抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

俺はアイツらが大好きだったんだ…「ヘルボーイ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 映画秘宝さんで当選した試写会を体調不良で途中退出してしまった「ヘルボーイ」リブート版の感想です。しっかり鑑賞してケジメつけてきたぜ!ミラ・ジョヴォヴィッチってなんであんなに綺麗なの?

Hellboy: The Art of The Motion Picture (2019)

 

WATCHA3.0点

Filmarks3.1点

(以下ネタバレ有り)

 1.最後まで抜けないコレジャナイ感

 ギレルモ・デル・トロ版でロン・パールマンの演じたヘルボーイをデヴィッド・ハーバーが演じてリブートした本作。ビジュアルに大きな変更はないし、酒飲んで銃ぶっ放して、デカイ片手でぶん殴るスタイルも同じ。それなのに。

 私には2時間見終わるまでどうしてもこいつらじゃない感が否めませんでした。つまりは個人的にデルトロ版で重要だったのはヘルボーイ自身ではなく、その周辺の人物たち。発火人間のリズにサイコメトリー半魚人のエイブ、ゴールデンアーミーで追加されたエクトプラズムを使う半機械人間のクラウス。こういう連中とのチームものとしてのヘルボーイが好きだったんだ、ということを強く感じました。

 というのも、今回の映画はヘルボーイ自身の運命と育ての親の教授との親子関係にのみフォーカスしたものであり、彼の所属するBPRDの仲間たちは殆ど登場しない。ヘルボーイのかつて助けた霊媒になる女性とジャガーになっちゃうイギリスの特殊部隊の人。ジャガーの人は別にジャガーの必要なかったし、うーん、それぞれの能力を生かしたチーム戦というよりはヘルボーイ個人の話に終始しすぎたのがあまり好きではありませんでした。

 また、敵たちも非常に面白い造形の悪魔が多かったですけども、半魚人や半機械人間が味方側にいたこれまでを考えると同じテイスト、ラヴクラフト神話っぽい敵ばかりなのでどうにも単調。キャラものなのに敵味方どちらもキャラを好きになれずに、雑な黙示録モノみたいな感じに進んだのが残念でした。

tea-rwb.hatenablog.com

 

2.構成の失敗

 これも失敗と言って申し訳ないんですけど、構成も大きく失敗してしまったように感じました。

 冒頭、いきなりのグロと、アーサー王も登場するラスボス・ニムエの封印から始まるよくあるパターン。そこから軽快な音楽とプロレス場面で今回も明るくカラッと行くぜ!って感じで進んでいきます。また、ニムエ封印シーンとプロレスのコーナーに刺さる仲間でグロ&ゴア描写も手を抜かない!という宣言で、ここまでは非常に好印象でした。

 ところが、ここから物事が進むと回想、進むと回想、とどうしても回想が繰り返される鈍重な作り。しかも前半の舞台となるイングランドの秘密組織的な連中の裏切りも正直言って意味がまるでない。巨人倒してから裏切ればいいし、この先の舞台をイギリスにして、最終決戦でのヘルボーイの葛藤のために必要なアリスと出会う為だけに設定されたような、空虚な前半に感じてしまいました。いや、だったら最初から彼女は部署の仲間ってことじゃ、ダメなのかい…?

 構成、という意味だと後味が大事なポストクレジットシーンも大事な話です。途中でニムエが続編に出てこないように殺す、とかいう台詞が出ているし、続編を作りたい意思は感じました。で、まずはエンディングでシベリアでBPRDに入ったアリスとダイミョウの活躍を見せて、私の見たかったチーム感が見れて少し興奮!そこで「イクチオ・サピエン」の文字でドーン!この時は分からなかったですが、どうやらあの半魚人、エイブのことらしい。続編で出てきてくれるなら嬉しい、ここはアゲポイントですよ。

 ところが、更にもう2つポストクレジットが。1つは死した教授の墓の前で飲んだくれるヘルボーイにナチハンターのロブスターの幽霊が出てきて激励するもの。もう1つは、劇中で眼をもらう約束をしたのに「いつ」を忘れたために貰えてないバーバ・ヤーガなる老女がヘルボーイを殺して不死のお前を殺してやる、と男に命令するシーン。

 流石に続編作りたすぎません?という不満もありますが、今回のボス・ニムエも不死だったのに次のボスも不死なのかよ、という落胆、そしてニムエの復活が自分の望みが叶うことに繋がる、といっていたバーバ・ヤーガという存在は結局なんだったのか、という忘れかけていた疑問の再来。うーん、勿体ない。

 んで、肝心のヘルボーイの戦闘を考えると、最初のプロレスで強さ紹介、巨人と互角(負傷中)、バーバ・ヤーガ戦敗北と、正直ちっとも強くない。うーん、なんだかな。

3.それでも嫌えない宣伝

 とまあ映画的には正直ビミョーなところが目立った本作ですが、確実に今年No.1の部分があります。それがヘルボーイの来日後の宣伝活動!著作権的なアレでTwitterとか転載していいのか、よくわかんないので自分で検索していただきたいのですが、まあこれが凄い。

 適当なコラボは最近でもよくありますが、今回ヘルボーイツイッターアカウントをフォローしていて見つけたのは、猫カフェやらメイドカフェやらを訪れたり、その辺の公園でスイカ割りしてたり、フーターズでイベントに出演したり。私が途中退出してしまった試写会にも出てきてくれていたようで、稼働率がえげつない。ここまで宣伝に骨身を砕いたヘルボーイ自身のことはキライになれない、というのが正直なところです。デル・トロ版を見た記憶を消し去って本作に臨んでいたら、もう少し高得点だったかもしれません。