抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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逆異世界転生は大忙し「LAIDBACKERS レイドバッカーズ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 4月とは思えぬ極寒が直撃した昨日、時間が合ったので2週間限定上映のアニメ映画「LAIDBACKERS レイドバッカーズ」を見てきた感想です。ついでに新宿の京王でやっていた大北海道展にもよってじゃがポックルもゲットしてきました。脚本が上江洲誠なら見るしか。

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレ有り)

 1.流行りの設定てんこ盛り。

 今回の作品はオリジナルアニメであり、これから訪れる怒涛のオリジナル劇場アニメ映画の先陣としてはちょうどいい具合だったかもしれません。

 設定としては、魔王と戦う異世界から現代の京都にキャラクターが異世界転移。脳内はそのままに現代にそれぞれ適応した形での日常兼アクションみたいなアニメ。雰囲気的には1月クールのえんどろ~に近いものを感じました。

 ちゃんと纏めると、姫騎士→犬のアーネリア、狂戦士→ニートのハラミ、武闘家→地下アイドルの舞、魔術師→BLオタクのK、魔王→小学生幼女のヴァルヴァラン(以下ラン)という転移。アニメやラノベで流行っている異世界転生の変形と言えると思います。特徴的なのは、戦時から平時に転移してきたこと、敵味方双方が転移しているが、魔王が弱体化しているので平和ボケしていること、でしょうか。

 これだけのキャラが元々何で、今なにしてて、どんな性格なのか。まずは把握させるのが大変だとは思うんですが、この点に関しては中々どうして手際がいい。開幕バトルでハラミの強さ、Kの魔術師、キーとなる魔王のカケラというというアイテムを出してOPに。OPで異世界での話を字幕で説明してしまい、その後に回想を挟むことでしっかりフォロー。現代の姫騎士サイドが居候する駄菓子屋、ランが居候する教師と現在の暮らしも見せることでしっかりキャラは見せていたと思います。

 特に、アイドルとなる舞のエピソードなんかも地下アイドルとしての面と武闘家としての身のこなしを同時に見せたり、最近のSNS・動画の話をしたりと現代っ子感も出しているし、ちゃんと曲も歌っているのでここはアイドルものも抑えてきましたか、と。

 当然舞台が原題の京都となり、京都タワーを中心とした駅前の模様やビッグイベントになる五山の送り火など、京都描写も割とちゃんとしていた印象でこの辺は、これまた流行りのご当地モノとしての要素をしっかり押さえている印象。

 っていうことで、設定としては盛りだくさんだった中で、しっかり交通整理は出来ていた、というのが簡単な感想。

2.役割とやり直しという普遍性

 これだけの設定を盛って、開幕とエンディングに当然盛り上がるバトルを持ってくる中でその間は日常パートとなる。その中でも実は役割というものに関して、と人生のやり直し、という2つの普遍的なテーマを描いていたのが良かったと思います。特に役割に関して。

 ↓ディズニーの役割意識からの離脱の話は一番結騎了さんのこの記事がわかりやすいです!

www.jigowatt121.com

 異世界転生してきたことで、彼らはそれぞれの役割から解放された生活を送ることになります。ハラミはニートを満喫し、Kは趣味とバイトと両立している。その中で、開幕のバトルにライブの為に参戦せず、魔王が幼女化した現在において魔王と戦うという役割意識から完全に解放されています。一方で、形態的には犬になったことで完全に役割から解放されてしまったアーネリアは逆に姫騎士としての役割、魔王への警戒を怠ることなく固執していきます。わりとディズニーが役割意識からの脱却をテーマに掲げた作品を増やしている中で、その潮流にしっかり乗ろうとした、そんな意識は感じます。

 ただ、バトルをちゃんとやる構成上、結局舞はライブを捨てて仲間と戦う道を選ぶので役割からの解放は達成されていない、とするのがどう考えるべきか。

 もう一つの普遍的なテーマは「やり直し」。これまたディズニーで恐縮ですが、ジェームズ・ガン監督の解任騒ぎで問題になった話と要は同じ。かつての行動がその人間を規定するのか、やり直せるのか、という問題。これを異世界では殺戮の限りを尽くしていたと思われる魔王を物理的に弱体化させよりピュアな存在に近づけながらも、知識や経験は転生後も維持しているという状態、疑問を投げ続けるアーネリアの存在を通して問いかけてくれました。

3.尺不足と「映画」とは

 扱っているテーマも普遍的で挑戦的だと思うし、キャラ紹介もよくできていたとここまで誉めてきました。が。それぞれのキャラの深堀り、という点ではまだまだ不足しているし、それぞれのテーマに対する解答とそれに至るプロセスはいささか力技。特に、前述のとおり役割からの解放を象徴したいた舞が結局武闘家という役割に引き戻されたあたりは不満です。こうしたものはとにかく59分という尺が短すぎることが原因だと思います。59分で1500円ってのもやっぱ割高に感じますし。まあ、明らかにこれからもこのプロジェクトを作り続けていくんだろう、とは思うんですよ。TVアニメシリーズ向きだと思うし。そうすると第91回アカデミー賞で浮かんだ疑問「映画って何だ??」がぷかぷかと浮かび上がってきます。

 ある程度整理されているとはいえ、60分を切る説明不足感が否めないこれとOVAの劇場放映との差は何なのか。そして2時間を超えて、モノクロの傑作「ROMA/ローマ」は結局劇場にこそかかりましたが、映画の枠組みに入れていいのか議論百出の状況。現状のアカデミー賞の作品賞のノミネート基準を考えると、この「LAIDBACKERS レイドバッカーズ」は文句なしでノミネートの権利がありますが、Netflix配信のみだった作品だったらノミネートされない。別に本作品が悪いとかそういう意味ではないんですが、劇場でかければ「映画」なのか。正直そこまで詳しくないのですが、アニメのOVAという文化と「映画」との境界線上を考えてしまうものです。まあ何処の誰とは明言しませんが、全6章の最終章の1本目が47分しかなかった戦車、お前やで。

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