どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
3月に見た旧作はイーストウッド作品を中心に20作品。試写会があったりと割とおとなしい本数になったんでしょうか。とはいえ、「シンドラーのリスト」とか重めのも結構ありました。アニメ映画は無かった!!なんと!!
シンドラーのリスト
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
3時間を超える上映時間もだが、題材もホロコーストなので極めて重く、しんどい。ただ、エグさは「サウルの息子」の方が凄かったかもしれない(別にそれは作品の優劣の尺度とは別だが)
ナチによる虐殺が事実だということを忘れたくなるぐらい、アーモン・ゲイトはあまりにも滑稽で、幼稚で、おかしいことしかしていなかった。
正直、シンドラーが何故当初の金儲けから心を動かされたのかが、他の描写が微細なために飲み込みづらく、一番の重要な動機が描かれていないせいで彼がヒロイックに扱われすぎている、という批判も納得は出来る。
ラストにカラーパートになること自体は、モノクロの映像で救った人たちの命が現在にも続いていることを示すが、今現在となっては別のメッセージにも見える。ナチはカラー映像の世の中にもいませんか?と。
めぐり逢えたら
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
トム・ハンクス若っ!と思いながらも、えっ、これハッピーエンドなの?
マリッジブルーで非の打ち所がない婚約者を捨てて、全く知らない男に運命を感じた女と自分の好みだけで父親を邪魔して勝手に大陸横断した我儘な子の産んだ悲劇でしょ。
バレンタインデーにエンパイアステートビルにハート出たらその男との運命って、バカじゃねぇの。
断言するが、この女性は仮にこの運命の相手(仮)と結婚するとしてもまた直前のくだらない偶然で彼を捨ててしまうだろう。
せめてそこをフォローする為にも互いの手が触れ合った瞬間の何かがもう少しあれば。
ブレックファスト・クラブ
WATCHA1.5点
Filmarks1.5点
いつかは見ないとと思っていた青春ものの金字塔。なのだが。
正直頭の20分で拒否反応出まくってた。補習をサボる勇気もない半端モノの癖に、作文はちっともやろうとしない。なんだこいつら。特に不良は、本を破ったり、目録ぐちゃぐちゃにしたり、図書室で火を使ったりで、その時点で死刑確定。何がバックグラウンドにあろうと許さねぇ。教師もそもそもそこにいるならちゃんと監督しろよ、とかクズなのは否めないし、図書館で飲食させているので同罪である。
スクールカーストを可視化した時点で凄いのかもしれないが、個人的にはあくまでスクールカースト上位が理解した気になってるだけの作品だし、どの段階でも不良に肩入れする気持ちにならなかった。大体ラリってからじゃないと話せないぐらいなら、こいつらは友達でもなんでもない。酒飲まないと本音で喋ってないみたいな連中と同じだ。
更に言えば、後に明かされる本音とそれまでの行動もちっとも噛み合わない。例えば、スポーツ馬鹿。いじめをしたことで相手を思いやれなかった事実に気づいたとか嘯くが、その直前のお嬢様へのしつこい処女か尋問に加わってるのは何だ。何も変わっていないじゃないか。
教師もクソ、ラリって見た夢じゃないと乗り越えられないスクールカースト、というように学校をディストピアとして捉えて比喩的に描いた作品、と考えればまだ納得できる。
8 1/2
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
夢か現か回想か、はたまた映画内映画なのか。油断すると直ぐに虚実入り混じる。
主人公の映画監督グイドは始まってからラストまで映画を悩み続けており、従って推進力は殆どなく雑多な会話劇がずーっと続いていく。その特徴や問題点は冒頭に自己言及的に既に明示されている。それなのに何故か画面を閉じれない力を持っていた不思議な作品。
グイドの作ろうとした作品はSFだったようだが、かなり私小説的であり、それと同時にこの作品もまた私小説的である。極めてメタ的な構造の末のラストは最早どうなったのか私には分からなかった。けれども何故かそれでいいという気もする。
フェリーニのアマルコルド
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
8 1/2と違い、混乱することはないが、話に軸はなく、ファシスタ党の件もそれっきりで「この世界の〜」のような戦時下の生活を描いたコメディとも違う、最後まで掴めなかった作品に。
いかんせんてピソードごとに暗転が入るし、語りかけてくる弁護士がいたりでブツ切り感が否めない。それぞれが終盤にまとまってくる訳でもない。
桐島、部活やめるってよ
WATCHA4.0点
Filmarks4.2点
なんだか不思議な映画。
学生時にスクールカーストから逃げ出した人間からすると、スクールカーストの上位のお戯れを見せられているうちはムカつくだけだが、その中で同じ場面をいろんな視点で見せることで他者とは理解不能であることを意識させられる。その象徴が桐島であり、結局何者だったのかは伝聞以外に示すものは何もない。
ラストで放たれる、でもそこで一生懸命生きていかなくちゃいけない、というのも一瞬の煌めきだし、野球部のキャプテンも輝いている。それがこの些細な人生に少しだけの生きる意味をくれる。ただ、結局その壁を乗り越えられるのは東出君くらいの超人じゃないとムリっぽいというのはしんどいねぇ。
あと、見ているだけでイライラする、カースト下位の人間の名前も覚えていない女を演じる松岡茉優の凄さ。「勝手にふるえてろ」でそっち側を演じた際の完璧さを考えるとなお力量に震える。勿論、くだらないと思っていることに腐心し、やりたくないことをする橋本愛は最高。
そしてこの映画でついに気づいた。私は学校が関わると途端にリアリティラインの要求が高くなるのだろう。にも関わらず学校描写は完璧。これは凄いわ。
ブライズメイズ 史上最悪のウェディング
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
軽めのギャグからどぎつい下ネタまでオンパレードで笑った笑った。いやー面白い。
ただ、話自体はかなり力技でヘレンを許せるかどうかで言えば個人的には許せないタイプなので出来た人だと思う。あと下宿?というのか、アニーの部屋に勝手に入る兄妹は死刑でいい。シェアハウスに住んでたことがある身からしたら、日記読まれるのは勿論部屋に勝手に入られるとかその時点でこっちから出てくわ。
メリッサ・マッカーシーはメチャクチャいい役だが、それ故にあと2人の仲間がちょっとキャラ薄いかな?
SUPER 8 スーパーエイト
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
わっかりやすい「未知との遭遇」のち「E.T.」と感じました。
そのせいで、前半描く親子ものとしてのものと後半の宇宙人ものとでもうバラバラ。結果論として後半にここまで子どもたちに無双させるのであれば、大人パートは完全に不要ではないだろうか。あとお母さんの話もただの病死とかでいいし。
細かい話をすれば、象徴として母親の写真の入ったロケットが持ってかれる、主人公と接したことでエイリアンもまた彼の心を知った、などと象徴としての場面は分かるんだけど、じゃあ前者は横にいる連中のネックレスが気になって仕方ないし、後者はヒロインが連れてかれた時にそうならんのか、とか場面ありきになってる気がする。そもそも殺した奴と連行した奴の区別は何で、連行された彼らは何故生かされていたのだろうか。
でもあれだな、エル・ファニングが出てる映画見るといっつも言ってる気がするけど、エル・ファニングが近くにいる生活を来世では送ってみたいねぇ…。
レスラー
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
あーなるほど、すべてを失った男がプロレスを通して家族や愛を取り戻していく物語ね、最近見た「運び屋」と構造は同じか、なんて思っていたのが甘かった。
偶像の中で生きてきた男が、大衆に求められるままに生きて死んでいく物語だった。彼を止めることが出来るのは審判でも対戦相手でも病でもない。ファンだけなんだ。
とはいったものの、医師がダメっていってるのに無理しちゃうの良くない!とか、そもそもプロレス弱者には中盤の流血戦が痛々しくて見てられない('Д')とか、スーパーの惣菜屋でのアレはバイオテロやん!などの難点も。
ボウリング・フォー・コロンバイン
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
コロンバイン高校銃乱射事件を受けてのアメリカにおける銃規制問題を扱ったマイケル・ムーアのドキュメンタリー。マイケル・ムーアの作品を初めて見たからびっくりしたが、これは最早ドキュメンタリーじゃなくてひとつのバラエティ番組とすら呼べるのではないだろうか。っていうか、ドキュメンタリーって何だろう。
NZで銃乱射事件が起きた日に見たのは偶然ではあるが、うーんやっぱり根深いものがあるなぁと。そしてやっぱり日本ではどうなの?というのも考えちゃいますよね。銃乱射は無くても、相模原、秋葉原。無差別殺傷事件や差別が原因の事件なんて山ほどある。若者犯罪の件数は、全体でも人口比でも減っているのにそれと逆の思い込みが広がっている。そんなに遠くにある話とは感じない。
エクス・マキナ
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
閉ざされた空間での4人の劇とは思えぬ見事な濃密さ。
人類とAIという永遠に近いテーマをしっかりと描き切った。ケイレブの末路、そしてそもそもケイレブを読んで実験してしまぅたネイサンのことを考えると人間の愚かさが際立つ。
そして本作で気付いたが、アレックス・ガーランドの描く自然の不自然さと柔らかさを併せ持つ空間の描き方が多分かなり好きだ。
海賊とよばれた男
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
下手くそな朝ドラの総集編を時系列をいじって見せられた印象。
折角面白そうな一代記をやってるのに、一代記をやりたいのか、戦争物をやりたいのか、池井戸潤的企業物をやりたいのかさっぱりはっきりしない。ちゃんと一代記としてエピソードを順繰りに組み立てて伏線にしていけば、若いころとイラン封鎖を突破した話が海賊の1点で繋がっていくのに。結局積み上げで全体を見て作ってないんだよね。
時系列をいじる効果も感じないし、ラストに元妻の話を持ってきても出ていった話の先で別に出てないから特にカタルシスもない。イラン封鎖突破はかなり面白く描けそうなのに説明&説明でつまらない。登場人物を全部架空に設定してるのに実際のイランの革命の話を文字で後付けするのも理解できない。
山崎貴作品に共通することだが、音楽の付け方が絶望的。こちらの感情を勝手に規定して悲しいだろ?みたいにかける音楽が本当に頭にくる。
ルーキー
WATCHA2.5点
Filmarks2.7点
いやー荒唐無稽、古き時代のバカ刑事アクションとでも言おうかしら。
新米とコンビ組むイーストウッドは人質にされて役立たず。新米ことチャーリー・シーンが成長するかと思いきや、成長というより暴発。拳銃が大人の象徴、男の象徴的に描かれてると思ったらそれも放棄するし。
飛行機に追われるという展開だけは楽しいが、その末路で愕然とする。いや、営業してる空港だったのかよ。
ラストはオープニングの繰り返しでルーキーからの卒業だが、ちょっと待て。空港で大立ち回りして町中で暴れて指揮系統無視して、バー一軒燃やしておいて昇進してるのかコイツら。
ペイルライダー
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
いやこれラストも含めて殆ど「シェーン」じゃん!!
最後まで名前すら分からないイーストウッドの演じる牧師、婚約しているのに母娘共々牧師に惚れてる展開、ラストの牧師さん呼び。牧師に付与された神性を踏まえれば、元々おとぎ話だった「シェーン」を神話に書き換えた感じ。オリジナル感は特に感じなかったなぁ。
もうちょっと敵が強いことを示す描写が欲しかった。酔っぱらいを踊らせただけじゃ物足りない。
パーフェクト・ワールド
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
脱獄囚と子どもの逃避行を描いたロードムービー。
法が悪人を決めるのか、行いが悪人を決めるのか。善人とも悪人ともとれるケビン・コスナー。あ、でも脱獄してるし悪人かな、やっぱり。
子どもが惹かれていく様子は可愛いが、まあストックホルム症候群だよね、と冷めた目で見てしまうのは私が大人気ないのか。
あとあの程度でぶっ放すなら、そりゃ黒人も大量に殺されるよな…
アウトロー
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
南北戦争末期の西部劇をイーストウッドが描く、麻雀なら大四喜じゃん、な作品。
単なる復讐譚というよりもどんどん仲間を増やしていくイーストウッドがヒーローのRPG見てる感じ。とにかく行動原理を10分で説明しきっているのでストレスが全くない。
でも途中完全に復讐どこ吹く風な感じだし、もっとコンパクトにできたようにも感じる。
ドライヴ
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
「ペイルライダー」同様基本構造は「シェーン」だった。現代版ということで、車のスタントマンだけど。更に西部劇ではないので勝負は一瞬ではない。よりバイオレントに、よりセクシャルに、そして色彩豊かになっている。
ライアン・ゴズリングの無口っぷりがたまらない、素敵なラブストーリーの冒頭30分。
「シェーン」と同様に彼の生死は分からず去っていくが、「ボーダーライン:ソルジャーズデイ」であんなにフラフラな運転していたベニチオ・デル・トロが生きていたんだ。これだけまっすぐ運転して消えていった彼は生きているに違いない。
トータル・リコール(1990)
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
ツッコミどころこそ満載のストーリーだが、「ブレードランナー」とはまた違う近未来を確かに感じる。そこはヴァーホーベンだけあって悪趣味でグロテスクだが。
いかんせん主人公がシュワちゃんなので武力でなんとかなるだろう考え強いのがアレだが、まあそれを分かって楽しむものでもあるだろう。
結局コレはリコール社の夢だったのか、本当に火星と記憶をめぐる大冒険だったのか。冒頭から毎晩見ていた夢の中身をもっと上手く使えていたらこの辺の解釈もしやすいんだろうな。
氷の微笑
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
シャロン・ストーンの足組み換えばかりが有名な本作。
見立て上はフーダニットのサスペンスだが、どっちかっていうと圧倒的な力の前にひれ伏すしかない下々のみなさん、というドラマを見た感じ。その一人のせいで人生が狂うような女性をファム・ファタルなんていったりしますが、このキャサリンはそれを飛び越えている超人。どんな状況であっても、誰に対しても、完全にイニシアチブを握って遂行している。だから快楽殺人者だろうと、裏で糸を張っていただけだろうと、作品を通して殺人教唆をしていただけだとしても結局彼女の掌の上な訳で。物理的な犯人が誰か、という問いは恐らく無用な作品なんだと思います。
カジノ
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
いやー、どうしようもない人たちが栄華を掴み、そして転落していく面白さ。ジョー・ペシが本当に最高。
殆ど全員が自分のことを棚に上げてブーメランな発言ばっかり、周りが見えない、最高に面白い。
うん、ただ、3時間は長い!!笑