どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
いよいよ9/6公開作品群のブログもこれでおしまい。シメはアニメ版が大好きだったが、原作未読の「かぐや様は告らせたい」の実写化です。実写化警察の出番か!?
早坂派の私はどうしたらいいですか。
WATCHA2.5点
Filmarks2.5点
(以下ネタバレあり)
1.軸が無いから焼き鳥にならない
アニメ版を見ただけで偉そうなことを言うのはアレですが、うーん、正直言ってこりゃダメだ、な作品でした。コメディとしてのギャグが殆ど滑っていただけの虚無な時間だった、というのが正直なところ。振り返ってみましょう。
エピソードとしては、まず初めに映画の招待券とババ抜きからの映画デート、恋愛相談、見舞い、花火、生徒会選挙と繋いでいってキスしておしまい、って感じ。生徒会選挙はアニメになってないのでオリジナルなのか、コミックではあるのか知りませんが、このエピソード群を振り返った時に恋愛頭脳戦をしていたのはいくつあるでしょうか。答えは見事に最初のババ抜きだけ。ただのやっすいラブコメ短編集映画に成り下がっています。そこまで思い入れが無いから騒ぎませんが、看板背負ってるのに一番大事な頭脳戦が高度すぎて逆に幼稚、という軸がなくなっているので1本の映画として何をしたいのか全く伝わらない作品になってしまっていました。Twitterの話とか、頭脳戦とポンコツが合わさってるのに何でスルーしてるんだか。焼き鳥で例えると、串が無いのでバラバラになっている状態ですよ。
じゃあ、具は良かったのか。うん、先述のとおりやっぱりつまらなかったと言わなきゃいけないのが現状。「ちんちん」連呼のシーンと佐藤二朗さん出演シーンは映画館は湧き上がっていましたが、他は滑りっぱなし。特に冒頭で世界観を提示するべきところでのやっすいアニメーションとかは、本当に不要だったと思います。この作品、舐めてかかっていいですよ、と言われてる気がしました。
あとは構成もよくない。恋愛相談とか「ちんちん」連呼で笑いをとった、それはいいでしょう。花火のエピソードもツッコミどころや面白くないところはたくさんありましたが、一つのシリアスエピソードで生徒会メンバーの団結を示すものとしていいと思いますし、アニメはここを頂点に持ってきてました。ところが、映画はこの後に生徒会長選挙のパートが始まってしまうので、見ている側は感情のスイッチをさっきまでの花火のシリアスモードと下ネタでゲラゲラモードとどっちで見ていればいいのか、わからなくなってしまう。最終的に意味不明なソーラン節や告白合戦を見せられる訳ですが、アニメ版の時と違って細かいエピソードを積み重ねることで絆を描いていないので、ちっとも感動しない。お寒い気持ちで見てたら代弁してくれる子がいるんですよ。「何見せられてるの?」って。それに対して「黙ってみてろ」とツッコミが入る。こういう予防線を製作者側が言ってくるの、本当に嫌いなんですよね。「ミックス。」も小日向文世さんに「細かいことはいいよ」とか言わせてて、あ(怒)?となったことを覚えてます。
2.キャラの実写化と売り方。七味をかける量問題。
役者さんは悪くなかったと思います。その人たちのベストを尽くしていたとは思います。特に藤原書記役の浅川梨奈さんは毎週聞いている文化放送「阿澄佳奈のキミまち」ファミリーということで、贔屓目かもしれませんがかなりの好演。アニメ版でもかなりのトリックスターなんですが、今作でも振り切ってやっていたし、声もご本人よりもアニメにかなり寄せていた印象。彼女がギャグに思いっきり振れていたので、他の寒めなギャグも見ていられた印象。
選ばれた中では頑張っていた、とは思うんですがそもそものキャスティング、そして宣伝にちょいと疑問が。この作品は頭脳戦を描くので、どうしてもモノローグが多い。そんな中でハスキーな声の橋本環奈さんと平野紫耀さんが揃ってしまうと、うーん、どうなんでしょう。また宣伝を見ると流石ジャニーズ、色んな所に平野さんが出ていらっしゃったんですけど、彼個人のタレントとしての売り方なのか、天然でバカみたいな扱いをほうぼうでされている。この映画では勉強一本で階級社会の縮図の学校での生徒会長を勝ち取った努力の天才のはずなのに、何喋ってもアホが言っているようにしか見えないんですよね。そりゃそうですよ、事前に大量に天然枠で露出しまくってるんですから。それは映画を売る人・宣伝担当の人に作品への愛が無かったのか、ジャニーズが強いのか、どうなんのでしょう。あと橋本環奈さん×ラブコメだと「ハルチカ」の例もあるので、今後は見ないかもしれません。
んで、さあ問題は佐藤二朗さんですよ。情熱大陸で彼の回を見て出演を知ってから、ちょっと不安だったのですが、悪い方で的中。まさかのナレーションも担当だし、しかも字幕でナレーション:佐藤二朗と出してしまう。佐藤二朗さんに普通に演技させるなら兎も角、福田雄一監督が引き出したタイプの演技をみんなが求めているじゃないですか。でもあれってけっこうな劇薬で、話の本線では邪魔になるわけですよ。彼が出れば全力で面白いのはわかるんですけど、加減を分からずに焼き鳥の端から端まで七味唐辛子かけたら、焼き鳥の味は全く分からない。こういう使い方をしていたら、佐藤二朗さん自身の役者寿命とかも減ってしまう不幸な未来しか見えません。
ところで、開幕の映画の鑑賞券のくだり、涙のリクエスト作戦と銘打っていたんですけど、チェッカーズってこの映画のターゲットの人知らないでしょ?去年の「センセイ君主」もでしたが、作り手が受け手を見ないで内輪で面白いと思ってるものを映してるだけならホント辞めた方がいいと思います…。
あ、涙のリクエストはいい歌ですよ、言わずもがなですけど。