どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
誰だ、今月は劇場通いだから10作品ぐらいだろうなんて言ったのは。終わってみれば41本(!)も旧作だけで見てました…。Youtubeでシネマトゥデイが無料で映画公開しだしたり、ついつい、ね。劇場やここに載せてないやーつとかも入れると50作品を超える映画を見た月に。まあそのせいでテレビの録画やアニメ鑑賞、ラジオ聴取がことごとく遅れているし、体調も万全とはいえないのでもう少し本数は減らしたいです。
イングロリアス・バスターズ
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
ワンハリ見る前にこれだけでも、と予習です。
タランティーノが史実を扱っているから参考になるかな?と思ったけどタランティーノは兎に角エンタメをやりきりたいことはよーくわかった。反ナチ、という感じは全く感じない。出てくるやつだいたい悪人だし、どこかズレまくってる。「パッセージ/ピレネー突破口」のナチとかを思い出す狂いっぷり。
何より文字通り映画が戦争を倒すカタルシスは素晴らしいし、映画への愛、映画への信仰心を感じる。史実?映画なんだから楽しもうぜ!
第1章の始まりを思えば群像劇的とはいえ明らかに主演ブラピではなかったかな、とは思う。2章目丸々使った割にバスターズの連中がそこまで活躍しなかったのがなぁ…。作戦タダ乗りだし…
地獄でなぜ悪い
WATCHA3.0点
Filmarks2.8点
なんだろう、楽しくない訳じゃないし、カチコミのシーンは面白いんだけどそこだけって感じ。
星野源を巻き込まれ型主人公として見るのか、長谷川博己たちの負け犬チームの大逆転ものと見るのか、ヤクザたちの抗争もののパロディギャグだと思って見てればいいのか。軸が無い上に、長谷川博己の映画チームが撮影に加わるまで話は事実上ひとっつも動いていないのでワンシチュエーションとほぼ同義。それなのに星野源と二階堂ふみの恋愛とか、ブルース・リーこと佐々木の辞めるからの復活でアガる展開とか、堤真一の偏愛とか、親と子とか、時間経過と丁寧な描写が必要なウケる要素を詰め込んでるから楽しませようとしている気がしない。
終わり方が終わり方なので、わりと安っぽいセットのような池上組事務所や作り物丸出しの手首や生首自体はいいんだけど、それをコメディとして笑いにしていいのか判断させてくれないから困る。
公開当時からEDの「地獄でなぜ悪い」がとても好きだし、今でもいい歌だと思うが「嘘で何が悪いか」「作り物で悪いか」そんな歌詞が星野源さんを襲った病魔以外のこの映画の文脈として捉えると、監督が自分語りしているようにも見えるシーンなんかを思い出してイラっとするのも事実。
おとなの事情
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
友人7人(夫婦3組+1人)が会食の間携帯をオープンにして通話もメールも見せ合うことにすると…というワンシチュエーション。「ザ・プレイス」よりは舞台を広めに使ってるが、やはりワンシチュエーションで演劇的ではある。
月食で2つのものが1つになり、秘密を共有した時に訪れるのは当然…ロクなもんじゃねえ!携帯見せろ、と友達だろ?の私の嫌いなワードトップ5が同調圧力で飛び出す話が胸糞じゃ無い訳がない。
夫婦3組+1人という構成、これから来るメールと電話だけオープンというゲームの特殊性を考えれば、抱える秘密や動機なんかは割と容易に推測できるが、会話劇でサクサク進むのは流石の手腕。
おとなの事情、というだけあって、愛や恋の話で、親としての秘密は無かったりしたので、ここから親子の話も描く「ザ・プレイス」に辿り着くのは凄いのでは。パオロ・ジェノヴェーゼ。新作を待ち遠しく思う監督が増えました。
デビルマン
WATCHA2.0点
Filmarks1.8点
ついに見てしまいました、親の仇より憎まれている実写版デビルマン。
なお、湯浅政明監督の「DEVILMAN crybaby」は見てます。原作や初代アニメ版を知らないので、どのストーリーラインが改変で、とかは分からないので映画自体に関してだけ。
まず単純に主演の2人が棒読みすぎるよね。戦闘中のうめき声まで棒読みで笑ってしまうし、5分ぐらい忘れていると唐突な雑な台詞だけで噴き出してしまい、笑ってはいけないデビルマン24時みたいだった。ただ、それも彼らだけの責任ではなく、あまりにも説明台詞が多くて映像でさらっとできることをちっともしてない。説明台詞が多いのになぜかボブ・サップ起用のニュースもこれ以上ない文字だけの説明だし。脚本自体に大きな問題があると言わざるを得なかった。
あとは、原作のダイジェスト感がどうしても出ていること。ジンメンやシレーヌの話は、後の話にも、不動明の人格形成にも全く影響がないのでぶつ切りエピソードになってるのが否めない。結果的に、各々のキャラクターや一般人物の行動原理が分からない謎な部分が出てしまってる。
あとは、世界規模の戦争の話になったのにちっともそれが見えない。し、デビルマンなのにその状態でちっとも戦わない。戦うシーンが少ないので、デビルマンに何が出来て何ができないか、の提示がなく、アンパンチで殺せるデーモン像と最終決戦で唐突にアップルシードみたくなる映像、という噛み合わなさが生まれてしまった。
全体を通してみれば、永井豪先生の考えていることは汲んでいるし、再現しようと頑張ったけど演技・脚本・演出・技術のあらゆる面が稚拙だった、ということでは。稚拙な上にエッセンスを改変している映画の方が罪は深いと思うが、反面、誰が見ても一定レベルで叩ける作品になったのでパブリック・エネミー化したんだと思います。
シャフト(2000)
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
「ブラック・クランズマン」でブラックスプロイテーションを知ったが、その代表作「黒いジャガー」のリメイクらしい。
ということで、主人公のシャフトの軽口は楽しいが出てくるやつらが軒並みバカなので、トリックとか理由とか、そういうものには一切感心がないといっていい。差別に基づいた黒人殺しを立件する為に死体の山を作ってどうすんねん、と。倫理も論理もへったくれもなく、緊張することもなく終わるので80年代刑事アクションって感じだなー、と思ったら00年代で驚いた。
名探偵コナン 天空の難破船
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
なんか相棒みたいな事件やってたんだな、知らなかった。
一旦解決してからの駄目押しはファンサービスとしても、流石にバイオテロとか大仰にしないと出来ない計画じゃないし、キッドが予告してくれないと飛行船飛ばないのでは…??
キッドも活躍してないし、っていうかキッドかなり今回捕まる可能性高かったような…。
名探偵コナン 世紀末の魔術師
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
コナン映画でもかなりの初期作品、しかもキッドも初登場ということでオールスター映画感が強め。その分、平次とかの扱い悪いし、まだまだひな型が出来てないかな、と。最たる例がオープニングでナレーションで全部説明している。今は関係ある事だけしか教えてくれない。怪盗キッド自体も義賊感が強く、盗むこと自体よりも謎の解明が目的。
そのため、普通のアドベンチャーの映画の感触になっている。雑な爆発もないし、殺人にも動機やトリック的なミステリの面白さは殆どないと言っていい。見ていて非常に楽に楽しめるタイプの映画。
ザ・ロック
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
いやー、マイケル・ベイ見たって感じがする。
どう考えても007のジェームズ・ボンドな設定のショーン・コネリーと化学オタクなニコラス・ケイジのバディものにして、アルカトラズ舞台の要塞もの…なんだけど。
どう考えてもアルカトラズの中あんなんじゃない気がするし、うん、この見せ方ダサいしカメラワーク下手!なアクション連続。爆撃を許可しておいて最後は人質の心配する政府側、実はそんなに悪いやつじゃなかったエド・ハリスなどなどなんかもう詰め込みまくり。
結局なんなのかよくわからないチップを奪って、よくわからない装置を解除するんだけどもうそういうとこにマイケル・ベイの興味がないから仕方がない。
でも楽しかったからいいか。バッドボーイズ3は監督代わるけどそんな感じでやってくれればいいや!
シャイニング
WATCHA4.5点
Filmarks4.7点
あまりにも扉のシーンが有名すぎるが、初鑑賞。どうもスティーブン・キングの原作と全く違う話で、キングは激怒しているらしい、なんて話も聞くし、なんならレディ・プレーヤー1でちょっとしたネタバレもくらってるし、続編「ドクター・スリープ」のポスターが鏡文字でMURDER=殺人だなー、とか思ってたらそれも本作のネタバレだったと気づくことになった。
いわゆる暴力が発生して、追われる怖さが生まれるのは本当に終盤だけなのだが、正直言って2時間ずっと怖い。不気味な重低音が不穏さを掻き立て、気持ち悪いぐらい綺麗に左右対称な一枚絵、永遠に続きそうな廊下、時々差し込まれるまっこと不穏なカット、日常パートなのにずーっと追いかけられている気がするカメラ、すべてが恐怖心を煽り続ける。
すべてが反転していないRED RUMに、いまいち仕組みやできることが分からないせいでもうちょっと使えばなんとかなりそうだった超能力"シャイニング"、そして鏡と写真。やっぱりミステリマニアとしては館と庭の力は信じたいので、そこの狂気に呑まれる父親、元々狂気が見える子どもとシェフ、気づかない間に自分も狂気に取り込まれた妻、そんな感じかなーと。でも説明つかないの多いな、なんて思ってたり。
既に色んな解説・解釈が出回っているので鑑賞後に読んで、なるほど納得と自分の考察力の無さにも絶望する。
で、「ドクター・スリープ」ってこの映画の続編なの?キングの原作小説の続編の映画化なの?
ロブスター
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
ヨルゴス・ランティモスプレゼンツ、恋をしなければ動物!なんだそれ!居心地悪いカットや編集満載!
恋愛、というよりもとにかくパートナーがいることが1番重要な世界観で徹底した管理恋愛と管理不恋愛をどっちも描くことで社会システムの欺瞞を描いてる。どっちに進んでもディストピア、人の恋路を邪魔する奴も、余計なお見合いおばさんも指パッチンで消えてしまえ、広岡達朗の管理野球はクソ、ということでいいのだろう。
劇中の人物は、恋愛するにあたって鼻血が良く出るだの、冷徹だの、足が不自由だのと色々キャラ付けがなされて、共通点を見つけることに必死になっている。共通点は大事だけど、それじゃ博物学の分類だ。そういう意味では、その価値観から脱却できたとは言えない主人公もまた、愛とは何か分かってないと言えるだろう。
[リミット]
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
ずーっと生き埋めにされた棺の中のワンシチュエーション・サスペンス。ベンアフレック主演の「ペイチェック」みたいな話だと思ったら全然道具も明示されないし違う方にばっかり行く。ライアン・レイノルズだけど明かりもライターとかだからよく分からない。今だとデップーちゃんだし何となっちゃう気がするのが彼がスターになった証かな。
なぜかナイフやらペンなら携帯やらが一緒にあって、どう脱出するか?が焦点なのだが、当然じゃあなぜ犯人はそんなことをしたの?というのも必然性を求めたくなる。
で、途中の蛇あたりからなんとなくオチとしては読めてきて、不倫原因で離婚しそうだから家族とは繋がらず、その状況で見る悪夢か、嫁に懲らしめられてるVRなんだろうな、と。あからさまにずーっと横たわってる訳だし、他にも不自然なとこたくさんあるし。
と思って答え合わせだなー、と見てたら普通に現実だし助からないエンドということでビックリ。じゃあ普通に劇中の女性と同じ扱いでいいじゃん、なんで埋められた…?全部放り投げてるし、イラク戦争批判っぽいメッセージだけが先走った。
ベテラン
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
韓国映画はグロめなスリラーや政治サスペンスだけじゃないぞ!という楽しい作品。
一応、敵は財閥のボンボンを始めとした既得権益で、それに立ち向かう広域警察隊、特にファン・ジョンミン、というのがストーリーの概略だが、敵側があらゆる真っ当な圧力で妨害してくるのが今まで見た韓国映画になかった面白さだった。ともすれば暴力で解決しようとするもの。それを自覚してかせずか、暴力での解決に至ろうとした敵の前に現れるあのスター。彼がユ・アインの前に立った瞬間、戦おうが戦うまいが、彼の敗北は決まったようなものだ。武力でこの(文字通りもはやMCUの)ヒーローには勝てぬ。
欲を言えば、ここまでの圧力に加担した新聞や警察上層部、所轄等にまでちゃんと処罰が進む様子が露わになるともっとスカッとした。
彼、しかり、ファン・ジョンミンしかり、ソン・ガンホしかり、明確な2枚目が悪役でヒーローはもっと渋い人だから韓国映画は面白い。
カサブランカ
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
「君の瞳に乾杯」で有名な本作。
ラブロマンスとしては、リックの姿勢に素晴らしいと思いつつエルザにイライラしっぱなし。お前結局どっちやねん状態の連続。うん。
それよりも、ヒトラーがフランスを占領している状態でのフランス領モロッコという絶妙な立地、そこでの主人公リックはアメリカ人で孤立主義。モンロー宣言下のアメリカを想起させるバッチバチの戦争映画だったことのほうに驚くと共に、1942年公開なので既に太平洋戦争も開戦済み。多少のプロパガンダ映画感もあったのかもしれない。
アデル、ブルーは熱い色
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
カメラが近い!!
レズビアンをかなり生々しく描いているが、まあそのフィルターは別にいらない。普遍的な恋愛と思って見ても問題ない表現だと思う。
アデルに寄り添って見ることになるのだが、アデルにとってのファムファタルであるエマと出会って周りに言われた数々の酷い言葉を自分がエマから投げられる展開はかなりしんどいが、同時にここでアデルも語り手としての信頼を失うので非常に虚しい気持ちばかりが残る。確かに浮気したかもしれないが、エマだってここにいたる遍歴は奔放だと匂わせていたのに!結局どうしても出自や世界が違う2人だったのが響いてしまったんだろう。
全体的にかなり余韻を取っている(割にぴっしゃっと場面は変わるが)ので3時間ほど長くなくても良い気がします。
あと普通にレア・セドゥには抱かれたい。惚れるわ。
プリディスティネーション
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
タイムパラドックスのSFと聞いていたのに、始まってみるとバーでの奇怪な昔語り。だが、冒頭の導入とタイトルを考えると、どう考えてもタランティーノ駄話の訳もなく。まあ1ネタ一本勝負なのを考えるとよく出来ているともいえるが、前半でヒントを出しすぎて、やっと時間を飛ぶ後半がただの答え合わせにしかなっていない。爆弾魔のあたりをもっと丁寧にやってよかったのでは。
半落ち
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
横山秀夫原作は非常に映画に向いている。何せ働くおっさんたちが汗まみれで戦う短編が多いからだ。高山薫では、長編すぎて映画にはならない。
そんななか、彼の大傑作のひとつ「半落ち」の映画化。「64」といい、なんで長編ばっかり映画化されるのか。短編ミステリに映像化の種は残りまくりですよ。
原作では警察官、検察官、裁判官、記者、弁護士、刑務官と多様な一人称視点で事件を見ていくことで最後に真相が分かるものだが、映画は彼らを越えた第三者視点でみることになってしまい、正直言って謎解きのカタルシスは皆無に近くなってしまう。挙句法廷でのやりとりがラストになっているので、梶自身の心の動きも少なめ。それぞれの登場人物が少しずつ道を外れながら、でも必死に正しいことをしようとする。アルツハイマーによる介護疲れや骨髄移植といった社会派の皮を被った人の正しさと絆を描く物語だけに、視点の再構成などをしてもよかったのではないだろうか。
それぞれの人物で正しさと直面する問題が変わるのに、2日間何をしてたのか問題と命と魂問題など、法廷になるといよいよ問題の本質がぼやけて見えてしまう。あと、記事と日記のW朗読は流石に冗長。
アンタッチャブル
WATCHA5.0点
Filmarks4.8点
デ・パルマ!って感じの長回しの緊迫感と、禁酒法時代のすぐ撃っちゃう感じ、腐敗や汚職の空気、何よりデ・ニーロの演じたアル・カポネのしたたかさ、アンタッチャブルのチーム感。どれをとっても最高の男たちの映画って感じだった。
法は法だから、悪法でも順守しろスタンスがカポネを逮捕するためなら躊躇わず撃つ、っていうか弔い合戦する!みたいにドンドン道を外れていくのに最後に当初のスタンスに戻ったところ以外は完璧。
ジョン・ウィック
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
10月の3作目及び9月末の復讐母さんことライリー・ノースの予習として鑑賞。
超カッコイイ。格闘と出来ればヘッドショットを狙う銃撃で強いのに、ちゃんと強そうな相手に負傷して相手の強さの格も見せれるキアヌ・リーブスとアクション設計が素晴らしい。車で轢きながら、頭上に撃って殺すのとか初めて見た。あと犬!説明しないけどジョン・ウィックが気を失ってる間に寄ってきてる愛!
ジョン・ウィックにしても、親友のマーカスにしても、仕事に取り掛かる前の銃の準備がこれまたカッコイイ。ウィリアム・デフォー最高。
ジョン・ウィックの強さを見せるために仕方ないとはいえ、最初のターゲットといえるザコ息子を殺すまでに結構時間がかかるのが難点。あんなんササッと掃除してくだせえよ。小物だったし。
コンチネンタルの掟や命の軽さなどの世界観もとっても良いので続編がどんどん出来るのも納得。次は是非、もっと敏腕な女性殺し屋や若手ホープの殺し屋なんかが出てくると嬉しいが、最新作のラスボスは寿司屋と聞いているのでもっと素っ頓狂な思いつかないような敵が出てくるのだろうか。
ジョン・ウィック:チャプター2
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
いきなりアバンで何人殺すんだよ!という無双ぶりを見せつけてスタート。
ただ、前回と比べると話が込み入っているのでちょっと面倒。そんなに殺す必要あったのかとか、コンチネンタルから引きずり出して殺せばいいのに、とか思うところはあったし、首席に会うシーンとか次回への引きにしかなっていなかった気がする。鏡の部屋での戦闘が復讐は自分に返ってくることを暗示しているなら、もうジョン・ウィックは引退できそうもない。
街で相撲とかバイオリンとか面白そうな殺し屋が出てるんだから、そこをもっと膨らませてもよかったかな、と。街中を歩いてるだけで殺されるかもしれない、とか恐怖演出として最高。そして相変わらずアクションはかっこよくて、殺し屋の裏設定のようなところはスタイリッシュ。
マイレージ、マイライフ
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
会社に代わってクビを宣告する仕事をするジョージ・クルーニーの下へやってくる合理主義とテクノロジを導入しようとする新人。いわば解雇請負人のお仕事初めてものになっているのだが、退職代行が流行っている今、10年前に映画化していることに驚きを隠せない。
バックパックに何も詰めない繋がりの無い生活に満足していた主人公と、繋がりを求めてエリート街道を捨ててこの会社に来たくせに、解雇に関しては人の人生に関わる事だとわかっていなかった新人。両者が少しだけ成長するけどそんなに甘くないぜ、な終わり方。繋がることは時に痛みを伴う。
ジェイソン・ライトマンなので一定以上の品質の保証されている良作。
サプライズ
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
「ライリー・ノース」に向けてジョン・ウィックシリーズ同様舐めてた相手が…映画として鑑賞。もっと家族みんなで撃退する系だと思ったら、犯人チームも含めてスラッシャー映画的な文法でジャンジャン死んでいくお話でした。10人も集まってのパーティなので人物紹介もちょっと足りないし、動機を考えても死んでざまぁの奴なのかの判別が割と不能なのも勿体ない。
ただ、襲われる動機や犯人の正体が非常にチープかつ安い物語なので、割と分かりやすいし、ジェイソンとかブギーマンみたいな怖さは感じないというか。不条理さが無い印象。仮面の動物のチョイスに意味もなかったし。っていうか、この為に殺される隣人が本当にかわいそう。
ボウガン、鉈、ナイフ、釘、ハンマー、アイスピックなど多種多様な凶器で殺すのはアイデアがあったし、出色はミキサー。咄嗟にあれを思いつくんだから、マッコールさんの親戚に違いない。
それぞれの死にざまが写真と共に流れるエンドクレジットはかなり好きでした。主人公に容疑者?ってついてるのもこの後、を考えるとクスリと。
スクール・オブ・ロック
WATCHA2.5点
Filmarks2.7点
うーん、予想してたけどやっぱり万歳できねぇ。「センセイ君主」もそうだけど、学校現場で教育舐める映画作るなこのやろう。
成りすましで教員になってロックの授業で最高だぜ!って感じだが、教育舐めんなと。色々教えて、放課後ロックタイムならまだ許せるんだけど、ロックしか教えないので事実上の洗脳だ。小学生に役割を与え、自己肯定感を高めてそれしかないと思わせる手法は悪質。子どもたちがライブに迎えに行く展開もそのせいで熱くなれない。ロックは反抗かもしれないが、その為には歴史も語学も国際社会も知らなくてはならない。事実ロック史は教えたわけでしょ?
挙句自分がボーカルに入ってるので、単純に夢を捨てれないヤツが子どもの時間を犠牲に自己実現してるに過ぎないし、彼らの才能にフリーライドしてるだけだ。結局盛り上がった曲も生徒が作ったなら彼の功績は何?そう思ってたところで客席ダイブを決めた段階で本当に冷めた。まだ主役が自分だと思ってるじゃん。
この作品において、たしかに保護者も親として問題はあったかもしれないが、どう考えても彼らの怒りは正当だし、学校も、友人も補償を求めるべきだ。未来ある若者の有限な時間を悪意を持って奪った罪は極めて重い。
劇場版マジンガーZ/INFINTY
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
必殺技は叫ぶに限るね、やっぱり。ジャンプすら叫ぶのは笑ったけど。
アニメ版の知識も殆どなく見たが、まあなんとなくで理解はできた。そういうとこはほっといてるが、それ以外のところは説明に次ぐ説明。でも戦闘が舞の海より技のデパートで楽しいったらない。3DCGのキャラがギャグシーンで昔のアニメの文法で動くのは少し新鮮で良かった。
やっぱり気になるのは結論で、人類の弱点は多様性で敵が共存を呼びかければ意見がまとまらない、こんな世界は飽きたから潰す、に対する演説での解答が欲しかった。オレがこの世界が好きだから潰さない、は問いに正対してない。
サマーウォーズ
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
確かに愉快で面白いのだが、その面白さのほとんどは原型と言える「ぼくらのウォーゲーム」の要素が揃いすぎている。あっちのが原点にして頂点、という印象。
圧倒的な存在感を誇る富司純子は素晴らしいものの、これだけOZのアバターが浸透している世界での危機管理やそこに対する上田の一家の親族間での意識の差が酷すぎる。警察の彼の氷移動などに関しては、危機の為の行動にしか見えず、彼のキャラクターには疑問しか残らない。
また、タイムアップのカウントダウン勝負がスリルを生む終盤だが、ちょっとまて、お前らそのカウントダウンの前に何してた?とか、うーん、素直にハラハラできなかった。ある程度楽しくは見てられるが、気になりだすと細部の甘さが気になって仕方がなくなる。
神弓 KAMIYUMI
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
韓国映画の中でも時代物は初めてか。韓国ドラマも見ないので新鮮だが、侵略される側の民衆にスポットを当てながら弓使いを描く。
せっかくかっこいいアイデアや1枚絵があるのに、カメラが近すぎて挙動の連続性や敵味方の位置関係が分かりづらいのが非常に勿体ない。特に弓矢の戦闘の場合には間合いや位置関係が客観的に提示されることで、強さが分かりやすく伝わる。
あとは成長の間をもう少し描いてほしいかったな、と。中盤以降は奪還と逃走である種テンションの高さが変わらないので、前半をもっと溜めるとか、後半で回想を挟んでくれると緊張の糸が張り詰めすぎない。
華麗なるギャツビー(2013)
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
ギルドのトップでお馴染みフィッツジェラルドの代表作。
30分も出てこないし、登場シーンも勿体ぶっているギャツビーだが、その存在の空虚さはレオナルド・ディカプリオがぴったり。ギャツビーの脆さ、危うい純粋さ、傲慢さ、すべてをしっかり兼ね備えていた。
彼が頂点に立っているところから描写されて落ちていく話なのでカタルシスは特に無いが、彼の哀しみと空虚な感じが画面を支配し続ける。だからこそ、パーティシーンがガンガンにヒップホップ流れてるのは違和感が。あとは、あの夫妻に何の罰も無いからこそギャツビーが悲しい人物であり、「華麗なる」ギャツビーであることになるのはわかるんだけど、神の目は、あの手のクズ夫妻とか、ギャツビーのパーティに集まるような中身のないザコたちには関係なくギャツビーだけ罰されるというのはあまりにも不憫。
っていうか、見る映画で毎回浮気してるキャリー・マリガンってすごくない?
ディパーテッド
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
面白いは面白い。だが、本家インファナルアフェアと比較すると少し面白さが減ったというか、別の種類のものになった印象が強い。
やっぱり仏教とキリスト教の考え方、そして香港とアメリカの気候の差が非常に大きいのではないだろうか。凄く汗ばむ湿度の中でのバレるバレないサスペンス、正義と悪、真実と虚構の間の無間地獄を描いたオリジナルと比べると凄くカラッとしていて、ディカプリオこそ悩みを感じるが、マット・デイモンからは保身の為の小悪党感が否めない。何よりジャック・ニコルソンが強烈すぎるので正義とか悪とかそういう思想的な地獄の話なんてどっかに飛んでいってる。
あくまで別種のアンダーカバー映画として楽しみたい作品。
教授のおかしな妄想殺人
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
まるで教授の専攻の哲学の思考実験のように殺人計画を練り、それが生きがいに変わる。肝心なのは、人を殺すことで自分の人生を取り戻してるだけなので快楽殺人とも違う点だ。あまりにもあっさりと淡々と語られるこの不思議な物語は、生を充実させることの難しさを感じる。
タロットカード殺人事件
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
手品師と記者志望の学生が娼婦殺しに挑むが、情報源は手品で出会った幽霊敏腕記者。
ウディ・アレンの別作品「マッチポイント」とは違ってセクシーさが垣間見えないスカーレット・ヨハンソンといけ好かないヒュー・ジャックマン、とぼけたおしたウディ・アレン。役者は良い。
身分を偽って捜査してた相手と恋に落ちるなんてのは王道パターンだが、今回は捜査したい人としたくない人のバディなのに途中でそれが入れ替わるので視点が少しぼやける。んで一番気に入らないのが幽霊記者が出てくるルールが全くないこと。手品の箱限定でもないし、手品師だけにも会ってるし、でも手品中でも観客には見えない。
THE GREY 凍える太陽
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
リアル人狼ゲーム!狼なんて怖くない、なんて事はない!
墜落したリーアム ・ニーソンが狼に怯えながら雪山サバイバル、ってな感じだけどリーアム・ニーソンに求めがちな爽快脳死アクション映画ではない。リーアムの狼ハンターとしての能力は知識としてしか生きず、銃器すら打ってくれない。
非常に内省的であり、狼自体も何かのメタファーに感じるような作りに。
ただ、生き残ることが目的なのだが、A地点に辿り着けば生き残れる、みたいな明確なゴールがないのでとにかく彷徨ってるようで作品としてのゴールも見えない。
スノー・ロワイヤルだと思って見るなよ!
聖の青春
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
村山聖の生涯を映画化。日本で伝記ものって意外と少ない印象。もっとやればいいのに。田中角栄とか(悪意)
まあ何はともあれ聖を演じた松山ケンイチさんと羽生善治を演じた東出昌大さんの凄さを言わずにはいられない。羽生さんに関しては、振る舞いや間もかなり似ているのでは。
とにかく将棋の世界、勝負の世界に取りつかれた村山聖の天才ぶり、そしてある種定型的でもある天才が故のマイナス面を描いて、劇映画的な基本はしっかり押さえているが、そこまで勝負に固執する理由や、将棋に出会ったところの話なんかが抜け落ちているのでともすればただのワガママ小僧にしか見えない。劇中の「命かけて将棋してるのか」なんて台詞も、彼の命が映画内で尽きるだろうことを知っているから観客も共犯になって成立する台詞であって、ただの酔っぱらいの戯言にもとれる。もっと村山聖と周りの人間とのかかわりをしっかり描いても別に良かったのではないだろうか。
隣人は静かに笑う
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
うん、レンタル禁止も納得というか、ポスト9.11の世界ではこういうの扱いづらいよね。
隣人の身元がおやおや?から始まる展開は「クリーピー」のパターンかな?と思わせつつ、ショッキングだった冒頭の火傷少年のカットのことが頭を離れない。そのまま調査にのめり込んでいく主人公、行きつく果ては、まさに地獄。胸糞イヤミス。
ボーイスカウトのキャンプに2度来ている父からの電話、ウィット捜査官の調べてた内容とか調べれば、主人公が爆弾魔ではないことにも想像がいくはずなのだが、この映画ではよく調べれば分かることでも、世論はコイツが悪いという1人を求めている、なんて前段があるから許容できてしまう。
ドニー・ダーコ
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
ちょっと不思議な青春モノだと完全に誤解して見始めたので難しいタイムトラベルのお話だった。 最終的にドニーが色々頑張って、なのはわかるんだけど、町の人たちの意識を未来人が、とか、宇宙の分岐、とか映画のなかだけでは補完しきれない部分が多い。
結局考えてみればそれも仕掛けだとは思うんですけど、明らかにドニーは信用できる語り手に見えないから本当に起きてることなのか、幻覚なのか、ずーっと注意しながら目線を離せない。それが劇中でビシっと一直線になるわけでもない。解説とか読むとよーくわかる難しい映画でした。
バベル
WATACHA4.5点
Filmarks4.3点
モロッコ、東京、メキシコの3地点で起こる親子、兄弟、夫婦など様々な形の絆がちょっとしたズレでうまくいかない様子を群像劇で、ちょっとずつ時間をずらしながら見せていく。
3地点の場面の切り替えるタイミングが、エピソードの終わりではなく緊張がピークに達した時だったりするので、見ていて本当に意地悪だなぁと誉めたくなる。加えて、東京のシーンでのメインである菊地凛子の役は聾者であり、音までもぶつぎりにしてカットと地点を入れ替えられるので、え!?今んとこで終わるの?とまあヤキモキする。ついでに言えば、耳が聞こえない人にとってのクラブっていう表現は新鮮。
そんな風にいやーな感じに見せているのに、出てくる人たちは本当に少しだけコミュニケーションがズレていたり、歯車がかみ合わなかったりした不運な人たちばかり。勿論撃たれたケイト・ブランシェットが一番不運だが。だから、最後に繋がりに希望を持たせる終わり方にしたことで、監督はつながりを信じているんじゃないかと思えた。
って監督イニャリトゥかよ!
ネオン・デーモン
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
「ドライヴ」で素晴らしかった極彩色の色使いを含めた照明の数々にレフン監督らしさを感じていたら、物語は進まないし、メタファーだらけでこら困った。
始まった時から多用される鏡のモチーフと金よりもとにかく外見の美、そしてそれに対する自信が重要視される世界。そりゃ、レフンがそこで単なるお仕事初めてものをやるとは思っていなかったが、金銭的な問題とかを描写しないことや、エル・ファニングが覚醒するのではなく当初から素材の美しさだ、と褒め称えられることで舞台設定が整って、終盤の衝撃展開にも説得力が出てくる。鏡を割った後の血を思わず吸ったことも納得がいくというか。
美しさでのしあがっていくエル・ファニングへの嫉妬が凄くて、女って怖いわね、の更に上を行く狂気としては十二分に表現されていたとは思う。
ただ、三角形や彼女の部屋に乱入した山猫。結局何だったのか分からないモチーフがあまりにも多い。「ドライヴ」みたいな分かりやすいの撮ってよー。
彼女がその名を知らない鳥たち
WATCHA5.0点
Filmarks4.9点
とてつもなく不快で、無惨で、狂おしいほど愛おしい二律背反な感情に支配される作品。冒頭のクレームシーンから十和子自体も嫌いになれるし、見た目のインパクトもあって陣治に好感を持つこともないだろう。陣治の食事シーンとかもう嫌いになる要素しかない。
そんな彼の異常な愛情と、それでも何故か同居を続ける中での十和子と色んな男の浮気、それでも愛する陣治…じゃないことぐらいは想像してましたし、まあパターンとして予想の範疇に近い結末。だって原作沼田まほかるだし。陣治がただ痛いだけの話なら、別のイヤミスの人でも書ける。だから決して大どんでん返しってほどでもない。ただ、その見せ方がエグいぐらい心に迫る。
竹野内豊と松坂桃李の2パターンのクズの濃さと薄っぺらさも最高でした。いやー松坂桃李は本当にすごい。
ちょっとラストの回想で説明しすぎ感はあるけど、これちゃんと劇場で見てたら年間ベスト10確定の大大大傑作です。なんで原作読んでるってだけで「ユリゴコロ」の方行っちゃったかな…
【金曜レイトショー】
シネマトゥデイが金曜の23時からYoutubeで始めた名作映画の無料公開枠。前後に解説的なのあるし、宇多丸さんのAbemaロードショーのことも考えれば、私は見たことないかつての映画のテレビ放映の形を映画関係者の方々は望んでるのかもしれない。
雨に唄えば
WATCHA3.0点
Filmarks3.0点
ミュージカル映画の金字塔。
無声からトーキーになる過程で演技だけでなく声も必要になる、というアプローチからの映画を作る事、の話はとても面白かった。ただ、ミュージカルは無理だ!からの吹替れば解決だ!は、別に劇映画のタイミングでもアフレコを導入すればマイクがどうこうせずに済んだのではないだろうか…。
名曲「Singin' in the rain」は素晴らしいが、全体的に単調なミュージカルシーンやダンスだけのシーンも多く、物語的には停滞がすさまじくてもっと短くシンプルにストーリーを作ったりできた気がする。この辺はミュージカル映画自体への順応不足もあるとは思う。
っていうかこれほどまでにミュージカルシーンも凄まじいのに、彼らはトーキーを否定する側の人間でもあった、っていうのも納得いかないなあ…
そして誰もいなくなった(1945)
WATCHA3.5点
Filmarks3.4点
これの映像化は日本で沢村一樹が刑事役で出てきた2夜連続のドラマ版だけだったので90分程度で描くとここまであっさりなのか、と驚き。まあ10人死ぬ話なので単純計算で10分に1人は死ぬ。なので減っていく恐怖、どこに殺人犯がいるかわからない猜疑心、みたいな方には働かず、しかも小説と違うラスト。なんか事件自体がただのつり橋効果の前振りみたいになっている気がした。
郵便配達はベルを二度鳴らす(1942)
WATCHA3.5点
Filmarks3.3点
イタリアの巨匠、ルキノ・ヴィスコンティの処女長編。
郵便配達が1度も出てこないが、どうやらそれは原作から同じらしい。
ちょっとした出会いから不倫、夫殺し、そして離別と2時間サスペンスのお手本のように進んでいくが、それ故か流石に恋愛に対して秒速で燃え上がりすぎではないだろうか、なんて疑問が絶えることは無い。イタリアでのタイトルは「妄執」とか訳せるらしいが、男と女、どっちの執着の話なのか、それは受け取り手にもよりそう。
注目すべきなのは、因果応報的な無情観漂う作品をファシスト政権下のイタリアで作っていたという事実。ヴィスコンティは未来が見えていたのか。