抹茶飲んでからマラカス鳴らす

見た映画、読んだ本、見たアニメ。そんな話を中心に。。。

そしてまた次の曲が始まるのです。「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 10連休最中のファーストデイに満員の中鑑賞した響け!ユーフォニアムシリーズ最新作の感想です。もやもやがあって最近にしては見てから感想を書きあげるまで時間がかかってしまいました…。

 結構批判的なことを言いまくってしまいましたが、事前のハードルが滅茶苦茶高かったせいでそうなっただけで、普通にいい映画ですし、是非まだ劇場でやってるなら行ってみてください!

劇場版 響け! ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』 オリジナルサウンドトラック The Endless Melody

WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

1.面倒くさい1年生

 予告編で久美子が言っているように、今回描かれる新キャラ=1年生たちは一癖も二癖もある連中ばかり。

 まずは、チューバ担当のW鈴木。人付き合いの上手だが楽器は下手なさっちゃん(以下鈴木小)と、口下手でコミュニケーションが取れないが演奏は技術的に上手く、「私、定時で帰ります」タイプ(注:ドラマは見ていない)のみっちゃん(以下鈴木大)は対照的な存在で、サンフェス当日での鈴木大の爆発までが前半の山場といったところ。正直言って、あのタイミングで楽器グラウンドに置いて「私、このままいたら迷惑なんで辞めます」って、そのほうが迷惑だろいい加減にしろ、と思ってしまいましたね。で、まあこれを久美子が丸く収め、その後なんとなーくの薄めのフォローしただけで主題は別の新入生、ユーフォ担当の奏へと移っていきます。

 奏は、かつての久美子、のような描写。久美子との出会いはあすか先輩の「響け!ユーフォニアム」の演奏を久美子がこっそり聞いた時に近い形。そしてその2人の関係をなぞるように、敷居を超えて踏み越えようとするのも久美子。この辺りの演出は非常に巧みだったと思います。結局奏は頑張る事の意味を見出せず、保証されない未来のための努力よりも、波風立てない人間関係の維持に腐心しているタイプな訳で、そこと上手くなりたいとかつて叫んだ久美子との対決がメインになるわけです。

 となると悲しいかな、前段でのW鈴木の問題はさっちゃんは何も悪くないただの良い人で終わりだし、対立自体が奏の人間性を描くための道具にしかなってない。その対立を経て、久美子が奏との対決に関する何かを得ていればいいんですが、実は奏との対決で久美子が使える手札って、映画開始時点、即ちこれまでのユーフォで完璧に描き切っているんですよね。つまり久美子的には映画内での成長はない。それって映画にする意味あるのかな…?と若干の想いが。f:id:tea_rwB:20190727015231j:image

 久美子の成長、という観点からこの映画を眺めると、久美子自身には秀一との恋愛問題、高校2年というタイミングなので当然襲ってくる進路問題。その辺があるにはある。ただ、こうした問題の結論としては今は吹奏楽を頑張る。とただ先送りしただけで結論を一つも出せていない。現実問題部活に熱中するタイプの生徒だとそのパターンもあるとは思うけど、お姉ちゃんのこと、cv日笠さんの受験の為に部活を辞めたキャラなんかが過去にあっただけに勿体ない。しかもエンディングで久美子は部長に就任します。部長になった瞬間、キャラが一気に類型化したデカリボン先輩のことを考えても吹奏楽のこと、部をまとめることが3年生篇では主眼になって将来のこと、なんて描かれないのかなぁ、という感じがしますね。

 という具合に見事に忘れ去られるのがコンバスの新入生、月永求。おそらく彼は、描きたいと思っているだろう次章のために完全に置かれたキャラ。突如ライバル校として出現した学校の顧問である彼の父親との対立とか掘られなさすぎ。コントラバスについて緑に演説されてたけど、彼の音楽的背景が分からないので必要な説明なのか分からん。釈迦に説法かもしれない。それでも細かい事情は置いておいて弟子入りした、の一言で片づけられる。ライバル校にしたって京都精華、じゃないや、立華高校に久美子の同級生がいたのにそっちの話は今後しないのかな…?彼の存在筆頭に、最早ユーフォはアベンジャーズとかと同じく単純なキャラの魅力で引っ張っていきながら初見お断りのファンサービス要素がどんどん増えていくのかな...と少し残念な気持ちになりました。

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2.積み上げてきたゆえに。

 今回のユーフォ、比較的がっかりめなテンションの大きな理由が薄さ。単純に、これまでが濃すぎるだけではあるが、薄い。

 アニメ1期では1年生になってから関西大会まで。2期では全国までを描き、映画版では2本目はあすか先輩関連に完全に狙い撃ちしただの総集編を超えた作品となり、「リズと青い鳥」はものすごく小さな問題を濃密に描き切った傑作でした。

 だからこそ、4月から関西大会までの時期を映画1本分の時間に収め、かつ新キャラ紹介にユーフォの重要な部分である、人間関係のリアルなドロドロさを描いていたらちっとも練習してないんですよ。あんなに練習してやっとの思いで全国銅賞。そこから纏める力を持つ部長、絶対的存在のあすか先輩と中世古先輩、後地味に大事だと思ってたパーカッションのナックル先輩が抜けた状態で練習量の描写が少なすぎて、正直関西でダメ金の結末にも納得というか。本来ならTVニュースだけで勝っちゃった源ちゃん先生こと月永先生の学校の描写が極端に無いので負けたことに納得いかないと思うはずが、それよりも練習してないもんなー、と思っちゃいました。

 いや、練習していないわけではないのはわかるんです。匂わせてもいましたし、例えば校舎外での鼻血を出すまで練習した場所で練習してたりと同じような練習量をしているのはわかるんです。滝先生が緩い練習で許すわけないし。でもそれって、それまでの全部の作品を見ていること前提すぎないか、と。楽曲としてリズと青い鳥を使うぐらいのファンサービスはいいと思うんですが、ちょっとこちらの想像力にお任せしすぎではないでしょうか。うーん、それとも知らぬ間に全部説明しないとダメ病に私が罹患したのだろうか。

 まあこれまで見てきた人のものだとしても、ですよ。だとしたらとっても大きな不満があります。最後まで部長を全うしたデカリボン先輩や低音パートの直接の先輩たちである夏紀先輩、後藤夫妻との別れのシーンをやらずに久美子が部長になるシーンで終わる。これは納得がいかない。あすか先輩や前部長、訛った「北宇治ファイトー」を言うより優先するべきものがあるでしょう。え、私が夏紀先輩過激派だからそんなこと言ってるんだって?そうかもしれません。

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3.来るべき最終楽章への不安

 まあこれだけ次に向けた布石を打ったんだから久美子3年生編はアニメにしろ、映画にしろやるんだとは思います。そこに個人的な不安を。

 まず単純に部としての成績。北宇治カルテット以外の同級生を殆ど描いてこなかったシリーズにおいて、彼女たちの学年が最高学年となった場合、滝先生の教えを受け続けた最高傑作となるのか、あるいは実力者のぞみぞれ等の抜けた穴をかばいきれないのか。悲しい話ですが、今回の映画の内容的に考えて、葉月や鈴木小が舞台に立つ可能性は低いと言わざるを得ません。戦力になり得ない人物も描写している割に、名手の説明が少ない。演奏という性質上、テレビの前の我々も納得できる出来栄えを吹奏楽部が完成させ、全国金を取れるのか、そこに説得力が付随するのか。極めて不安。

 そして、それと似ていますが、過去を越えられるのか。タッチの違うリズは別にしても、演奏としては明らかに第2期の全国大会は圧巻でしたし、第1期のサンフェスでのライディーンも明らかに他校と違う何かを感じさせる演奏でした。演奏、作画、すべてがこれまで素晴らしかったからこそ、もうそれを越えられないのではないか、という疑念が浮かんでしまいます。まあこの辺はエンドゲーム見る前に駄作だったらどうしよう、なんて嘆いていたのと同じなので長期化したシリーズにはついて回る話ですけどね。