どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
いよいよ年末。当然映画ランキングも纏めなくてはなりません。あ、結局韓国版サニー見てないから夏映画のサニーが置きっぱなしだ…
そんな現実から目をそらしながらお届けする下半期にNetflixで公開されたオリジナル作品の中から鑑賞したものの感想を。
上半期はコチラ。
TAU/タウ
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
人工知能系の映画ではよくある自我や感情の芽生えを扱ったものに誘拐・監禁をプラスした感じ。決して目新しいという感じはしないが、人工知能TAUが自作の音楽を奏でるシーンは美しく、確かに人とAIとの間に生まれた友情を感じさせた。
一方で、その後の展開では機械ゆえの宿命というか、これもAIものの鉄板のような感じでもあるが、ちゃんと腹立つ奴に徹底的に鉄槌が下るので溜飲が下がる。まあそれにそうなってしまう原因も完全にそいつにあるし。あれだけペラペラ喋っておいて、喋ったら舌を切る、という命令を解除しておくのは愚かというか自業自得よね。
しっかし、主人公のジュリアは胆力あるなぁ…。その胆力の背景や、私たちが消えても誰も探さない、で済ませてしまった彼女の過去の掘り下げも見たいとも思うが、それでごちゃごちゃしちゃうのももったいなく感じる。
紅き大魚の伝説
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
千と千尋の神隠しを思わせる神のようで、ちょっと違う世界観で繰り広げられる中国制作のアニメーション作品。
ネズミや猫など様々なモチーフの住人達が出てきては、結構説明なしで進んでいくが、メインはチュンとクンとチウの関係描写、そして命の重さというあたりなので問題はないように感じた。
どうやら荘子がエッセンスらしいのだが、老荘思想あたりはすっぽり抜け落ちているので理解は十全ではないだろう。そのうち映画理解の基礎知識として、キリスト教的価値観と同じぐらいの重要性を儒教が持つようになるのかもしれない。
詩季織々
WATCHA4.0点
Filmarks3.8点
これも上半期の「いきのびるために」と同じでオリジナルではないですがネトフリでほぼ即公開だったしこっちで。新海作品ではなく、そのフォロワーによるオムニバス。
ビーフン、ケーキ、煎餅、全部美味そうだった。
衣食住それぞれについてアイデンティティや新海誠お得意のすれ違い青春を織り交ぜた3編。3つ目のオチでちゃんと君の名はを踏襲した辺りは興行が頭をよぎってるのか、新海フォロワーとしても君の名は以前より君の名はが良かったのか。
2話目は視点の切り替えがあったり、笑いどころがあったりするが、1.3話はモノローグが多く、視点もずっと一人称。語り口も朴訥としているが、まあそれも新海誠っぽい。
そういった意味では新海誠に寄り過ぎてない2作目が一番評価したいかなぁ
ネクストロボ
WATCHA3.0点
Filmarks3.2点
映像はディズニー・ピクサー作品とタメを張れるレベルで凄いし、アクションも中々に見所十分。そして中盤までのギャグもいい。そして準備された前振りもかなり良さそう。なのに一番大事なところで外した印象。思い出と武器のトレードっていうアイデアも良かったと思うんだが。
自分や見るからにがり勉タイプの友人(と言っていいのかも分からない程度の掘り下げ)をいじめる連中の決着、夫の家出から目を背けてロボットに傾倒し娘を見ない母の改心、それを受けてロボットが嫌いな主人公の変容。この辺りのきっかけが極めて薄いし、大概自分の思った通りじゃなかったごめんってな感じが多すぎる。
あと、中心となるロボ自体が良い奴すぎるというか。ニール・ブロンカンプ監督の「チャッピー」の方が起動したAIに破壊行動をさせたりした場合の描写として真摯だと思う。
7月22日
WATCHA4.5点
Filmarks4.3点
TBSラジオ「たまむすび」にて予定を変更して町山さんが勧めていた映画。
とにかく凄惨なノルウェーでの銃乱射及び爆破テロ事件の映画化。しかしあまりに悲惨な事件自体は30分でピークを迎え、そのほとんどをその後に費やしている。
事件の本質がただの暴力行為でないことを知らしめるだけでなく、サバイバーの苦しみをしっかりと描いているので心にズシーンとくる。
個人的には「ブリッジ・オブ・スパイ」でも描かれた自分の信条に反する相手だろうと権利を守るためにちゃんと仕事を全うする弁護士がカッコよく、その上での別れの握手を拒んで矜持を示したのはスカッとした。
バスターのバラード
WATCHA4.5点
Filmarks4.6点
「ファーゴ」のコーエン兄弟の新作までネトフリ独占とは恐るべき。西部劇オムニバスです。
1本目は陽気な歌声に乗せた最強ガンマン…かと思いきや。抜いたら終わりの世界でバンバン射撃が見られるので出だしからとっても楽しい。
2本目は銀行強盗を目論んだ男の顛末。そもそもが銀行強盗が原因とはいえ見ていて可哀想になる不運っぷり。
3本目は四肢欠損の語り部青年と彼を連れまわすおじさん。もはや西部劇でもない。2人の関係がどのようなものか、彼らがこの仕事を始めたきっかけは。そういった説明もなく延々と続く旅路と演説。1本目と違って何が起きたかは描かない無情さが堪らない。
4本目は金塊を探すおじいさんの話。まずは荒野のイメージが強い西部劇に似合わぬ大自然の美しさが目を惹く。その上での老人の採掘はかなり理知的でしたたか。その過程を見てるからこそ後の展開にも納得。
5本目のキーワードは早とちり。何を早とちりしたのかと思ってたら一番してはいけない早とちりだった。そりゃ合わせる顔も無くなってしまう。
6本目は馬車に乗り合わせた5人の会話劇。不思議なメンバーが揃ってると思ったら、これまでの5本に通底する生と死というテーマをしっかりまとめる1編に。
1.6.2.5.4.3の順でお気に入り。
ROMA/ローマ
WATCHA4.5点
Filmarks4.4点
アルフォンソ・キュアロン監督の新作。流石に劇場で流すことにしたみたいなのでオスカーの撮影賞とか編集賞とかあたりは取ってしまいそう。
モノクロなのになぜか滅茶苦茶色鮮やかな作品。単なる家族ものかと思ってみていると、もっと心の奥深くからの女性(というよりも話を聞く限りではアルフォンソ・キュアロン監督の乳母=ここでのクレア)への感謝と尊敬を強く感じる。だから男は徹底してダメだし、ひどい目に遭うのは女性なのにとても強く立ち上がる。
あと相変わらず長回しが大好きね、この監督さん。とにかく横に水平移動していくカメラ、変わらないカット。画が美しいっていうのはこのことだろう。