかもしれない。
だいたいアメリカを描く際に、キリスト教原理主義をネタにしていいのか。明確に主人公は眼を塞がれている中で、ポールと出会って聖書・そして父親から解放されて眼が見えるようになる。そんな扱いでいいのか笑
アメリカン・グラフィティ
WATCHA3.0点
Filmarks3.1点
ある一夜の物語としてなら青春が詰まってて結構好きになれそうなんだけど、仲間4人のうち2人が町出る最後の夜の話としては好きになれん。なんで個別行動なんだよ、なんでそのタイミングでそれすんだよ?もうイヤになる。
グリース、ブレックファストクラブとダメだったし、アメリカのクラシックな青春ものは合わないのかね
レ・ミゼラブル(2012)
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
いやー、ミュージカル版レミゼを見たのも10年ぐらい前だろうか。原作読んだのは15年以上前だ。
ミュージカルと比べるとやはり音響の調整が効いていたり、舞台転換がないのでスムーズに話が進む。一方で、情緒・余韻の部分が物足りなくなってジャン・ヴァルジャンとジャベールの人間味が少し薄れてるようにも感じる。
圧巻はやはり民衆の歌。スクリーンで見たら最高だろうな…
セント・オブ・ウーマン/夢の香り
WATCHA5.0点
Filmarks5.0点
アル・パチーノの名演にまずは拍手。強引で口の悪いトリッキーな感じかと思いきや、ある日を境に明確に意志が弱まり、そしてまた復活する模様が完璧。演説シーンは画面の前で思わず拍手してしまった。
最初は腕に触らせず、自分が触ると怒鳴りつけていたのに気づけば自然に触らせてエスコートさせている。2人の距離の近づき方の演出がとってもスマートで、そのおかげでアル・パチーノが可愛くすら見えてくる。
青春における進路と友人という悩みもだが、何か生きていく中で大事なものを失った上での尊厳の話でもある。全年齢全方位型にぶっ刺さるオールタイムベスト級の傑作。
ビッグ・リボウスキ
WATCHA2.5点
Filmarks2.5点
いやー面白くはない。無計画な巻き込まれ型、とは言いながらもさっさとベトナム帰りをぶん殴れよデュード、と思い続けたら終わってた。結局なんだったのアレ?っていう伏線放棄が凄まじく、それは先の読めない脚本というより無茶苦茶なだけでは。
なにかを風刺したりカリカチュアしてるのかもしれないが、それには製作当時のアメリカ情勢についてあまりに無知なので乗れないのは仕方あるまい。
鉄コン筋クリート
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
海獣の子供の前にスタジオ4℃体験ということで。監督は「ハーモニー」で解釈違いをおこしたマイケル・アリアス。
とにかく圧倒された。いやー凄い密度。話としては結局何の話?みたいなところは否めないが、ひとりの人間の内面における善と悪の共存をそれぞれキャラクター化したシロとクロ。そしてイタチ。その精神の話であってそれをここまでアクロバティックに見せるのも良い。
そして何より特筆すべきは1mmも感じさせない蒼井優の芝居。二宮くんは多少顔が見えたが、蒼井優は最後まで顔が見えなかった。すげぇ。結婚おめでとうございます。
ゴッドファーザー
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
午前10時の映画祭にて。傑作の評価も納得。前後半に分かれて録画してあるパート2も早く見たいが、3は録画がないから見るタイミングが難しい気がする。
閑話休題、マフィアのドン・コルレオーネの盛衰とその息子でマフィアと距離を取っていたマイケルが2代目になるまでの話。ドンを演じるマーロン・ブランドのすごさも語らずにはいられないが、やはり徐々に豹変していくアル・パチーノには驚嘆しかない。今月はアルパチーノ驚嘆月間なのか。ラストの殺戮はもうあっさりすぎて。人の死がいかに軽い世界に彼が立ち入ったのか、カルロが殴られまくっただけの中盤ぐらいのシーンと比較するとまるで違う。映画の前後半でどうでもいい命の重さの感じ方が観客とマイケルで同期しているのだ。
シチリアでの生活とかは徐々に人の死に抵抗がなくなったり、裏切りを覚える為に必要なのかなぁとは思うがあのあたりはソニーが殺されるまで正直話が停滞していたようにも感じた。あとやっぱ、それなりにマイケルが人間として一線を越える瞬間を見たかった。気付いたら割とスパッと時間飛んで完全に一線を超えてたもんで。
凶悪
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
全員狂人にして強靭。犯行を行ったヤクザども、そして何よりリリーさん演じる先生の常人じゃない感じ、今じゃ洒落にならない瀧さんの悪さは素晴らしいが、それだけでなくのめり込んでいく記者もその妻もみんなどこか狂っている。その割に本当に狂って壊れる人が少ないのでこいつらすげぇな、と思う。だが、本当に怖いのはこの狂気が我々のすぐ隣にもいることだろう。
話自体は凄く好きだし、良いんだけど第2幕となる3つの事件の回想に入るところからいったい誰の視点なの?と神の視点になっちゃって記者が解き明かしていく、という形はとらないのに中途半端に聞き込みとかを入れているのでミステリーとしての手法を用いようとしながら放棄するのはいただけない。
しかし、こんな風に事件を記者の執念で掘り起こすような媒体だったんだ、新潮45って(某生産性発言を思い出しながら…)。
ザ・パッセージ/ピレネー突破口
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
100分以内にナチを相手に戦う男と家族、ナチの非道さ(っていうか印象に残りまくるヴィラン)を描き切ってるのは素晴らしいし、山を舐めてた奴らが軒並み山で死ぬのは素晴らしい。ただ、その山を舐めてた1人が主人公サイドでそこを感動ポイントに置かれても、いや山舐めるからだよ、神が登らせるじゃねぇよ、で終わってるので感動しねぇ。TBSラジオsession22でも度々行われている遭難に関する特集を聞くことをお勧めしたい。
何が起きてるか分かりづらいカメラワークや明らかにフッテージな雪山描写はまあしゃーないか。
恐怖の報酬オリジナル完全版
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
人の顔直ぐに覚えられない私にとっては冒頭からの4カ国での墜落のきっかけをしてからの南米日常パートは誰が誰やら、話が進んでるやら進んでないやらで退屈気味ではあったが、いざ爆発が起きてからは怒涛。
大雨の中の橋、倒木、反政府ゲリラ。困難を乗り越えれば乗り越えるほどこれがヤマだろう、と思ってからの更なる困難。本来は褒められるべき人間でない彼らがヒロイックに見える。橋のシーン、ただトラックが進めるか進めないか、だけのハラハラでここまで画面に引き込まれるのか、文字通りサスペンスの教科書と言っていいのでは。
もっと前半から上手いことキャラが集っていく過程を綺麗に出来たら満点レベルだったと思う。
スチームボーイ STEAMBOY
WATCHA3.0点
Filmarks3.1点
画力の素晴らしさ、破壊力に関しては流石大友克洋クオリティ。しかし。
科学は何の為にあるのか、という問いをメインで投げかけながら、国家と科学、戦争と科学、など登場人物たちにとっての科学をいろいろな側面で見せているのに主人公のレイはその問いに対して答えを出さず、あくまで家族を助ける、という別の倫理で行動している。科学技術が戦争や軍事によって飛躍的に発展することは間違いのない事実だが、知的好奇心もまた科学を育ててきたのも事実。そこの部分に折り合いをつけることなくなんとなく浅めにスチームパンクをさらった活劇にしてしまった印象。家族という倫理をもって、科学倫理以外の部分で行動する主人公、という点では「風立ちぬ」と似ており、やはり両作とも追及できていない。
「風立ちぬ」より劣るのは、明らかに「風と共に去りぬ」から名前借りしたスカーレットの存在。キャラクターの振る舞いと声は完璧にあっていて小西真奈美さんは素晴らしい仕事ぶりだが、その振る舞いと声が許されるキャラクターデザインではない。端的に言って、可愛くない。この手の造形のキャラで可愛くないのは致命的…
マッチポイント
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
気付かずウディ・アレン初挑戦に。
不倫で男ってバカね、というべきか、スカヨハ魔性の女というべきか。割と古典的な話が進んでいくので中盤までスカヨハの魅力一本勝負。
最後にコートのどちら側にボールが落ちたか、それは運。この結末は彼にとって運がいいと言えるのか、それはこの先次第だろう。
ただ個人的に「マッチポイント」ってどうだろう。勝利まであと1点、みたいなそういう話とは違った気がした。どっちに転ぶでしょう?みたいな英単語無かったのかね
紙の月
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
見ていてロクなことにならないのが分かるから見続けるのがドンドンしんどくなる(誉め言葉)。
序盤の田辺誠一演じる夫のムーブに宮沢りえ視点でキレそうになったが最後、止まらない下り坂を転がり切って最後にはもうとんでもない所まで行ってしまっていた。彼女の転がり具合を表す陰と陽の表現、即ち金遣いの荒い部分とそのための泥臭い努力の部分の演出がとても好き。
陰と陽で言えば、完全に宮沢りえの心の中の天使と悪魔の悪魔の声に相当する大島優子も素晴らしかった。池松壮亮も素晴らしかった。池松さんも宮沢りえも相手は互いにその人でないといけない、という訳ではなさそうなのがとてつもなく辛いねぇ…。
小林聡美の役は事態を進行させていくために必要なんだけど、銀行業務上肩たたきされてる状態であっこまで本来関係ない業務に従事するのは若干の疑問が。。。
夜明け告げるルーのうた
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
「崖の上のポニョ」やルーのパパのトトロ感からして湯浅監督なりにジブリに挑戦した作品なのかも。序盤はE.T.とかも感じたけど。
ジブリと決定的に違うのはやはり音楽の使い方、そして湯浅ワールドというべき作画。マッドになるところだけでなく詭弁部踊りよりも動くダンス、そして独特な水の表現。たまんないっすね。
メン・イン・ブラック
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
最新作公開前にぜーんぶ予習しようと思ったんだけどネトフリには2だけ無かった。2見ないで3見るのはなんか嫌だからこれだけ見た。
わっかりやすいエンタメ!宇宙人が何かのメタファーって感じも無いし単純にガジェットやちょっとしたレベルのミステリーで楽しい!
しかも100分切りの作品なのに第1幕は割り切って世界観紹介に使ってるから懇切丁寧。冒頭のシーンもただエイリアンが入り込んでるよー以外の意味を持つラスト。舐めてると思ってるよりちゃんとしてるシナリオに足元掬われるよ!
日の名残り
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
滅私奉公がすぎるぜ。
後にナチと手を組む「英国の裏切り者」的存在に仕え、屋敷の主人も変わった、そののちにかつての使用人仲間にして秘めたる恋心の相手に逢いに行く話をかつて共に働いた時代を振り返りながら進む話。
彼の父を雇うくだりだけは彼の私的感情を感じるが、その父がしくじってからは徹底的に個を殺し、主人に仕えたその姿はほぼほぼロボットのようにすら感じる。ナチと手を組もうとする主人にも物言わぬは、忠臣だったと言っていいのだろうか。
いずれにしても、映画という客観表現より文字で読む主観表現の方が味わい深いのでは、と感じた。
アウトロー(2012)
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
イーストウッド、アイスランド映画に続いて邦題「アウトロー」は制覇かな?アウトロー〇〇みたいなのはまだあるけど。
要所要所で良いシーンはあるものの、どこか物足りない。トムのアクションものにしてはMIシリーズほどではないし、アウトローが正義の鉄槌を下すタイプの作品だとイコライザーのような爽快さも足りない。サスペンス調の割には大したことないネタで引っ張るし、ちょっと挟む笑いもそこまででもない。射撃場のおっさんが頼もしかった。
抱きたいカンケイ
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
殆ど同じ中身で主演女優が「ブラック・スワン」の陰と陽、ミラ・クニスとナタリー・ポートマンってことで、以前見た「ステイ・フレンズ」と対比されるやーつ。
「ステイ・フレンズ」と大差ないかなぁと思ったけど、こっちのほうは折り返し辺りで決着ついてるようなもんでウイニングランが長い。あとまあエンドロール前で残りのキャラクター同士で雑に片付けとこう感が好きじゃなかった。
クロッシング(2010)
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
「イコライザー」の信頼できる男フークア監督作。
3人の刑事が主人公だが、彼らの警察としての正義というよりも彼らが爆発する瞬間を捉える物語になっているので、ある種クライムものにも見える。まさにその爆発を象徴するのが拳銃射撃であり、その瞬間に向けてラスト30分で一気に加速していく。銃を撃つ瞬間こそが重要、という意味では西部劇的ともいえるかもしれない。
それぞれの男たちが銃を抜くまでが少し物語が重いのは否めないが、とにかく収束していく様が素晴らしい。
まあ、この3人を考えると必死に真面目に生きてきてついに爆発する人物とそれまでダメだったのについに銃を抜いた人物とで、不良が更生したから偉い的な結果に終わったのが少し残念。