抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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狡噛慎也の罪と罰「PSYCO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 10月からのアニメ第3期も発表されたPSYCO-PASSの劇場版三部作完結編。完結編とはいっても、すっごい薄いつながりの独立した3本目というべきでしょうか。

【映画パンフレット】PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有り)

 

1.復讐と正義

 振り返ってみると3部作の1本目はポスト震災を通してPSYCO-PASSを思い出す感じ。2本目は過去編でオリジンをやりながら、という形で何らかの「罪」というものを扱ってきた印象。そしてやってきた3本目は主人公が大人気の狡噛さん。彼が登場する時点で正義と罪の話になるのは間違いないし、事実劇場版第1作はシビュラシステムの及ばない海外での正義の話でした。そう考えると、なんか今回も似たことやってます…?
 ただ、今回は殆ど新キャラ。狡噛に復讐の為に教えを乞うテンジンという女の子との交流を菊池寛恩讐の彼方に」をモチーフに復讐のもたらすものを描き、同時並行的にこの世界では独立しているが、紛争の起きているチベットの和平交渉の話を巡る陰謀を扱いました。

 そうやって並べてみると、前者のイノセンスな弟子入り志願者とその道の先にいる支障が交流しながら、同じ道を歩ませてなるものか、という展開はどこか手垢がついたような気もします。

 さらに言えば、和平交渉を巡る謀略で和平交渉を仕切っている側がマッチポンプで紛争を起こしている側であり、結局一番の被害者は何の罪もない一般市民だった、なんて話もなかトム・クルーズ主演でやってそうな気もします。平たく言えば、話のオチ自体は殆ど始まって主要キャラが出揃ったら想像がついてしまうものでした。

 それでも面白かったのは、ひとえにこれまでPSYCO-PASSシリーズが積み上げてきた結晶といえるのではないでしょうか。冒頭のバーでの戦闘と、チベットに向かう途中の救出シーンは狡噛の戦闘力とキャラクターの紹介ではありますが、これは初めて見る人への導入というだけでなく、オールドファンにも狡噛さんは変わっていない、と安心させるものでもあります。変わっていない、という提示はアニメ第1期で槙島と繰り広げた死闘の精神的な傷跡をまだ負っていることも示していますし、事実槙島は今作品でも狡噛に内在化された存在として登場しています。それを踏まえた上だと、テンジンを復讐の道に歩ませたくない、という狡噛の想いは何よりも重く、その辺の薄っぺらいものとは違って映るのです。

 ついでに言えば、本質的に悪者が作り出したものであっても、周縁の人々にとっては平和であることが重要だ、というスタンスじたいもシビュラシステムに統治されている日本、という世界観の下でより説得力を増すものでもあります。

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2.アニメ第3期に向けて

 正直に言ってしまえば、今回の3部作は第1作が思い出しと初見への導入。第2作はファンサービスに近いもの。そして第3作目は完全に10月からのアニメ第3期へのブリッジというべきでしょう。すなわち、どう考えても本作の一番の目的は狡噛の日本帰国。アニメ第2期では狡噛と槙島抜きで話を繰り広げましたが、どうしても彼ら2人の不在を感じざるをえなかったのは事実。アニメ3期において推進力を失わないために狡噛さんの参加は正直必須事項。そういう意味では、前作で登場した花城フレデリカという外務省の人物の正体はついぞ明かさないまま戦闘力等のキャラ紹介も済ませた点も本作のブリッジ的側面と言えるでしょう。未だに私はコイツの中身がシビュラじゃないかと疑ってますが。

 いずれにしても、アニメ3期で終盤に持ってこられる気がする常守と狡噛の再会、1本目で成長した霜月、2本目でキャラが深堀された須郷さんといった厚労省チームと謎の花城の外務省チーム、そして既に公表されている梶裕貴さんと中村悠一さん演じる新キャラ。そしてシビュラ。どう決着をつけていくのか、アニメ第3期が大変楽しみです。

 

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