抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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大画面で戦争を体感せよ「1917 命をかけた伝令」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はアカデミー賞でフロントランナーだと思われていた中で、パラサイト旋風の憂き目にあった作品。上映スクリーン数でもパラサイトのあおりをうけてるかもしれないですね。私は、ごめんなさい、パラサイト派です。

 映画館の大画面&音響で是非とも楽しんでほしいと同時に、自宅で止めながら確認するのも楽しそうな作品でした。

1917

WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有り)

 1.圧倒的!驚異の疑似ワンカット

 この作品を語るうえでまず外せないのが、疑似ワンカット。気絶している間のブラックアウトや滝つぼ落下などの、2時間の映画の中で1日を経過させるためのマジックこそ使っていますが、それにしたって恐ろしい試み。

 野原で寝そべっているブレイクとスコフィールドから始まり、ラストまで基本的には画面の中心からスコフィールドが動かない。カメラがぐんぐん動いてずーっとついていく。時々人物の周りを一回転したり、カメラが追い越してバックショットから正面になったりする瞬間にちゃんと周りの風景が見えるんですけど、見渡す限りの広大な戦場が広がっていて、そこにカメラを走らせるレールとかないんですよね。いや、今どきはコンピュータ処理で消せるのかもしれませんが。

 特に凄いな、と思ったのはドイツ軍が落とした橋を渡るシーンと、夜の川に飛び込んで逃げるシークエンス。

 橋のところは、マジでどうやって撮ったのかさっぱりわからない。I have no ideaですよ(突然の英語)。ただの崩落した鉄橋渡りだけである程度凄いのに、橋の後半は銃撃されてますからね。かなり凄い。

 また、夜のシーンは悲惨、それなのに美しく闇夜に輝く炎の中を走って逃げ、そしてダイブした川の中は画面の半分より上のあたりに水面が来ることも。これも耐水カメラとかあるのかもしれませんが、やっぱり撮影凄いな、と。

 アカデミー賞でも撮影監督のロジャー・ディーキンスはじめ、技術畑で賞をかっさらっているので、そうした専門の方々からも非常に評価される、難易度の高い作品だったということが言えると思います。

2.物語性には欠けるか

 とにかく映像は凄いんですよ。ラストの走り出したところに、見方が一斉突撃のシーンとかも、多分ワンカットだから衝突して転倒したりしてるのはガチだろうし。

 ただ、技術的側面を求めすぎたのか、正直言って物語的には面白くない、というか深みが無いように感じられました。

 伝令の物語なので、当然AからB地点に移動する、それだけの映画です。その途上に、鉄条網だの、飛行機だの、友軍との出会いだの、現地住民との出会いだの、川流れだのをぶちこんで、イベントを多発させています。

 ただ、前述のとおり、スコーティッシュが基本的に中心にいる絵が続くため、正直言って序盤で構図には飽きてしまい、各セクションを順繰りにただクリアしていくだけの難易度MAXな障害物競走に見えてしまったんです。しかも、作劇上、おそらくはB地点には到達することが予想できるためハラハラは無い。バッドエンドだとしても、到達できないではなく、到達したのに間に合わない、とかだと思いますもん。なんていうか、ある種の競技性を持っちゃったんですね。

 また、上記のサスペンスを失くしてしまった理由でもありますが、ブレイクがあっさりと死んでしまうことが挙げられますね。せっかく兄の為に猪突猛進するブレイクと夕闇を待ちたいスコーティッシュ、家族を大切にし武勲を求めるブレイクと家に帰りたくなく武勲をワインと交換したスコーティッシュ、という好対照のバディものっぽさがあったのに、その考え方の違いによる衝突や成長が特に無いままブレイクが死んでしまい、単純に彼の代わりにブレイク兄に会わなきゃ、という使命感としての装置しかなくなっている。でも、なんとしてでも任務を成功させる、という装置はそもそも1600人の命と将軍からの直接命令という点でもうカバーしているから要らないんですよね。しかも、割と序盤にスコーティッシュがブレイクに助けられるポイント、見せ場があるので正直ブレイクはいつ死ぬのか、フラグがビンビンに立っている状態で。死んでもやっぱりな、って感じが否めなかったです。

 

 「ダンケルク」もそこまでだったことを考えると、多分ミクロな戦場描写ってそんなに好きじゃないのかもしれません。かといって、「チャーチル」とかもそこまでなので、マクロが好きかと言われると難しいのですが。「日本のいちばん長い日」や「シン・ゴジラ」が好きだから、おじさんが会議しているのが好きなのかもしれません。戦争映画だと、「ハクソーリッジ」は好きだったんですけど、なんか種類が違う映画な気もします。あれ、宗教映画ですよね

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