どうも抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
春先に見ていた「ペンタゴン・ペーパーズ」「ザ・シークレットマン」の感想を関連する映画を見てから記事にしようと画策していたらDVD借りてみたのが7月。そこから少し怠けて、なんとか月内に完成しました。大統領の陰謀を午前10時の映画祭まで待ってたら12月になってたのでそれよりましということで、お許しを。
J・エドガー
WATCHA3.5点
Filmarks3.5点
FBIを作り上げ、ニクソンまでの時代のFBI長官、フーバーの伝記的映画。ディカプリオの熱演が素晴らしい。
正直、フーバー自身への評価は非常に難しく、冒頭の図書館の目録整備などの功績が本当に彼のものならそれは称賛に値するし、第一次世界大戦の頃から指紋採取などの科学捜査を重要視していたのも時代を先取りした慧眼だったといえるだろう。
だが、その一方でFBIの権力で機密ファイルを作り政治家やキング牧師、大統領をも脅せる力を手に入れるなどは決して誉められたことではなく、この映画の中での描かれ方では、冷戦のさなかとはいえ昔は先取りだった考え方をアップデートできないまま戦後に突入してしまった哀れな老人にも見える。
彼の死のシーンで映画はエンディングを迎えるが、そのまま「ザ・シークレットマン」の冒頭に繋がっていくのにフェルトのことがちっとも描写されていないのは、トルソンとの関係性とガンディ秘書官との特殊な信頼関係にフォーカスした結果であろう。
彼の自伝を口述させていたものが、自身の絶頂と言えるリンドバーグ事件で終わるようにしていたのも、実はそれまでの内容ですら事実と相反するところがあるというのは、自分史編纂の面白さではあるが、その口述の時代と現代を行き来するが、その説明がかなり簡略化しているため少し時代に追いつけない部分もあった。
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
ウォーターゲートの前に起きたペンタゴンペーパー流出事件に関する作品。スピルバーグからマスコミへの熱いエール的な作品であった。と同時に、文書が残っているから流出するのであって、文書を書き換えたり、処分してしまうこの国にはない民主主義や歴史を残すことの重要性がアメリカにはあるんだなぁと考えてしまう。
映画としては、正直メリル・ストリープ演じるワシントン・ポストの社長が終始悩んでいるだけでイライラした。確かに男社会で会社を急に継いで対外的に舐められていたかもしれないが、メモがないと話せないし、オドオドした感じですぐにフリッツに意見を求めて自分の意見を表明していない、信頼されないのはそれなりに理由があるように感じた。結局そのせいで最後の重要な決断も、トム・ハンクスの勢いに押されてまたも自分の意見がなく決断し、そのあと自分に言い聞かせているようにも見えた。
記事が出た瞬間のカタルシスもどうしても弱く、この点に関してはオスカー受賞作のスポットライト世紀のスクープがマスコミが権力の横暴を暴くパターンとしては過去最高に良かったので比較して弱く感じてしまうのかもしれない。
大統領の陰謀
WATCHA4.0点
Filmarks3.9点
ウォーターゲート事件を調べたワシントンポストの記者2人を中心に語られる話だが、ウォーターゲートとそれに連なる大統領再選委員会の不正資金疑惑の追及が大部分にあたり、ニクソンへの言及もほとんどなく、その後のニクソン辞任に至る流れやホールドマンへの追及の正しさの立証などはかなりあっさりなのでエンディングのカタルシスは少ない。かなり史実の理解を前提としているが、公開当時のアメリカでは当たり前の常識と言えるかもしれない。
ただ、ディープスロートが何者なのかを全く分からない中での映画化であり、それまでのワシントンポストの立ち位置などを考えると十分ハラハラしながら見ることができた。これは見た順番の妙かもしれない。
ザ・シークレットマン
WATCHA3.5点
Filmarks3.6点
ペンタゴン・ペーパーを観ようと思ってたら町山さんがTBSラジオたまむすび内コーナーアメリカ流れ者でセットで見てほしいといっていたので鑑賞。
大統領の陰謀では正体不明だったワシントンポストに情報を流していたディープ・スロートがFBI副長官だったマーク・フェルトだったとわかったうえでの物語。
全体的に暗い画面が多く、大統領の陰謀と比べても色彩が少ない。夜間か暗い部屋ばっかりだったのが残念。
フェルトを単純なニクソンの悪政・圧力に対抗した善人としてではなく、自分が長官になれなかったことによる私怨もアリな感じで描写したり、娘の話を出したりしたことで、多層的に人物像を浮かび上がらせることに成功していました。
ただ、此方もフェルトの勝利の瞬間はニクソン辞任のニュースを当時の映像で出しただけなので勝利の感慨的なカタルシスは弱く感じた。