抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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前作とは色を変えた「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 体調不良を言い訳に放っておいたファーストデイの鑑賞結果報告を粛々と。

 前作がヴィルヌーヴで話題となった「ボーダーライン」の続編です。

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

 

WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有り)

 

1.正義の不在

 前作の「ボーダーライン」は国境という意味以外にも、善悪や正義と悪の境界線という意味のついた良い邦題となっていました。続編となる今作では「ボーダーライン」という言葉自体には、国境という意味のみとなり、善悪の概念なんかはオミットされています。

 というのも、前作で正義を論じたエミリー・ブラント演じるケイトが今作では出演せず、彼女の概念をかき乱す役割だったアレハンドロとマットの物語となっているからです。っていうか、殆どアレハンドロの物語ですね。

 なので正義と悪が曖昧というよりは、悪の中で悪同士が戦っているというか、無法地帯で勝手に喧嘩しているというか、そんな感じの印象が強くなり、概念的な揺さぶりなどが無くなって、戦場エンターテインメントとしての印象が極めて強くなっています。CIAが諸悪の根源じゃねぇかよ、みたいな。先週のTBSラジオ「たまむすび」アメリカ流れ者を聞いたせいもあるのでしょうか。
tea-rwb.hatenablog.com

 2.ずーっと不快

 前作「ボーダーライン」ではFPS視点などの戦場の臨場感満載の演出や重低音を続けさせることでいい意味で不快感を煽って、常に緊張した状態を維持していました。

 この演出は今回も継続しており、戦場の臨場感こそ薄れて第三者視点が増えているものの、音楽の不穏さは各所でいい味を出していました。また、不快感という点では冒頭から100点満点。店舗での自爆テロにおいて、母娘が逃げようと出口に近づいていくと残っていたテロ犯がいて、やめて、という台詞とともに自爆。最悪の結末をいきなり見せることで緊張感MAXです。

 その後はソマリアの海賊話のような描写から足元の映像。ここで映ったサンダルだけでもう誰かがわかる良い演出でした。部屋に入れば、水の入ったボトルが置いてあって、前作を見た人は「あっ」と嫌な予感のさせる最高にして最悪のファンサービス。ところが、それを使わず捕らえた男の家族を爆撃する映像を見せて心を折るとかいう鬼畜仕様。これがミッションインポッシブルなら、映像もフェイクでした、というオチが期待できますがそんなこともなく。マットの悪役さが際立ち、これから描かれる戦いに正義なんてない、なんてことを予見させます。同じような話でいえば、メキシコでの見たことない人差し指突っ込んでの銃の連射シーンとかもクソ確定の良いシーンでした。

The Beast

The Beast

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3.アレハンドロ萌え

 ここにきて一気に矛盾する話になりますが、実は本作は戦場エンターテインメントではありましたが、完全にアレハンドロ萌え、あるいはベニチオ・デル・トロ萌え、の作品だったと思います。

 前作では、よくわからない存在のまま一気に後半に主人公へと躍り出て、元検察官の殺し屋であることが分かったアレハンドロ。対峙した麻薬カルテルを問答無用に抹消した腕前から、ただの最強のおじさんという印象だったのですが、今作ではそれが一変。

 アレハンドロの娘が聾者であったこと、更には娘との会話の為に手話を習得していることが出会った聾者との対話から発覚します。無論、家族を殺された復讐から前回の作戦に参加していたのだから家族思いなのは分かっていたはずなのですが、冷徹な殺し屋の新たな一面、不良が雨の中で子犬を拾ってるパターンで一気に萌えの対象になる瞬間ですよ。さらには、アレハンドロは本来作戦で利用する対象だったレイエスの娘・イザベルにどんどん感情移入し、彼女を守るための行動をとるわけで、人間味あふれるキャラクターになってるわけです。ただの萌えのかたまりじゃないですか。そして遂に捕らわれの身になって、処刑されてしまう。正直撃たれた位置的に助かってるなぁとは思いましたが、弱さを見せる。別に私におじさんを推す趣味は無いのですが、それでもカワイイを感じてしまう魅力が今回のアレハンドロにはありました。

  それに合わせて彼と敵対することになるのかと思われたマットも、イザベラに証人保護プログラム(イカロス見といてよかった)を適用することを宣言して上層部に歯向かってアレハンドロの意思を継ごうとする訳で、萌えキャラアレハンドロの相手役として、どうやらなんとなく腐の匂いが…?まあ戦場の絆ってやつですな。

 ただまあ、アレハンドロを一気に人間味を感じるキャラクターとしたことで失われた最強の男感を演出するために処刑された後の復活シーンをすべて端折って、どうやってか国境を越えてのラストになるわけで、それは流石にええんか???とはなりましたね。


 あと、言及しておくべきなのは絶妙な描き方。キャラバンなど、移民が問題となっているこの時期に、自爆テロ犯をイエメン人と断定したり(本当は米国人と判明)、イスラム系の不法入国者自爆テロしたり、メキシコからの密入国をどのように描くかが凄く敏感な中で、彼らのことを単純悪でもなく描いてはいたかな、というライン。正直移民やキャラバンに対する問題は現在の島国日本でどこまで理解できるかは怪しいんだよね。ニュースなどでアンテナを張っていても実感としては違いがあるのは間違いないですし。難しい…