どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
新年一発目は昨年のうちに読んだ本の話。何とか月1冊のペースは守れましたが、もっと読みたい…
内容としては、京極堂に単行本2冊(しかも片方は2段組み!)だから、単なる文庫3冊よりは多いと思うんですけどね。あー、漫画も数えてしまいたい。
死ねばいいのに/京極夏彦
読むのが大変でお馴染み、京極堂の作品。文庫で450ページほど、全6章なので他の京極作品と比べれば分量は多くないのですが、まあ心にズシンズシンくること。読むのにほぼ1ヶ月半かかってしまいました。
「死ねばいいのに」という言葉と共に人々の欺瞞とワガママを暴いていくうちは、自分が突きつけられてるようなグサグサ感を味わいますが、最終章で一転。気付けばメチャクチャ言葉のカロリーが低くなっている「死ねば」がどれほどのカロリーを持っていたのか思い出させ、ここまでで憑き物を落とされて「私は死んだ方がいいかもしれない」から「どうか生かしてください」へと態度を変えざるを得なくなる。京極夏彦という男は、本当に嫌な男だ(褒め言葉)
完全恋愛/牧 薩次
サザエさん第1回の脚本でも知られる辻真先先生がわざわざ変名で出した小説。
本庄究の1人称視点で誰にもバレなかった片想いが語られる続けるかと思いきや、視点は時が進むにつれて弟子の魅惑に移る。そこまでで起きた様々な殺人を最終章で怒涛のように解き明かし、筆者名をアナグラムにしたことさえもヒントだったことが最後にはわかる。完全恋愛を達成した本庄究もだが、ある種完全恋愛を達成していたとも言える人物にはなんと悲しい物語なのか。傑作。
私が殺した少女/原尞
1989年のこのミステリーがすごいの国内編第1位。殺人の告白手記みたいな感じのタイトルだが、紛うことなきハードボイルド。
誘拐に巻き込まれた探偵がそれに纏わる依頼をこなしながら気づけば事件に深入りし、最後には謎解きまで終わらせる。確実に犯人に該当する人物が関係者にいるはずなのに、唐突に浮かび上がる犯人像にがっかりしていたがもう一回裏切られる。
よく考えるとありえない展開が続いているのに一気に読まされてしまうリーダビリティと説得力が素晴らしい。未読の前作からのつながりの部分である暴力団関係の話や元共同経営者の話が本線に生きてこなかったのが惜しい。
何よりいちいち連絡が公衆電話なのが良かった。今は携帯電話のせいで成立しない話だ。