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考え無しリーアムの困り顔ニーソンを堪能しろ!!「スノー・ロワイヤル」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回は昨日試写会で見てきた6月7日公開のリーアム・ニーソン除雪車で人を殺しまくりそうな気配がプンプンしている「スノー・ロワイヤル」です。「ファーゴ」「パルプ・フィクション」あたりが宣伝文句に使われていますが、果たして。ちなみにこのポスター、リーアムが劇中で模範市民賞を受賞しただけなのに映画がなんかを受賞している雰囲気出ていて割と好きなポスターです。

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WATCHA4.5点

Filmarks4.4点

(以下ネタバレ有り)

 1.考え無しリーアム

 本作のリーアム・ニーソン最大の見どころは感情が壊死したその顔面。冒頭で模範市民賞を受賞する前のタイミングでは手が震えているほど緊張しているリーアム。しかし息子の死に対して、息子が麻薬をするはずがないと感じたリーアム。手に入る手がかりを追って1人また1人と消していき、金網に巻いて川に投げ込んでいく。正直、途中からなぜそんなことをするのか、という目的は分からなくなっているし、リーアム自身も分からないまま進んでいっているのではないでしょうか。それを象徴するのが、奥さんとの別離。奥さんは息子の死に対して自分が何も息子を知らなかったこと等でショックを受けて家を出ていってしまいます。表彰式前のリーアムの震える手を押さえていた奥さんがいなくなったことで、感情そのものがどっか行ってしまったリーアム。

 だから最終的に兄貴が犠牲になっても、そうしたことへの悔しさ等を全く表情に出さず、何の交渉をしたいのかもよく分からないまま、麻薬組織のボス、バイキングの息子を取り敢えず誘拐しては、自宅に連れてくるのは賢くないね、なんて言われちゃうわけです。目的もなければ後先も考えない。

 こうしたリーアムの凶行がバカバカしくならないのも、序盤の種まきのおかげ。そもそもの発端の息子の友人の伝手で殺していく相手、特に2人目が殺されるシチュエーションあたりは、あまりに白昼堂々過ぎてバレない訳が無い。ところが次のコマでは彼は金網に巻いて川に投げられている。リアリティラインが精緻な犯罪から大きく下げられるわけですね。

 ↓考えまくリーアムの「ザ・シークレットマン」の感想はコレだ!!

tea-rwb.hatenablog.com 

2.困り顔リーアム

 もう一つリーアムの顔で最高なのが困り顔。彼の困り顔って、どことなく寂しいけど面白いんですよね。それが爆発するのがバイキングの子どもを誘拐したシーン。寝かしつけようとした段階でドアを閉めようとして話しかけられる天丼を繰り広げ困り顔。挙句、何か本読んで、と言われて読むのが自身の持っていた除雪車のカタログ。いやー面白い。そうそう、兄に組織での名前を聞いてウィングマンと言われた時のリーアムの顔も最高でした。

 この映画、頭からクスクス笑いどころはあるんですが、今回の試写会場ではこの瞬間に笑うことを許される感じになりました。正直、私は序盤の息子の死体を確認するときになんかポンプみたいなのがバカバカしい音を立てながら上にくるシーンで既に笑いそうだったんですが。

 ほかにも、登場人物が亡くなると必ずお悔やみが出たり、それによってあっさりと瞬殺されるネタや、おっさんと女性の警察官同士のやりとりで男なんて馬鹿ね、みたいなやりとりもあったり、まあ笑いの種を撒いてる訳ですよ。ただ、マフィアとか先住民族とかの問題や復讐の鬼リーソンを期待しているので笑っていいの?感がある。それが見る人によるでしょうが、必ずどこかで爆発して笑える。

 おそらくは、生首が出てくるところもその扱いの雑さに笑っちゃうでしょう。また、先住民族のグループが仲良く雪合戦しているシーンなんかも爆笑できるでしょうし、その際に飛び立っていた彼らの仲間が除雪車に巻き込まれて死亡するラストも不謹慎ながら大爆笑させられるでしょう。

↓困るどころか苦悩しまくリーアムの「シンドラーのリスト」感想は以下に。

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3.4つの陣営のぶつかりあい!

 本作を語るキーワードは確実に「勘違い」。リーアム息子は勘違いで殺されて、その復讐にバイキングの部下を3人殺す。今度はその報復で下手人と勘違いされた先住民族グループの1人が殺され、最後には全面抗争に。警察は女性警官だけが起きていることを想定しているが、パートナーのおっさん警官はそんなの勘違いだと言わんばかりに下世話な話に終始する。リーアムは兄のもとを訪ねるが、二人の父親はバイキングと取引があった。普通はこれだけの陣営を群像劇的に描けば結構混乱するんですけど、なかなかどうしてその辺の書き分けが非常に上手い。リーアム陣営は雪の大自然の中だし、バイキングは完全にデンバーの富裕層。先住民族グループは独特の空気感を醸し出しているので、割とそこで混乱することは無いと思います。だからこそ、最後の大バトルが楽しい。

 しれっとギャグ的に入れていたバイキングの部下同士の恋愛も、ちゃんと話を動かす要素になっていたりと笑いと話の推進力という意味でも良くできていたと思います。

4.とはいえ重めのメッセージも…

 散々ブラックコメディ的な面白さを強調してきましたが、全体を通して考えると「家族」というものについて、結構考えるような映画。

 息子を亡くしたリーアムは勿論ですが、バイキングも息子と別居中の嫁(離婚してるかどうかちょっとわからんかった)とのやり取りが多く描かれますし、先住民族側でまず犠牲になるのはリーダー・ホワイトブルの息子で、彼の発するスローガンは息子には息子を、です。バイキングの息子を誘拐した後のリーアムは十分に過ごしていなかったと思われる息子との時間を取り戻すかのように一緒に除雪車に乗ったりと非常に楽しそうにしています。前述の爆笑のラストカットでは、戦いを生き残ったホワイトブルとリーアムが除雪車で行動しているわけですが、今回の出来事で息子を失った2人なんですよね。だからどこか通じるものがあり、殺気立っていたホワイトブルも思わず寝てしまっているし、拳銃を放り出している。

 それからもう一つ。先住民と居留地の問題。昨年「ウインド・リバー」を見ておけば、とこれほど後悔するとは。

 ホワイトブルたちがスキー客で満室のホテルに泊まるための恫喝のタネに、対応したホテルの受付の発言を用います。居留地と予約が"reservation"で同じというネタで、ここ自体はギャグシーンです。ところが、その前にホワイトブルとの抗争を決断したバイキングのこんな感じの発言が。

 「居留地から先住民を出すな!アイツらはそこが初めから自分の土地だったと思いやがる」

 これに対して後に殺されちゃう正論言っちゃう若造が「一理あるかも」なんて言ってますけど、まさにその通りで、もともと居留地に住んでたんじゃなくてアメリカ全土が先住民のものでしたよね。自分の土地ヅラしてるのはどっちだ、って話ですよ。勿論、これを言い始めるとイスラエルとかややこしくなっちゃうので難しいラインの話ですが。

 ブラックコメディでありながら、あっさり人が死ぬ、でも家族の話…そう、「スノー・ロワイヤル」は「デッドプール2」なのです!!よく考えたらラストシーンとかデップーで死んだX-フォースと同じ雰囲気だったよね!!

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