抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

邦題案件またしても「バーバラと心の巨人」感想

 どうも抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 公開前にポスターの日米での違いでなんか物議を醸していた気もする「バーバラと心の巨人」。14日のTOHOシネマズデイに鑑賞しました。

 シネマイレージ会員だと1100円で映画を見れるシネマイレージウィーク、10月の月末になっていて、見たい映画が「ヴェノム」「ボーダーライン ソルジャーズデイ」「GODZILLA星を喰う者」あたりの11月公開作品だらけの私はがっかりしたものです。旅猫リポートでも見に行けってか。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.5点

(以下ネタバレ有り)

 1.バーバラはどんな子?家族は?調べて見ました!

 少しまとめサイトをおちょくってみましたが、それは本当に小ネタなので無視。

 物語の前半部はバーバラとフォレスト・ジャイアントの戦いを描いていきます。森に罠や餌を仕掛けてどれが減った、どれが効果があったかをつぶさに記録していく様は「ペンギン・ハイウェイ」のアオヤマくんのよう。その一方で、毎日あれだけ野山を駆け回っているので無駄に細いモデルみたいな女優さんじゃなくて、わりとガタイのいい人を俳優さんとして選んだのは素晴らしかったのではないでしょうか。

 そんな戦いのさなか、一緒に暮らしている姉や弟との関係はサイアク。TVゲームしている弟にオタクとは遊ばねぇと言われて、お前はちゃうんかい、とか思ってしまいましたが。

 引っ越してきてから初めて声をかけたのがバーバラだったせいでバーバラの戦いに巻き込まれていくソフィア、バーバラを気に掛ける心理士のモル、バーバラをいじめるローリー。そんな周りの人たちとも正直ギクシャクした関係。しかも往々にしてバーバラのせい。周りの人は私をおかしいというけど、みんなはわかってないだけで私は正しい。巨人から街を守ってるんだ、というバーバラの主張はかなり痛く映るのは確か。

 そういう前半でしかも、バーバラと相対する巨人陣営はバーバラの視点でしか見えない。だから見ていて大概は巨人はバーバラの妄想だろうと思うわけですが、映画の落とし穴、万が一の本当に巨人がいるパターンを頭の隅に入れながらヒントを探して見続けることになるんです。

 そこで勃発するのが邦題問題。「心の巨人」とか、のたまってくれるおかげで日本の観客に関して言えば、上記の心配をする必要がいっさいなく、この巨人は心の巨人なんだからバーバラの中にしかいない、現実には絶対いない、と安心してみることが出来ます。それ即ち、前半部分がなんの面白みもない退屈にしか感じなくなってしまうのです。原題は"I kill giants"。私が巨人を殺す。自らの使命を語る力強いバーバラの言葉です。この原題の方が確実に、巨人の実在性を感じられるので前半の興味が持続したでしょう。廃電車でのアクションなんかももっと緊迫して見られたかもしれません。

2.巨人は何者か。

 途中からソフィアも巨人なんていないと言い出し、バーバラは明らかに何か聞きたくないことを聞かないふりしだしている。巨人の存在が何を象徴しているのか、が後半にかけて興味を持続させる謎になるわけですが、これ自体はとってもスマートだったと思います。ヒントとして出されていたのは、モル先生は家庭で疲れる原因がある。お姉ちゃんは疲れ果てている。2階にはあがらない。武器の名前・コヴェルスキーは100年前のフィリーズの選手の名前。

 さて、その答えは。バーバラは劇中で不在だった母親が病気である事実に向き合えておらず、巨人=病気、あるいはその現実。なのでそれを打ち砕く武器はサンフランシスコ・ジャイアンツを倒したフィリーズ所属選手の名前。巨人が襲い来る目的はバーバラの中の現実に向き合わない戦士としての側面を奪い去るため。つまり、現実に向き合うためにバーバラが必要な時間を表していたわけですね。だからこそ、その現実に向き合う瞬間はシェイプ・オブ・ウォーターなどで今年多く見られた海中の演出。水は自由を意味しますからね。

3.優しすぎるソフィア。ひどすぎる弟。

 すべてが分かったうえで気になるのは周りの人々があまりにも優しすぎること。

 心理士のモルが一度殴られた程度では見放さないのはまだわかるんです。家までくる程度には信頼してくれていたわけだし、心理士としての仕事でもありますから。

 ただ、どう考えてもソフィアが優しすぎる。ファーストコンタクトはしょうがないですよ。話しかけるまでどんな人間かはわかりませんし、なんだったらウサミミ可愛いぐらいなもんでしょう。でもうっかり話しかけたら明らかに電波なことを言っている。「全米で知っている人があなたしかいないから」と通学バスで隣に座っていいか尋ねた際の返答でこれを言える人物なら、別の子ともすぐに仲良くなれるはず。最初に話しかけたやつが失敗だっただけで、別の子と仲良くなれて転校しても学校生活はセーフ。危なかったぜ、的な展開になって当たり前で。バーバラから「友達」を押し付けられてずっと付いていくなんて優しすぎますよね。

 そしてもう1人。最初にケンカするだけの弟君。お母さんが病気なのにTVゲームで遊び呆けて、お姉ちゃんが作ってくれた晩御飯を無駄にする所業。お前、正真正銘のダメな奴やな…。最初の方に書いたけど、TRPGしてるバーバラをオタク呼びしたことも忘れてねぇぞ…