抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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スパイク・リーの挑戦状「ブラック・クランズマン」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 試写会の感想をもう1つ。アカデミーで脚色賞を受賞し、ついにオスカー像を手にしたスパイク・リー監督の最新作「ブラック・クランズマン」です。

Blackkklansman -Digi-

WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

(以下ネタバレ有り)

 1.潜入二部構成

 今回の「ブラック・クランズマン」は正確に言えば何部構成というべきなのかよくわかりませんが、まあドラマ的に言えば2部構成。コロラドスプリングスという街で唯一の黒人警官となったロンが、黒人活動集団ブラックパンサー党の演説会に潜入するのが前半パート。そして新聞広告から電話して黒人なのに白人至上主義団体KKKに潜入するのがあらすじ等にも書かれる後半パートになります。

 前半は黒人集会に黒人警官であるロンが身分を隠して潜入するだけなのでそこまでサスペンスはありませんが、後半はKKKに黒人警官であるロンが潜入するためにユダヤ人のフリップと2人1役、電話はロン・直接会うのはフリップと分担して捜査をしていくことになるのでバレるのでは?のサスペンスはどんどん大きくなっていきます。

 特にKKKのフィリップスという過激派が自称ロンの正体を大きく疑っていてウソ発見器にかけようとしたりと、結構ワクワクするんですが、個人的にはこの2人羽織の面白さをもっと入れてほしかったのかな、なんて思います。勿論、そうしない理由はちゃんとあって後述するのですが。

 最終的にフリップ扮するロンの入会式が執り行われ、そこに出席するKKKの重鎮デビッド・デュークの警護に本物のロンが居合わせるという奇妙な構図に。そこからちょっと雑ではあるものの、ロンの彼女?ではないんですが、ブラックパンサー党のパトリスを爆弾から救って、デュークに正体をばらして終わり!というそれなりに楽しい潜入捜査バディものの形をとっています。

 写真は字幕担当のオーサカ=モノレールの中田亮さん!

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2.これでもかと描かれる差別

 この映画のメインのテーマの一つは勿論、差別です。ロンの同僚たちは基本的にいいひとですし、最終的には協力してくれますが当初はやはり多少の偏見が見え隠れ。そして中にはそいつもやっつけるんですが、一際ひどいヤツもいました。同日に「グリーン・ブック」を見たこともあって、色々差別を考えることになりましたね。

 そう意味では、KKK連中はスタンスが分かりやすく、白人以外許さないというスタンスでイライラする、というよりそういうもんだと思って聞けるのでノンストレスだったり。彼らの主張は白人が差別されている、という実際のパワーバランスを無視したものだったりしますしね。むしろ考えさせられるのは、ブラックパンサー党側の話で彼らだって攻撃的な思想がないとはいえないように感じた上に、警官皆敵である、というスタンスは黒人であり、警官でもあるロンにはかなり微妙なものだし、一部をもって全体とすると戦争は起こるべくして起こるのかな、なんて思いました。

 さあもう一つのテーマは勿論”反トランプ”。始まりにはトランプのモノマネをしている人物が起用され、劇中でデビッド・デュークが語る「アメリカ・ファースト」「アメリカ・グレート・アゲイン」という言葉には聞き覚えが。勿論、このデュークのアメリカに黒人や移民は含まれていません。

 最終的には2017年のシャーロッツビルで起きた哀しい事件のショッキングな映像やそれに関するトランプのどっちもどっち発言も、デビッド・デュークのトランプ支持発言と実際の映像が流れ、ラストはアメリカ国旗がさかさまに映り、徐々に白黒になっていく。何を示唆しているのか、ちゃんと考えないと…。


news.yahoo.co.jp

 ちなみに、スパイク・リー監督の受賞スピーチに対してトランプは「白人差別的発言だ」と、完全に劇中のKKKの手法で非難していたので確実にこの作品は見ていないんだろうし、今後も見ないんだろうな、なんて思いました。

 

3.映画の映画

 さあ、第1項でバディものの形をとっている、なんて表記したり、2人羽織をもっとやらなかったのは理由があると書きましたが、それはここで。

 この映画には非常に多くの映画が出てきます。冒頭は「風と共に去りぬ」「國民の創生」が流れ、後者はKKK加入の儀式で応援上映までなされます。更にロンとパトリスの会話は殆どが映画の話で、映画のポスターイメージが唐突にフレームインしてきたりもします。この辺りの話は映画知識の弱い私にはまったくわからず、それ故見終わってからの説教感が強かったのは事実なのですが、試写会には字幕担当のオーサカ=モノレールの中田亮さんの解説がついていたために深く知ることが出来ました。

 序盤の映画「風と共に去りぬ」「國民の創生」は黒人奴隷を温存するタイプの主張をする映画で、パトリスとの会話に出てくるのはブラックスプロイテーションという1970年代に流行した黒人主人公で白人を倒す映画のこと。しかもそのうち黒人警官が主人公のポスターには皺が入っていて、じゃあこの「ブラック・クランズマン」は同じ形式の黒人警官が主人公の映画だし…なんて。いり込みすぎていて完全にスパイク・リーが考えろ!と頭を蹴っ飛ばしてきます。そういえば、劇中よくロンが遅刻するのも「Wake Up!」の意味ということで、スパイクのメッセージは強調されますね。

 こうした映画知識とかどうしても欲しいんですが、試写会でいただいたパンフレットにちゃんと町山さんが寄稿したりしてるんでお勧めです。普段パンフ買わないんだけど買うようにしようかしら…。

 一応、町山さんの解説もあったので映画をみたらご覧くださいませ。