抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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こじらせ女子を大九明子が再び描く「美人が婚活してみたら」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 前作「勝手にふるえてろ」がクリーンヒットを飛ばし、2017年度6位にランクインした大九明子監督の最新作。このご時世に「美人が」というのは中々カンに触るので見ないかなぁと思ってましたが、時間が合ったので見ることに。私の大好きなNHKのコント番組「LIFE!」などでおなじみのシソンヌ・じろうさんの脚本だったんですね。

映画チラシ美人が婚活してみたら 中村倫也

WATCHA3.5点

Filmarks3.4点

(以下ネタバレあり)

  

1.「勝手にふるえてろ」的要素

今回の「美人が婚活してみたら」は、タイトル通りの作品ではあるんですが、かなり前作「勝手にふるえてろ」に近い部分がありました。今回は漫画、前回は綿矢りささんの小説で原作は別にあるのに不思議なものですね。大九さんの題材選びでしょうか。

勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろ (文春文庫)

 

 「勝手にふるえてろ」では、学生時代から妄想し続けている相手であり、イケメンの「イチ」と、カッコよくないけど愚直にアタックしてくる「ニ」との間でヨシカが揺れ動く話でした。

 今回の「美人が婚活してみたら」では、いわば「イチ」的なイケメンにして明らかに結婚は考えず火遊びの相手としか見られてないだろう田中圭演じる矢田部と、女性に慣れないながらもストレートに好きを伝えてくれる少し変人の中村倫也演じる園木の間でタカコが揺れ動く話。割と途中までデジャヴ!?って感じで見てました。

 また、絵作りにも前作と同じようなところが。川沿いのショットが多めだったり、一番は部屋。部屋を全景見せるのではなくベッドに寝そべってPCごと横向いてるあたりはヨシカと完全一致してました。と同時にこの画がかなり自分的に好みなので過去の大九監督作品をチェックしてみたいですね。

tea-rwb.hatenablog.com

2.恋愛劇と思いきやウーマンスもの…?

 ずーっと「勝手にふるえてろ」の話をしていて申し訳ないんですが、あっちでは内向的に拗らせたヨシカが爆発して外に当たり散らし、最終的には「ニ」のど直球にやられる展開。そのため、今回もなんやかんやで園木のストレートな好きにやられてそっちを選ぶ話なんでしょ、と途中まで思ってました。

 ところが、この作品全然そっちに進まないのが大きな驚きでした。矢田部と行きずりのセックスをして、自分に絶望したあと、最初から話し相手として登場していた臼田あさ美さん演じるケイコとも本音で激突。寂しくなったのか、園木をホテルに誘っておいあ士の友情物語をブロマンス、なんていったりしますがその女性版としてポール・フェイグ監督の得意とするウーマンスものだったことが分かるわけです。前作を撒き餌にジャンル違うやつだったーというのは、観客、特に縦軸で見ている人には嬉しいサプライズかもしれません。

美人が婚活してみたら

美人が婚活してみたら

 

3.キャラ造形に不満も…

 展開や脚本的には割と好きだったんですが、それぞれのキャラ造形とその扱いに関しては不満が残りました。

 特にどうしても不満が残るのは主人公のタカコのキャラ。婚活しながら、恋愛すっ飛ばした婚活が楽しい!なんて言ってただただちやほやされたいだけで、人間関係は空いてあってのものだと1ミリも理解していないムカつく性格で美人だからという特権意識を持っているのは、ケイコが論破してくれて胸のすく思い。これまでも放っておいても男女問わず人が集まってたんでしょうね。あーあ、うらやましい人生だ。

 ただ、これまでの恋愛遍歴で不倫ばっかり、寄ってくるのが既婚者なんだ、と被害者面しておいて同じタイプの矢田部に抱かれるのは意味が分からん。そっから先の自暴自棄も全部自業自得にしか見えないんですよね。

 そして何よりその結果、真摯にケイコに向きあい、背伸びしていいお寿司屋さんも調べて、ストレートに告白した園木が可哀想で可哀想で。その挙句にホテルに誘われたのに拒絶て。それ結果論、ケイコが間違われて怒ってたサクラと同じだぞ!そしてその後物語上フォローなく放置。タカコはケイコと友情深めてちゃんちゃん、でいいのか!?と基本的に人生が彼寄りな私は憤怒の形相を浮かべたのでした。

 ま、キャラクター通りの演技をしっかりしていたとはいえ、朝ドラではモテる男だったイケメン中村倫也じゃ共感しづらいわ、とは思いましたが。その点、黒猫チェルシー渡辺大知さんのキャスティングは絶妙だったなぁ…

 

 園木・矢田部に出会うまでの婚活サイトの変な人遍歴(特にレイザーラモンRGさんとその横の会社員2人組)は面白かった、だとか、「勝手にふるえてろ」だと中盤の大転換以降蛇足になりそうなのを見事に回避していることを考えると、ちょっと白菜の漬物つけてからぐだぐだしたかな、とかまあ色々ありますが、大九明子監督が私にヒットする監督なのかは、過去作あるいは次回作まで判断を持ち越すことになります。
 結論:「勝手にふるえてろ」が大好き