抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

黄色いニクいやつ「バンブルビー」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 えー、はっきりいいましょう、釣りに近いタイトルで申し訳ないと。という訳でこのタイトルにピンと来た方。同じ局のヒゲとうれしーの作ったドラマ「チャンネルはそのまま!」が11日からNetflixで配信です。藩士なんで勝手に宣伝しますよ。ここまでテクニカルタームすぎて分からない人は結構。

 で、今回はトランスフォーマーシリーズスピンオフ「バンブルビー」を試写会で見た感想です。監督は実写初挑戦ながら「KUBO/二本の弦の秘密」のトラヴィス・ナイト監督なので期待値は高め。しっかし、試写会が急に当たり出してびっくりしてます。

バンブルビー (吹替版)

WATCHA3.7点

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有り)

 1.魅力満点の黄色いニクいやつ

  今作の魅力は何といってもバンブルビーの可愛さ。試写会でいただいたクッキーの時点でめちゃめちゃ可愛いし、今回はビーのキャラ萌え推しで行く!という強い気持ちを感じます。

 その可愛さの見せ方もスマートで、初めにサイバトロンでのオートボットの敗走と地球に初めて来たときのビーを見せることで前提条件の説明とビーの戦士としての強さと人柄を見せた上で喋れない、記憶が無い、というところまで見せる。ちゃんと戦って強い兵器としてのビーを見せた後に、主人公となるチャーリーとの交流を描くことでビーの本来持っている可愛さ、魅力がギャップでドンと出る構成になってます。そこからもう1度戦士に戻ってから、チャーリーとの友情で本来のビーに戻るあたり、ビシッとツボを押さえている印象。戦士モードもマスクが変わるので分かりやすいし。

 本作で描かれるビーとの交流は、異ジャンルとの交流でのカルチャーギャップものとしての可愛さだったり、人間界のTPOが分からない可愛さだったり、声が出なくてもチャーリーの治してくれたステレオで会話できること、その際の言葉だけでなく選曲にも感情が確かにこもっていること、などが挙げられるでしょう。確かにコイツは可愛い。

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2.これまでのトランスフォーマーシリーズを鑑みて。

 上記のビーの魅力って、じゃあフレッシュなのかと問われると正直難しいところ。これまで5本撮られているマイケル・ベイによるトランスフォーマーシリーズはもうどれがどれだかよく分からなくなってますが、ビーと少年が出会い、そこで友情を深めていく、という形を既にやってるんですよね。声が出せなくてラジオで会話するのも既出。助けてもらった人間のお家をぶっ壊しちゃうのもやってた記憶があるんですよね…。あとかなりやられてボロボロのはずのビーがどうしてそこまで戦えちゃうの?なんてのもこれまでのシリーズで信じられないバラバラから立ち直っていた気がするので突っ込むが野暮。

 このように、今作で描かれるバンブルビーの魅力は割とトランスフォーマーシリーズ自体において描かれてきたものと似ているのは事実。ファンサービスというべきなのか、あるいはシリーズの世界観リセットだから、スパイダーマンのオリジン的な説明としてやってるのか。いずれにしても、ある程度無茶しても納得してもらえるのは得ですね。

 じゃあこれまでのマイケル・ベイと今回のトラヴィス・ナイトとでは何が違うのか。まず決定的に重要なのは上映時間。これまでのシリーズは2時間半が当たり前で160分越えさえありました。後半の何が何だか分からなくなる悪癖もあって正直長い印象があったのは否めません。ところが今回のバンブルビーは見事2時間に収めました!これだけで見やすさがここまで変わるのか、というのは衝撃的。マイケル・ベイはちゃんと今回も総指揮には入ってるので勉強して下せえ。

 時間同様、キャラクターもぐっと絞っています。冒頭でサイバトロンだの、オートボットだの、ディセプティコンだの固有名詞が乱発して初見の人にはしんどい気もしますが、オートボット側はホログラムのオプティマス以外はビーしかいないし(本当はもう1体いるけど地球には来ない)、ディセプティコンも地球に来るのは最初にお披露目戦闘する1体とラスボス2体だけ。機械生命体の判別がつかないという致命的に苦手だった点も改善されましたし、ビーの額のオートボットのマークもこれでもかと強調されていたので分かりやすくしようという強い意志を感じました。

 人間も主人公のチャーリーと同僚にして友人となるメモ、チャーリーの母、義父、弟、亡き父、米軍の2人と博士だけわかっていれば問題なし。実に親切設計。

 また、今回は軍と接触するのがオートボットではなくディセプティコンであり、そこに協力してしまう原因として冷戦や科学の暴走なんかが取り上げられていてそこはとてもスマートだと思いましたが、劇中の範囲ではオートボットが正義である、という提示はされておらず、よく考えたらシリーズ通してオプティマスが絶対的正義として語られすぎでは感を思い出しました。そういえば、前作まででビーはナチスドイツと戦っていたりしてたはずなんですけど、そういうのは無かったことになったんですかね。それともアメコミ的な別ユニバース発想?

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3.チャーリーの物語として

 正直、本作はビーというよりもチャーリーの物語。父を失い、そこから立ち直れずに父との思い出の高飛び込みは止めて、父の思い出の品には触れず、父を忘れてしまったような新しい家族の形に馴染めない。過去を生きているチャーリーがビーとの交流やビーが媒介した新たな仲間であるメモの助けで前向きになっていく、なんて話であります。

 個人的には、チャーリーの親連中にはずっとイライラしていましたが、よく考えてみたらこれもトランスフォーマーシリーズの定番。むしろそこのコメディがある前半だけが楽しい作品だってありました。前作「KUBO」がシンプルかつとても良くできた家族の物語であるトラヴィス・ナイト監督なので家族の物語になるのも当然です。そこと比較すると、すこーし家族再生のきっかけが弱いというか雰囲気で仲直りしているような気もしたのは正直なところ。ズレっぱなしの母親は放置しておくとして義父のロンが軍の邪魔してまで頑張る理由はもう少し欲しかったでしょうか。高飛び込みの際に亡父に関する回想等をしなかったのは、むしろビーへの想いや切迫感が伝わるので良かったと思います。

 

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 今作の興行成績の良さから、トランスフォーマーはこれを起点にもう一度やり直すなんて話も出ているようですが、どうなんでしょうね。大きくなりすぎちゃう話だけに、なかなか増えすぎると大変な気が。

 あと言い忘れたのでラストに言及しておきますが、アクションとしては楽しいものが多いものの、少しカメラが近すぎるかな、と感じました。特に前半。もう少し全体像が見たい。