どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
上映が2週目にして激減していた「がっこうぐらし!」、なんとか見てきました。でも本当に客が入らないみたい。MX4Dのスクリーンで1回回ししかありませんでした。初めてMX4Dの椅子で揺れなかったです笑。吉田豪さん絡みで話は聞いてたけど、映画を見てもラストアイドルに興味は湧かなかったなぁ…
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
(以下ネタバレ有り)
1.公開前の炎上
今回の実写映画化に関しては、企画段階で若干の炎上、ポスターでゾンビものとバラシてそこそこの炎上、あげく公開前のキャベツ騒動で炎上、とまあ炎上しきりの作品で実際、私も公開前にはこんなツイートを。
・ラストアイドルが演技初挑戦
— 抹茶マラカス (@tea_rwB) January 21, 2019
・やたらと強調される原作愛
・ハードル低くしたのに良いじゃんみたいな公開前記事
と見るのが怖くなってくるがっこうぐらしに新たな不安が…
見てから判断すべきなのは間違いないですが、映画見る前にはいかなる作品にも、思う事がいろいろあるわけです。個人的にはアニメで見てひっくり返って、珍しくコミックスも買ってしまった作品なので、不安ばっかり。よく言うじゃないですか、映画は公開される前が一番幸せ的な。キャベツ問題はまあくだらないとは思いますが、細部に神が宿る、というかそういうくだらないレベルのことに気を遣えないとノイズが増えてアカン、という考えなのでまあ正直警報がMAXレベルで上がったのは間違いないですよね。そのレベルの監修もつかないの…と。(この不安は一部的中しますが)
あとついでに言うと、極力目に入らないようにしていたものの、監督が公開前から色々宣伝というより言い訳に近いこと言ってて。クリエイターの方には自信をもって作品を見て評価しろ、という姿勢でドンと構えていて欲しいんで、それが出来ない人で大丈夫なのかな…?というのもありました。
と言うわけで原作・アニメ両方見ている組として、じゃあ実際に見てどうだったか。
2.ゾンビ映画<アイドル映画
ポスターでのネタバレがあったように、この作品はきらら系日常作品の皮を被ったゾンビもの。今回の実写化に向けて(本当はあともう1作品のため)ゾンビ映画マラソンも敢行したので原作及びアニメ版の持つゾンビもの愛というものをしっかり感じていました。ジョージ・A・ロメロはショッピングセンターに籠らせ、エドガー・ライトはイギリスなのでパブ。とくれば日本の日常系であれば学校、というロジックは全うでもあり、且つ生き残れる算段も付くわけです。
それからゾンビ映画でつきものの不自然にも感じる非合理的な言動をする役として、1人日常に取り残された由紀というキャラクターがいることでこれを正当化できる、という点も画期的でした。更にアニメではリメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」で提示された人間以外のゾンビ化というところもオリジナル要素で加えて綺麗にゾンビものとして制作していました。
翻って、本作。ゾンビものとしては初代ロメロ版ゾンビやショーン同様歩くのが遅く知能が無いタイプのゾンビ。女子高生が戦う相手としてそうなるのは必然でしょう。ただ、ゾンビものとして考えると本作は大きく物足りませんでした。まず倒し方の雑さ。基本的にくるみちゃんのスコップがメインウェポンなんですが、血が出ない。切断というより打撃という解釈でいいと思います。実際、浪人先輩は屋上で倒したのにもう一度出てきたわけですし。ただ、そうすると殴られたゾンビは気絶しているだけ。それなのになんでそんなに余裕で座り込んだりしちゃうのか。仮に、実は画面に映っていないだけで切断等で倒しているとしましょう。そうすると、あまりにも不自然に血が出ていない。特に制服に血が付かない。校内には床にはないのに柱や窓には血が残っている描写や、火の煤なんかは付くのに血が付着しないというのは正直気になるところ。
こうなってくるとゾンビもの、という要素を切り捨てて考えることになります。すると、もともとの皮の部分、すなわち日常系の要素が強まります。つまり、女子高生が学園生活部として学校で生活している様子を眺める、ということ。つまりこの映画は演者が今しか出せない輝きを記録する、いわゆるアイドル映画だということ。そういう点で見ると、劇中で突如出てきたカメラにも合点がいきます。文字通り切り取っているわけですよね。エンドロールもそういう感じだったのでアイドル映画ということで間違いないでしょう。正直演技はみんな下手でしんどかったですが、アイドル映画ならしょうがない!
ただそうなると、若干由紀とみーくんの設定が邪魔になっていたような。結局のところ、由紀が現実逃避しているように見えて、場違いな明るさ及び学校行事的振る舞いのおかげで残りのメンバーが自我を保てているという共依存なのが面白いところ。そこに異物であるみーくんが入り込むことで見ている側に意識化させるわけですが、原作及びアニメだとみーくんはショッピングセンターに籠っていて不可避的に仲間になる訳ですが、その辺のロジックはどうしても甘かった印象。同じ学校の生徒で学校の別の場所にいただけなら、学園生活部を受け入れることは彼女も共依存に加わっただけに見えました。あと、原作等で、みーくんの佐倉先生って誰ですか?の発言が由紀の作った現実に学園生活部が侵食されていた事実も明らかになる訳で。同じ学校だとめぐねぇのことを知らない訳にはいかないのでね、その辺も少し不自然でした。
3.仕掛けに注力しすぎた…?
前述の神は細部に宿る的な話になるんですが、この作品の場合、人物によって見えてる世界が違うので、その描写をいかにするか、ということが肝要な訳ですね。その点では、アニメ版第1話と同様にしれっと割れている窓とかとても良くできていたと思います。キャベツもちゃんとしてたし笑。
ただし、ゾンビ周りに頑張りすぎたのかもしれません。仕掛けを知っているので確認しながら見ていましたが、ちゃんとめぐねぇは最初から皿が準備されていなかったりしてますし。(学園祭のシーンでコップが準備されていたのはりーさんのめぐねぇ依存が極度だったと推察できる)ただ、他の場面での小道具・美術には文句が。
時系列順に進んでいくのでまずはいつもの日常パート。スポーツ推薦で大学行くとか後に言う癖にしょっちゅう転ぶ陸上部のくるみがあんまり痛くなさそうな傷で保健室に行くのはまあいいでしょう。この保健室がまるでアカン。書類ケース(下みたいなの)が3列に並んでるのに中身が一切入ってない!そんな馬鹿な。更には由紀が休んでる隣のベッドにはカーテンが設置されていない。いやー、正直この2点だけで、あっ、となってしまいました。ついで言うと先輩への想いを強くする為に帰宅というパートが入った為に家族の存在を気にしない、という不自然さも目立った印象です。
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あとは、途中で制圧することに成功する倉庫ですよね。原作だとなんでそこまで備蓄があるのか、ということに後々設定のようなものが提示されるんですがソレがないので明らかに不自然。コストコかよ感が満載。そこにダメ押しするのが段ボールに書いてある「ガソリン」の文字。太陽光発電とかがあるのに(上から見た時にソーラーパネル無かったけど)ガソリンが段ボールに入ってる時点でよくわからないのですが、仮にそれだけのガソリンが備蓄されているとしたら、当然火災の際に大惨事になるはずなのにその様子はない。ゾンビや学校が燃えている様子があまりにも分かりやすいグラフィックでガッカリするのを許容出来ても、この件は看過できませんでした。
結論づけるとですね、原作を無視した改変とかは無かったと思います。ただ、どうしてもメインのめぐねぇに関する仕掛けに注力しすぎて他まで手が回らなかったりと、気持ちに技術、あともちろん演技がついてこなかった印象。あと、言い忘れましたけど、個性を剥がれた存在のゾンビに何人か特殊な意味づけをしているから生き残っている側に物語が生まれるのに、そこにノイズになる存在を投入しちゃダメですよね(なんとかはんの話)。
うん、アニメと原作も見てごらんよ!原作もうすぐ完結だよ!
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アニメのOPは楽しいようで、ふれんど死体、とか、意味深。