抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

なんでもありのバトル!バトル!バトル!「アクアマン」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 話題作が続く昨今。もう油断したらオスカー候補の「女王陛下のお気に入り」も後悔されて。1週間足が遠のくと見たいものが見れないレベルの大ピンチです。

 そんななか、どっこいしょと予習を頑張って追いついたのがDCEU。MCUと比較すれば本数は少なかったはずなのになぜか凄い疲れた気がしますが、それを忘れる快作でした!

アクアマン(吹替版)

WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有り)

 1.バトル!バトル!バトル!

 「アクアマン」見終わった後の感想はまず最初は「楽しかった!!」しか出ないのではないでしょうか。それぐらい考える暇を与えないノンストップバトル。タイトル的には水中だけの話かと思いきや、陸、果ては砂漠まで。砂漠を出すってのは、ある種海と対局でありながら、似ているという場所で、ナイスアイデアだと思いました。

 劇中で繰り広げられるアクションとしては、冒頭のオリジンの部分での王女の室内戦、潜水艦救助、鍛錬シーン、沈没船での戦闘、決闘、砂漠の大冒険、イタリアでの逃走劇&戦闘に、海溝では漁船と海中で戦い、最終決戦はとんでもないスケールでの海中大戦争。いやー、並べてみるとバカみたいな映画ですね笑

 今回のこの映画に特に感心したのは、今まで見せたことないものを見せよう、という気概とこれまでの映画史への参照のバランス。海中描写と言えば、不勉強な私は「リトル・マーメイド」や「ファイディング・ニモ」なんかが思い浮かぶ訳で、それって全然戦闘民族ではないので文字通りシーホースとなったタツノオトシゴやクラゲっぽい住居なんかはとってもフレッシュでした。

 特に個人的にお気に入りだったのが、最終決戦の前段となる甲殻類アトランティスの戦争。いやー、甲殻類はしんどいだろ、と思っていたら、地底にはさみ突っ込んで投石器的攻撃していたり。こういうなるほどっ、という攻撃手段は好きですね。

 あともう1点。シチリアでの戦闘で、壁をカメラが上から越えてアーサーvsブラックマンタとメラvsアトランティスの精鋭を映したシーンは、同じジェームズ・ワン監督の狼の死刑宣告の駐車場戦闘を思い出すカメラワークで、おっ、と思いました。

 一方で、砂漠のシーンなんかはモロにインディ・ジョーンズを彷彿とさせたり、トライデントのある秘密の海はヴェルヌの地底世界でもありますが、ほぼほぼ「センター・オブ・ジ・アース」で見たような感じ。ちょっと「ジュラシック・パーク」感もありました。露骨に「パシフィック・リム」のKAIJUもいましたし。それ以外にも、具体的な言及としては、「ピノキオ」と「ファイト・クラブ」もありましたね。まさか、ファイト・クラブって最後に甲殻類が戦う暗示…(考えすぎ)
tea-rwb.hatenablog.com

 2.ストーリーとしては。

 まあアクション最高ってなるのは、おそらく万人だと思うんですよね。一方で、脚本とかストーリーという点で考えるとまあ特筆する点がない、というか。そもそも最近の「ミッション:インポッシブル」のようなもので、とやかく考えようとするとどっかから攻撃される感じなので脚本なんてあってないようなものなんですよね。

 ざっといえば、陸上の人類が海底王国アトランティスに攻撃されたら滅んじゃう!→アトランティスの王位にあんたが就け→万人(万魚類?)が認めるための初代アトランティス王の武器・トライデントを手に入れろ!!ぐらいの感じしかない。

 そのため、伏線的な部分が少し気になるというか。例えば、アトランティス王であるアーサーの弟オームとヒロインのメラの父で海底国の王ネレウスの会談時に潜水艦が攻撃してきたシーン。攻撃してきた理由がよくわからないので、陸上が海底を認知しているのかも謎。仮に、海底国を仲間にするために仕組まれたことだったとしても、ネレウスがその後報いなくアーサー王の誕生を喜んでいるのがまるで許せないんですよね。

 あともう1点。ぷらすとbyParaviで映画評論家の添野知生さんとかがおっしゃっていたのですが、DCはMCUと違って各自が作家性を生かした感じで作っているので全体の見通しがない、と。そういう点があるからしょうがないとは思うんですが、今回の件ってアクアマンがなんとかしないといけないんでしょうか。いざ陸に攻めてきた段階で、クラーク・ケントに頼めば全部ぶっ倒してくれるのでは…?なんて。多分これは禁じ手なんでしょうね。

3.ブラックパンサー問題

 さあ、なぜDCEUの映画でMCUの「ブラックパンサー」が出てくるのか。まずは是非以下の「ブラックパンサー」感想記事の2項をご覧いただきたいのですが。

tea-rwb.hatenablog.com

 さあ、此方ではブラックパンサーこと、ティ・チャラの王位継承権は消滅しており、正しい手続きで成立したキルモンガー政権を軍事クーデターでぶっ倒したのが問題では、という話でした。

 今回の「アクアマン」も似たような問題を多かれ少なかれ孕んでいたと思います。

 形式的には、現国王のオームに対してアーサーは儀式としての決闘を挑み、その途中で乱入者あり、アーサーは逃亡という結果。手続き的に考えれば、挑戦者失格、というのが妥当でしょうし、アトランティス国民もそう納得しているようでした。

 ところが、最終決戦で唐突に甲殻類チームに参戦しトライデントを以てオームの武器を粉砕し王位を獲得…うん、手続き的正当性は皆無ですよね。トライデントを持つものは7つの海を制する的な話があるので超法規的措置みたいな感じはある。それから、オームが魚人族の長を殺して隷属させたり、裏で人間と繋がっていたりと見ているこっちは悪者だなぁ、と思う描写こそあれ、それが劇中で白日に晒されたわけでもなく。その辺でごまかしているだけだよなぁという思いが強いですね。

 そうそう、しれっと書きましたが、魚人族に関しては長を殺しておそらくその妻である女王に王位が継承されたとして判断を迫っていました。ということは、少なくてもこの世界において女性首長はアリ。で、あれば生きていた段階でアーサーの母に王権がいくのでは…?なんてことも思いました。