抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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祝祭の波に飲まれろ!「海獣の子供」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB) | Twitterです。

 既にだいぶ出遅れた感の強いスタジオ4℃最新作「海獣の子供」の感想です。

 一日3本立ての一発目に見たんですけど、これ一本目で一気に疲れました。いや、いい意味で。二本目がMIBだったんで希釈できましたけど(悪い意味で)

 書いてみて気づいたんですけど、ハンドボールに関することばっか言っててこの人気持ち悪い。

AnimeJapan2019限定 特別前売り特典「海獣の子供」 B2ポスター

WATCHA4.5点

Filmarks4.6点

(以下ネタバレ有り)

 1.まずどうしても言いたいこと

 序盤の主人公琉花のハンドボール描写。実は私高校生の頃ハンドボールゴールキーパーをチビの癖にしておりまして。今でもプレー集を動画サイトで漁るぐらい好きなんですよね。ということでおそらく数ある「海獣の子供」の感想の中で恐らく唯一と言っていいハンドボール部分の感想をどうしても言わせてほしい。

 彼女のプレーぶりが素晴らしい。1点目の4.5かセンターを躱してのシュートも十分フェイントが効いていたし、なにより2点目。抜け出してから空中でのフェイントで持ち替えてのループ。非常にレベルの高いプレーだし、ゴールキーパーからしたら出たタイミングを恨むしかない。あれだけのシュート、フェイントからのループ決めれる時点でかなりハンド上手い。

 ↓これの0:18~のプレーが1番琉花のプレーに近かったかな?上体フェイントからのループではないので。

 そんな状況で、アフターのファールで足を引っかけられる。取らない審判や顧問が全面的に悪い。そりゃ報復プレイも生まれるわ、と呆れます。それ放置しておいて起きた帰結に対して謝らないなら来なくていいって。えぇ…。しかもこういう試合って大概レフェリーは部員が交代でやるんです。んで、審判も2人ちゃんといるはずなので見逃すことはほぼあり得ないプレーですし。トリッピングでイエローですよ、絶対。結果的に琉花のプレーで相手が怪我したかもしれないとはいえ、そもそもの段階で琉花が怪我した可能性も高いプレーですからね。あれ放置した顧問は本当に罪深い。

 この段階で、私は琉花に対して全面支持を決め込むと共に、あのハンドボール作画を成し遂げたスタジオ4℃も信じる位に値する作り手だと確信しました。願わくば、このクソ連中を駆逐する話であってほしかったですが、そんなちっぽけな話ではありませんでした。逆に言えば、ハンドボール部の紅白戦でファール貰えないどころか、報復行為と取られる段階で琉花の部内コミュニケーションの上手くいってなさが表現できてると思います。

 最後の和解のシーンと思われるところでもしっかりハンドボールの握りをしている作画になっていてやっぱり最高!と思ったり。

2.アニメの力が襲ってくる

 さあ、やっと話を戻しましょうか。話自体に関しては難解な部分も多く一旦置いておいて、まずはアニメーションの絵的快楽から。ハンドボールシーンで信頼して良かった!

 全体を通して線の多い、すごく手のかかった作画なのはバカなの?というレベルで、海の生物大集合の祝祭シーンの前段階のとこ、正直アクアマンの海棲生物大集合より興奮しました。

 特に好きなシーンは2つ。

 まずは中盤の沖でのジンベイザメに揺られるシーン。雄大な海の中で縄一本で繋がっている状態で無力な琉花を気にも留めずに海流を乱していくジンベイザメの大きさ、強さが画面を支配した瞬間はまあ現実で撮るのは無理だろうし、思わず感嘆の息が漏れました。

 そして真っ暗な海でのソラと夜光虫と合わせて泳ぐシーン、アニメ的カタルシスが凄く、特に真っ暗を本当の黒で描くのはアニメでしかできないと痛感しました。実写だとどうしても演者を映すために別の部分にも光が当たってしまうのが当然ですもんね。

 なーんて、思ってたらその後の宇宙や祝祭に関する作画が凄すぎでした。銀河系がぽこぽこ生まれる。あの祭りの瞬間の映像は、MCU系の精神世界や量子世界、他の色んな映画の描写とも違うトリップ感がありました。いやーすごい。あと雨降ってるのが魚になってる、アレも好きでしたねぇ。

 主題歌を買って出たという米津玄師さんのMVでもその作画の凄さが堪能できますよ

3.小さく壮大なストーリー

 ストーリーとして考えると、この物語は琉花が経験するひと夏の話であり、ちょっとした成長を描いている。

 ところがその成長と経験に、宇宙の誕生と生命の誕生を重ね合わせることで、人間関係がうまく行かない琉花が空と海という兄弟と交流するだけの小さな話が一気に壮大な話になっていくわけです。正直がっつりSFになっていて、昨年の「ペンギン・ハイウェイ」を少し思い出したりもしました。アニメで作っているからって子供相手だと思うなよ!!

tea-rwb.hatenablog.com

 

 そしてそして後半はリアリティラインとかそういうのを超えた完全に神話に近い話になった。結局我々が近くできるのは世界の理のごく一部であり、表現できるものはさらにその一部でしかない。この映画の感想の言語化だってそうだ。うん、やっぱり感想書くのもう止めとく?

 祭りが事実上生命礼賛に近い感じで、琉花の経験する一連の祝祭や海との行為はほぼほぼ性行為ともとれ、エンドロール後に琉花の、ではないにせよ新たな命の誕生が描かれたのも当然かと。

 どっちが先とか知らないけど、なんか隕石を持ってる人が黒人間になったり、一は全・全は一的な話もありハガレンみがあった気もします。そして勿論影響を与えているのは間違いなくピノキオ。鯨に飲まれて生まれ変わり、みたいな展開はもろピノキオ。あと思想の根源としては、古代ギリシアの哲学者テレスの存在も言及しなくてはいけないでしょう。そこまで哲学系に詳しくは無いのですが、タレスは万物の根源=アルケーを水だと考えた人物であり、世界のはじまりを有機的に考えようとしたまさに最初期の人物でもある。

 全然関係ないけど名前の似ている昨年J2新潟に所属していたターレス選手の訃報には胸が痛んでおります…サッカーファミリーが亡くなってしまうのはもう嫌だ…

 まあ、正直それっぽい祝祭感をアニメーションの凄さで出していくことが多く、登場していた大人たちは祝祭に居合わせることで何を手に入れようとしていたのか、結局あの婆さん何者なんや、とか語り切れていない部分が多いのも確か。それを圧倒する作画で忘れてしまう、というだけではあります。まあこの辺は原作を読んでみないと分かりませんね。

 最後に、声優陣。みなさん単純に良かったと思いますが主演の琉花役の芦田愛菜さんの出色っぷりには触れない訳にはいきません。ゴジラKOMの吹替に抜擢されたりしてて、ゴジラジャパンプレミアの時にはへー、ぐらいの感覚だったんですけど吹替版見てなくても大丈夫だと確信してます。NHKの朝ドラ「まんぷく」のナレーションも声だけの仕事でしたが、その時の明るいトーンとは全く違う演じ分けがしっかり出来ていてなんやこの人ただのバケモノやん、と感服しております。