どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。『リアル~完全なる首長竜の日~』が全くしっくりこなかったとはいえ、9/9公開3作品の2つめ。散歩する侵略者を見てきました。黒沢清監督とはあまり相性が良くないのかも…？
リアル~完全なる首長竜の日~の感想はコチラ↓で…
Filmarks3.6点
WATCHA3.5点
（以下ネタバレ有り）
1.散歩する宇宙人たち
今回の「散歩する侵略者」の1番の魅力はなんと言っても宇宙人達の面目躍如でしょう。加瀬夫妻パートと桜井＆宇宙人チームパートの大きく2つのパートに分かれる本作。まず、加瀬夫妻パートから行きましょう。
松田龍平さん演じる加瀬真治は、まさに赤子のような行動を繰り返し、地球に慣れていない感が満載。義妹から家族、長澤まさみ演じる妻・鳴海の取引先の社長から仕事の概念を奪うなど、割と鳴海にとって困ることでもしてしまって怒る鳴海、というディスコミュニケーションが楽しめます。元々の真治と鳴海の夫婦関係が決定的に破綻していたのに、真治が宇宙人になってしまったことで逆に2人の関係が再構築され、いびつではあるものの、確かに2人の間に愛が生まれ、それが地球を救うと共に、愛を知らない鳴海と愛を知った真治という当初と逆の立ち位置でのラストを迎える事になります。まあ、決定的に破綻していた割に、鳴海は指輪を外してないじゃん、とか思ってはいましたが。
長谷川博己さん演じるジャーナリスト桜井のパートはよりコメディよりです。高杉真宙さん演じる天野と恒松祐里さん演じる立花あきらの宇宙人コンビは真治以上に宇宙人っぽくサイコパス感が溢れています。善悪の概念も奪ってないのか、奪った上で侵略するんだからと開き直ってるのか、バッタバッタと厚生労働省のエージェントや警察官を殺していきます。また、アヴァンの血だらけの立花が道を歩きながら自動車が事故っていくのは非常に面白かったです。真治が所有の概念を奪いに行く時もそうでしたが、あえて軽妙なBGMで外していて、笑えるポイントでした。
2．概念を奪うという設定
侵略する上で、人類が殺すに値するか見極めるための斥候を送るというのは割とありがちな設定です。ただ、その人類査定のために概念を奪って人類を知る、というのは斬新でした。
しかし、そこでやや疑問が。天野は直ぐに両親から色々奪ったから物知り、ということになってましたが、立花の方は人体の仕組みからわからず最初の宿主（正確には最初は金魚だが）の内蔵を生きたまま引っ張り出したりしています。真治の台詞から、寄生した宿主の記憶と知識は共有できているみたいなのですが、既有知識と奪った概念の差が分かりづらいですね。奪った描写も全てあるわけではないので。特別引っかかったのは、天野・立花ペアが共通認識としてもっていた「ダサい」と「ヤバい」の概念です。特に「ダサい」は地球と彼らのいた世界とを比較しての言葉なので、彼らの世界にも美しさの概念があることになります。で、あれば概念の一部は共通？と疑問が止まりません。また、真治はガイドのことを「信頼できる人」と表現していました。「信頼」という概念については真治は奪っていないようでしたが、果たして…？
宇宙人同士の連携にも疑問が。当初、天野は立花あかりを探している、と言って家まで突き止めていました。当然、当初は金魚に宿ってしまった仲間が彼女に宿ったと分かっているということです。ですが、3人目は桜井に丸投げして名前も分からない始末。何故片方だけ分かったのか、謎です。
まあ他にも、3人の宇宙人だけで病院がパンデミック状態になるほど概念奪ってねぇだろ、平気な人もいるんだから。とか、病院で防護服着てて発作起きるとかもはや本物のウィルスじゃねえか。とか、通信機にTV局の車のアンテナいるなら、桜井と出会わなかったらどうする気だったんだ。とか。ツッコミどころは山ほどありましたが、『リアル～完全なる首長竜の日～』ほど意味がわからんぞ…となる場面はありませんでした。
3．隠されたメッセージ。
この映画、あらすじを簡単に纏めれば、地球侵略のために概念を奪っていた宇宙人だったが、最後に愛を奪ったら侵略を止めた。ということになります。
世間の全員が当然のように頭に浮かべる、とっつぁんのこのセリフ。
「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの概念です。」
ルパンのカリオストロの城ですね。放送局は…
そして結論：愛は地球を救う
製作委員会には日本テレビ放送網の文字…
何らかのメッセージ性を私は感じ取ってしまった！！
っていうか、このネタに気づいた瞬間それ以外の感想を書くのが面倒になってしまった！！日テレの陰謀だ！！（違）
