抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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祝・パルムドール「万引き家族」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 コロンビアにまさかの勝利に、セネガルとは激闘の末に引き分けと日本戦だけでもW杯が十全に面白いことにびっくりする昨今。いいタイミングで見たい映画の怒涛の連打も終わったので、ネトフリとか地上波で適度に映画を見ながらサッカーに集中できてラッキー、みたいな。

 見てから時間は空きましたが、色々な方の感想をラジオやブログで読んでたら自分なんかが感想を語るに値するのか…などと無駄な煩悶の末に書くのが遅くなりました、是枝監督最新作「万引き家族」の感想です。

万引き家族

WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

(以下ネタバレ有り)

 1.是枝作品の集大成的作品に。

 地上波でも「海街diary」「そして父になる」の2本を放映していましたが、このほかに「海よりもまだ深く」も予習して臨んだ本作。劇場で見た前作「三度目の殺人」も含めて4本の是枝作品を見てきたわけですが、本作はその集大成的作品だったといえるでしょう。 

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 是枝監督は、「そして父になる」や「海街diary」では家族を構成するのは血縁なのか、時間なのか、そういった問いを投げかけ、「海よりもまだ深く」では親でいることの意識性を訴えていました。そして「三度目の殺人」では人を裁くことを描いてきました。

 本作はその中でもタイトルずばり「家族」を構成するものが何か、ということだけでなく、これまでのこと諸々を観客に投げかけてきていたと思います。

2.家族という虚構

 本作で描かれる家族は、戸籍上は樹木希林さんの1人暮らしの家に暮らしている家族で血のつながりもありません。彼らが虐待されていた女の子を拾ってきて家族になっていく、その過程、そしてその偽りの家族が崩壊していく過程が描かれた作品になります。

 メインとなる主人公たちの家族は、わずかな稼ぎと万引きで生活を成り立たせているわけで、社会的に見れば勿論許されるわけではない存在ではあります。しかし、その集団は確実に各々の居場所でありましたし、家族であったと断言できるでしょう。一緒にご飯を食べ、遊び、過ごした時間は明確です。

 対比的に出てくるのは、松岡茉優が出奔した元の家と、虐待されていたゆりちゃんの家庭です。ゆりちゃんの家族は血縁としては繋がっていても、虐待され、幸せだったとは言えないでしょう。逆に、松岡茉優の元の家は明るく、幸せすぎないわゆる成功した家庭に見える中で、明確に胡散臭い。こうした対比自体から、家族それ自体が抱える虚構性というものが浮かび上がってきます。

 前半を通して、間違いなく我々観客はこの一家に肩入れし、感情移入しています。だからこそ、後半この家族が崩壊し、警察などから取り調べられている様子で、全力の正義・正しい家族像をぶつけてくる池脇千鶴高良健吾に対して違う!と叫びだしたくなります。個人的には、「きみはいい子」の高良健吾が自分の信じる正論をぶつけて子どもを傷つけている最上級のクソ野郎だと思っていたので、その相乗効果たるや。 

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 でも、ここで待てよ、と。ぐっと思い直してほしいのです。問い詰められる一家の場面では、面々の顔が大写しになっており、あたかも直接我々に語り掛けてるように感じます。そう、正義ぶって正論で殴りつけてるのは我々なのではないか。世間なんじゃないか。ここで、「三度目の殺人」での人は人を裁けるのか、という要素が出てくるわけです。ゆりちゃんの元々の両親に群がるマスコミとこの一家に尋問する高良健吾は全く違うようでまるで同じなのです。思い入れを持ってるかどうかだけで、社会的悪な立場でもそちらの側に立ってしまう。是枝監督の政治スタンス等から、政府批判の映画だ、とかいうどうせ見てもいない方々の批判もあるようですが、政府のことではなく、そうやって安易に批判している我々が問われているんですよ?

3.文句なしの名演、そしてディテール。

 是枝作品ではいつも俳優さんが絶品の演技をしてくれますが、本作も最高。リリーさんも樹木希林さんも、松岡茉優さんも、安藤サクラさんもみんなバケモノ。その中でも突出していて印象的なのはやはり子役の2人。祥太役の城桧吏さんは徐々に善悪の概念を判断できるようになっていったりと、大人の階段を上っていく中での成長がたくましく演じられていましたし、ゆりちゃん役の佐々木みゆさんは、虐待されていた保護されたばかりの時期と家族になじんでからの笑顔の違いが傑出しているように感じました。ラストのまた助けてくれる、拾ってくれる誰かを探すように外を見る、その顔に見とれてしまいます。

 最高なのは俳優さんだけではありません。美術・衣装もすばらしい。リリーさんの服と松岡茉優さんの服の価格帯の違いなんかは、彼らの抱える社会的背景がモロに出てますし、なんといってもメシですよね。コロッケそば、そうめん、背中にネギ。最高。どうやったらこんな映画とれるんでしょうね。

 

 唯一問題があるんだとしたら、終盤に引き離された祥太と治がまた父子の関係になる雪だるま作ろう、のシーンが直前に見たデップー2のせいでアナ雪の「雪だるま作ろう」が違う曲のパクリじゃね?みたいなギャグの天丼にしか感じなくて爆笑をこらえるのに必死になってしまったことですね。これは是枝監督じゃなくて、ライアン・レイノルズが全面的に悪い。笑 

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