抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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もう一度アニメの美しさを見直そう「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回はTBSラジオ「アフター6ジャンクション」(以下アトロク)にて神アニメーター井上俊之さんも含めて番組として猛プッシュされていた海外アニメ作品「ロング・ウェイ・ノース」の感想です。公開館数が少ないので、恵比寿の東京都写真美術館に初めて行ってきたんですが、なんですか、あのオシャレな場所、恵比寿ガーデンプレイス。よくよく考えたら黒木渚さんのLIVEの為にリキッドルームに行ったのが恵比寿に来た最後なので4年ぶりの恵比寿らしいです…。東京から弾かれる多摩民には眩しすぎる。

 というか、音楽ライブもそれ以来行ってないんですよね。黒木渚さんもめでたく復活されたので行きたいところですが、それはまた別のお話。黒木渚曲の素晴らしさはどこかで記事にしてみたいですけど、歌詞書いたらJASRACが飛んでくるって噂聞いてますからねぇ。いつか書ければ。とりあえず、「檸檬の棘」来月発売です。

Long Way North [Region 2]

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレあり)

 

1.逆に新鮮な美しさ

 ポスター等からも目を引くのはやっぱり独特な絵のタッチですよね。詳しくはアトロクのアーカイブを聞いていただくと、アニメーター目線で井上俊之さんが語ってくださっているので私なんかがいうことじゃないとは思うんですけど。

 今年の日本アニメ映画は「プロメア」「きみと、波にのれたら」「天気の子」などのオリジナルから「劇場版幼女戦記」や「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝―永遠と自動手記人形―」などのアニメの劇場版、そして「海獣の子供」「バースデー・ワンダーランド」などの原作付きのものなど非常に多く作られ、そしてそのどれもが高品質でしたし、今後公開される「HELLO WORLD」「空の青さを知る人よ」なんかも間違いなく綺麗な絵を見せてくれるでしょう。

 ですが、この「ロング・ウェイ・ノース」はそれらとは確実に一線を画す絵のタッチ。具体的に言えば背景や個人に書き分けが少なく、また人物や物体を縁取る輪郭の線が入っていない。そしてパステルカラーのようなカラーリングで、リアルであることを追及していることで背景の美しさやキャラの魅力を引き出している現在の日本型のアニメーションとはアプローチが正反対なんですよね。ある意味、そういったアニメにずっぷりハマっている身としては、こういう画風に出会うことは非常に新鮮で、大事な体験になっていると思います。思えば、既に試写会で拝見した「エセルとアーネスト ふたりの物語」や劇場公開の決まった「ブレッドウィナー」(Netflixでは「生きのびるために」)、過去見てきた「僕の名前はズッキーニ」「KUBO 二本の弦の秘密」などなど、日本で鑑賞できる海外アニメーション映画は、そのどれもが日本のものとは違う、しかしそれでいてどこか忘れてしまったような温かさを秘めているんだと思います。気持ち的には、NHKの朝の連続テレビ小説なつぞら」とも少しリンクしているかもしれません。

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tea-rwb.hatenablog.com

2.舐め、からのリスペクト。冒険譚の王道!

 物語的に言えば、ロシアの貴族の娘が北極点を目指して遭難した祖父を探して家出して探しに行く、というとっても単純なもの。普通に考えると荒唐無稽なんですけど、悔しいかな、まだ未見のテレビアニメ「宇宙よりも遠い場所」という作品で女子高生が南極に行った(らしい)ので、今の日本人なら受け入れることが容易なのかもしれません。

 主人公のサーシャは祖父への尊敬と祖父に対する逆風に憤りを感じているので、祖父を貶す人物を好意的に捉えられず、正直言って我儘。また、子どもに求めるのは可哀想ではありますが、海の怖さを知らないし、貴族なので社会のルールもそこまで知らない。一方で、作中で序盤に出てくる貴族やサーシャの両親は冒険者への敬意を知らない。また、祖父の乗ったダヴァイ号を探すための船旅仲間は女だから、子どもだからとサーシャを侮っているわけです。

 こうした人々が互いの偏見や非常識を少しづつ取り払いながら認め始めていく、そんな王道の物語はシンプルでとても感動的なのは言うまでもありません。特に、一緒に船旅を行う面々は海の怖さを知っているがゆえに、サーシャの持っている知識やそこに至るまでの根性を評価しながらも、認めない。筋を通して乗船させてから小さなエピソードの積み重ねで認めるに至る過程は、船長兄弟が互いを認め合う過程とも重なり、他者を尊重できることの素晴らしさを思わずにはいられません。そういう意味では、地図を見ただけでサーシャの真意と根性を見抜いて、面倒を見ながらも甘えさせなかった女将さんが一番好きなキャラだったな、と思います。あの酒場での1か月も定番と言えば定番の描き方ですが、やはり同じ行動を練度の差で描いていてとっても楽しい。

 あとは船内ですよ。ここでは波が船に当たる音、モノが揺れて奏でる音、あらゆる音が音楽になる。音楽がかかっていないのに、リズミカルに生活が楽しくなる。アニメーション映画ならではの嘘のつき方で、こちらもとっても楽しく、いつまでも見ていたいシーンでした。

www.tbsradio.jp

3.夢を追うこと

 この映画が伝えてくれているのは、何より開拓者・冒険者への敬意、そして行動する勇気、夢を追い求めることの大切さです。偉大な冒険者だった祖父の尊厳を守るため行動したサーシャ。そういう人たちがいないと地球のてっぺんには辿り着かないし、その先の宇宙なんて夢のまた夢です。未知への道の歩みを止めないことの重要性を強く説かれた気がしました。

 だからこそ、彼女がダヴァイ号を見つけて無事帰れました、おしまい、だったのが非常に惜しいと思ってしまいました。この前日までに「ジョン・ウィック」シリーズなど復讐に躊躇の無い映画を中心に見ていたせいで、人類の夢を、祖父を笑った連中、特にあのクソ貴族に鉄槌がくだらないと腹の虫がおさまる気配がない。帰還と両親との再会は一応エンドロールで静止画で伝えられましたが、せめておじいちゃんの名前を冠した図書館が無事オープンしたところは見たかったかな…

 まあ私は復讐の輪廻に飲まれることとして、こうした夢を追う人を描くことは、ひいては映画を始めとした表現者の方々全般を応援することでもあります。こうして人様の作ったものを見て感想を垂れ流すのも表現ではありますが、ゼロから作り出す、正解のない果てしない道を歩む冒険者たちを決して否定することなく、応援したいと改めて思いました(道が間違ってるよ!とかは感想で言うけど)

 (最後にまたステマ

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