どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
さあMCU集大成の「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」まであと1か月。嘘やん、あと1か月かよ。そのタイミングで公開のMCU初の単独女性ヒーロー映画「キャプテン・マーベル」の感想です。色んなやらなきゃいけないことを優等生のようにやってくれたけど、それで終わっちゃった気がしないでもない。
WATCHA4.0点
Filmarks4.1点
(以下色々なネタバレ有り)
1.ヒーローオリジンとしての「キャプテン・マーベル」
まずは純然たるヒーロー物語としての本作について。
正直言って、ヒーローの誕生譚ってつまらないんですよね。なんかの力を手に入れて、少し悩んで、結局自覚してどーん!って感じじゃないですか。マーク・ウェブ版のアメスパなんて2回目だからもういいよ!とか思っちゃいますし。現在のMCUのヒーローにしても、「アイアインマン」は別格ですけど、「インクレディブル・ハルク」も「キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー」も「マイティ・ソー」もそこまで好きじゃない。「ブラックパンサー」やトム・ホランドのスパイダーマンは単体の前にデビューしてるし。ということで、「ドクター・ストレンジ」以来のオリジンということでちょっと身構えたんですよ。
そんなオリジンとしての「キャプテン・マーベル」は構成的にはうまくやったのではないでしょうか。最初からある程度の力は手に入ってるけど、それが何故なのかが分からない、という形をとったことでヒーローとしてのアイデンティティと自分探しが同時進行できるし、オリジン前半の巻き込まれるだけパートや強くなった理由的な停滞する場面はミステリーとして引っ張れるわけです。まあ記憶喪失ものの定番の世界観説明を本人と観客が同時に知れる、ってこともあるわけですよね。
で、ヒーローとしての覚醒は付与された能力が奪われると思い込んでいた首の装置がとれることで、むしろ能力が解放される、装置は能力制限のものだった、という感じにスーパーマン並みに無双状態。うーん楽しい。
ところで、出版社名のマーベルがヒーロー名につくってどういう理由にするんだろう、と思ったら「マー・ベル」という人名ってそれそれ多少無茶ですよね笑
2.マイノリティの物語としての「キャプテン・マーベル」
物語的にみると、「キャプテン・マーベル」は2つの意味でマイノリティの物語です。
まずは事前から分かりやすく設定されている女性の活躍を描く、という点。「ブラックパンサー」が黒人による黒人のための映画だったように、本作も女性監督による女性のための映画でした。活躍するのが敵味方共に女性だというだけでなく、前述の首の装置が取れる展開は女性が立ち上がる、という文脈にも描かれています。覚醒直前のフラッシュバックも含めて何度もキャロル・ダンヴァースは「女には無理だ」と言われ、クリー星での司令官ヨン・ロッグからも感情の制御ができないのがダメだ、なんて世の女性が言われていることを言われてるわけです。だからこそ、覚醒の瞬間は最高にカタルシスがあるし、力で叶わないと悟った瞬間に「素手で自分の力を証明しろ!」とそれまでなら勝てていた組手勝負に持ち込むロッグが情けなく、それをスーパーパワーでぶっ飛ばすダンヴァースに痺れるわけです。
女性活躍のアメコミ映画といえばDCの「ワンダーウーマン」があったわけですが、彼女の場合は恋愛という要素が入ったこと、それから「ローマの休日」的な展開とあって強く美しい姫って感じがしたんですよね。それに引き換えると、今回の「キャプテン・マーベル」は本来能力があるのに女性であることを理由を虐げられてきたことに立ち上がるかっこいい人間の物語になっていて、それがより強い印象を与えたんだと思います。
もう1点は、難民の物語。難民ってだけなら「マイティ・ソー/ラグナロク」もそうでしたけどね。これは事前には伏せられていた文脈であり、ミスリードだった文脈。当初戦闘を繰り広げるスクラルはヴィランではなく、侵略を進めるクリーによる被害者であり、難民だったというもの。これを助けるのがアメリカ空軍モチーフのコスチュームのキャプテン・マーベルだっていうのは少し考えるところがありますが、見た目で悪い奴だと思い込ませて、という手法は中盤で大きくツイストをもたらしたと思います。よく考えたら、GotGでクリー人で今回も出てくるロナンがヴィランなんだからわかるはずなんですけどね、完全にそこは忘れてるという。
3.アベンジャーズシリーズにおける「キャプテン・マーベル」
長い10年のMCU全体で考えると、この作品は集大成である「エンド・ゲーム」前の最後のワンピースであると同時に、シリーズ全体のエピソード0的な側面も持つという何ともやることの多い物語。
エピソード0の方向でいえば、ニック・フューリーやコールソンの若き日が描かれ、そもそも「アイアンマン」で社長に声をかけるに至った経緯が分かったり、「アベンジャーズ」の元凶となる四次元キューブが保管されていた話なんかも出てきたりしました。極めつけは、やっぱりフューリーの眼帯の理由。フラーケンっていうか、猫の一撃が原因だったのか。
そして「エンド・ゲーム」に向けて。「インフィニティ・ウォー」のラストでフューリーに呼び出されたポケベルの謎も解け、サノスに対抗しうる存在として明確にキーパーソンになることは確実でしょう。特に、一度挑んで敗れたことで怯えてしまったハルクに代わる肉弾戦要因としても魅力的ですし、彼女の存在がハルクの勇気に繋がるかもしれません。また、スペース・ストーンの力を受けている存在なのでもっかい指パッチンして戻したりする気なら、彼女の能力の一部が提供されるのかもしれません。いずれにしても、今作のおかげでサノスいけんじゃね?感が一気に漂ったのは事実。楽しみだ!!!いやー、きっとぷらすとbyParaviではやると思うんだけど、中島かずきさんの話も聞きたいからTBSラジオSession22でもやってくれないかねぇ。
最後に…OPで泣いたのはコレが初めてだ!!本当にありがとうスタン!噂だと次のスパイダーマンまでは出てるらしいのでまださよならは言わない!!