抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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終わらない誕生日。明日を生きるためにビッチ奮闘!「ハッピー・デス・デイ」「ハッピー・デス・デイ 2U」感想

 どうも、 抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は、苦手なホラーの2本立て。とはいえタイムリープもの、となれば是非見ておきたい、という作品でした。軽くて楽しいので公開館がもっと多いといいなぁとは思いますが、「チャイルド・プレイ」とかもあるからホラーだけでそんなにはムリよね。予告編でも流れている「us」も見に行きたいんだけど、すんごい怖そうなんですよね。アリ・アスターの「ミッドサマー」も80年代感溢れる「サマーオブ84」もパスだし、「ヘレディタリー」も「ゲットアウト」もスルーしたんだけど耐性足りるかな…。

 正直ブラムハウスのロゴのところで十分怖い。 

(以下2作品のネタバレあり。)

 

 

1.ハッピー・デス・デイ

映画チラシ ハッピー・デス・デイ/チラシ ハッピー・デス・デイ 2U ジェシカ・ロース

 

WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

 大学の寮の外観、そしてガバっと飛び起きるところから始まる本編。しかしその前段階のユニバーサルのロゴが何度かループするところからが本当のスタート。こういう作品に沿った遊び心は大好きです。

 んで、話は本編に戻ります。明らかに嫌いになる要素しかない主人公ツリーの1日をかなり丁寧に追っていきながらまず夜にサクッと殺される。そこで同じ日を過ごすことになるんですけど、この2回目も結構しっかり描くし、違いを明確にしていく。多分ここまでで30分かかってないと思うんですけど、ここまでのルール提示が非常にシンプル且つ上手に進んでいるので、すんなり飲み込めるいいSFに。ループもの、特に死ぬのがきっかけとなると「オール・ユー・ニード・イズ・キル」が思い出されますね(劇中で言及されていた「恋はデジャ・ヴ」は見たことないので比較できない...)。後はどうしても言及しておきたいのは乾くるみの「リピート」。時間旅行の末になかなかに悲惨な目に遭う話なのですが、この系譜の作品で語り落としがちの中でなかなかの作品。乾くるみは「イニシエーション・ラブ」以外にもあるんだぞ!ということも含めてお伝えしたかった次第。

リピート (文春文庫)

リピート (文春文庫)

 

 

 横道に逸れてばっかりですが、物語はこっから少しづつツリーが自分を殺す犯人捜しを繰り広げながら死んでいき、同時に繰り返される酷い自分を象徴する一日と向き合って成長する、という話になってます。繰り返すからこそ自分に向き合わなくてはいけない、という展開自体がとても良く出来ていると思いますし、それを経ての良い人間になって父親との和解、からのやっぱり死ぬ!というのも緩急が効いていて素晴らしい。

 と、こう書いていると、ホラー+タイムスリップなのに、SF部分と家族物としての側面しかないのかと思われるだろうが、ご安心ください。ホラー要素もしっかりあります。ループものの宿命として、命の重さが軽くなってしまうのでまずは1日目にしっかり恐怖を見せる。薄暗いトンネルに置かれたオルゴールから流れるハッピーバースデイの歌がもう怖い怖い。その先はしっかりスラッシャー的な鏡を利用した定番だったり、それを外してくるパターンだったりでちゃんと怖くさせ、後半以降は病院に収監されている殺人犯との対決、という意味でサスペンスのハラハラが生まれている。単なるホラーの枠は超えているが、ホラーの文法をしっかりと押さえている印象が強い。100分切りでここまでしっかり色々出来ているのは上出来では。

 そしてもう一つ重要なのは、怖がる顔。この点、怖がる人が殆ど1人しかいないのに完璧に役回りをこなした主演のジェシカ・ローテは素晴らしい。目を見開く怖い顔も十分怖いし、序盤のイヤーなビッチを演じているときの見下し顔も最高。

 ループするたびに殺しに来る犯人が完璧すぎないか、という点も我々日本人の場合はシュタインズ・ゲートでそういう風に帰結する世界線、という設定を受け入れているのでまあ問題はない。

 っていうか、コレどうやって続きをやるんだろう、という思いの方が強い。さあどうなるでしょうか。個人的に気になるのはカーターの部屋で目に付いた「ゼイリブ」のポスター。宇宙人が関係してたり...??

2.ハッピー・デス・デイ 2U

ポスター/スチール写真 A4 パターン5 ハッピー・デス・デイ 2U 光沢プリント

 

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

 という訳で間に2週間ぐらい挟んでの2になります。

 今回のユニバーサルロゴは3つに分裂。そう、今回はタイムリープではなく、パラレルワールド、マルチユニバース。主人公のツリーは完全にリーディングシュタイナー持ちで時間遡行と世界線移動をするので完全にホラー版シュタインズ・ゲートですね。劇中で言及されるのは「BTTF2」でした。「ゼイリブ」のポスターがあるから宇宙人だ!とかいうのは邪推でしたね。ただ映画ファンという以上のアレは無かった。

 今回は、前作では部屋のドアを開ける以外の役目の無かったライアンのタイムリープからスタート。最初に描かれるシークエンスは前作のツリーの時と同様、これで世界がどう変わったか見せるんだろうな、という長回し

 ところが、今回は既に話のわかるビッチことツリーがいるし、カーターも理解してくれてる状態なので話が早い。早速マスク姿の殺人鬼を捕えてみたら、平行世界からきたライアン自身がライアンを殺そうとしていたというから大変。しかもなんか見ているコッチが理解できないのを良いことになんか勿体ぶった理由のついたタイムリープ世界線移動が可能なメカが出てきちゃう。ということで、この機械が作動してツリーは地獄の誕生日に逆戻り、しかしそこは違う世界線で…と進んでいく。

 前作でも登場した人物たちがそのまま出てくるので前作の鑑賞は必須レベルだが、ちゃんと前作を見ていれば前作との人間関係や起こるイベントの違いが際立つし、同じ構図を使ったギャグなんかも楽しめる。前作の真犯人ロリなんかは普通に良い人になってるし。

 じゃあ、前作と同じことをしているだけなのか、と言えばその批判は全く当たらない。前作が自分の現在を見つめなおすツリーの成長譚であるならば、本作は過去の喪失と向き合って、未来へ向けて一歩踏みだす作品に仕上がっている。移動した先の世界線では死亡したはずの母が生きているが、恋人になったカーターは宿敵ダニエルの恋人に。どっちを取るか?という話がそのまま母の喪失を受け入れる話でもある。そのため、前回は死の始まりを告げる恐怖の歌だった♪Happy Birth Day to You~がケーキと共に父から渡される時、それは新しい自分の誕生を祝うカタルシスの瞬間になる。ここは本当に良かった。

 一方で、前回は犯人捜し=繰り返しを止める、という構図が今回は自分が元の時間に戻るために、膨大な計算式を覚えて自殺して機械を完成させる&犯人捜しという2つの目的が並立する、という形に代わったため、殺されるのではなく自殺が増え、死のバリエーションが豊かになる。勿論、その代わりにホラー・恐怖が減り、コメディ感は増すのだが。ただ、前作同様死ぬとその分のダメージが体に残る仕様なので死因を自分で決められるのはリスクマネジメントとしては結構優秀だと思う。その割に洗剤飲んで内蔵喉壊したり、破砕機に突っ込んでいったり無茶苦茶だが。

 そんな感じで少しタイムリープの目的がふわっとしてしまうところや、前作以上に論理的に見せたが故に強引なところが目立つ点はある。例えば、結局平行世界ライアンはどの世界から来て何で現在ライアンを殺そうとしてたのか。とか、そもそも戻れる!と言ってるだけで何で機械を動かすと戻れるのか、っていうかコイツら天才すぎるじゃん、とか。ただ、その辺も含めてこの作品の持つ独特な緩さの笑いのトーンが出来ているのでそこまで気にならない。

 役者で言えば、フィー・ヴ(で良いの?)が演じたライアンも怖がり演技が十分だったが、またしても主演のジェシカ・ローテに触れないわけにはいかない。逆境に立てばたつほど魅力的に映る彼女は、前作同様の恐怖演技だけでなくカーターがダニエルと恋人同士だと分かったときのあんぐり顔など顔面演技が本当に素晴らしい。こんなに顔で喋れる俳優さんは、今後確実にホラーで重宝されるのではないだろうか。最も、私はホラーが苦手なので今後もお目にかかれるかはわからないが…

 

 1と2をぶっ続けで見るのが確実に一番楽しいし、アメリカだと2年も間を待たせたのが1日でどっちも見れるのは最高の体験のはず。夏って言えば怪談だし、1の上映が終わる前に是非!