抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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クリストファー・プラマーがとにかく凄い「ゲティ家の身代金」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 今回の「ゲティ家の身代金」はケヴィン・スペイシーの疑惑によって、代役クリストファー・プラマーを立てての2週間弱の撮り直しを敢行したリドリー・スコットの凄さが伝えられる作品です。町山さんもたまむすびで言っていましたが、がっつり耳を切断するシーンがあるので、気を付けてくださいね。

 個人的には邦題が決まるまでの「All the money in the world」で覚えていたので少し違和感がありますが、そこまでヘンな邦題でもないですね。「Denial」の方が罪作りです。(まだ言うか) 

tea-rwb.hatenablog.com

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WATCHA4.0点

Filmarks4.0点

(以下ネタバレ有り)

 1.とにかく光るイヤな奴。

 誘拐された大富豪の孫の身代金を払う、払わないをめぐってのあれやこれやが描かれる本作。話の殆どが会話で進んでいきますが、その中でも特に光るのは大富豪の祖父、ジャン・ポール・ゲティです。そもそもクリストファー・プラマーが代役で急に撮ったと聞いたのでたいして出ないと思ってたら出まくる出まくる。そりゃオスカーもノミネートですよ。

 ゲティはとにかくキャラが立っています。一代で財を成しただけあって、ビジネスに関する嗅覚は抜群なのはわかりますが、それよりなによりケチ。自分の家に公衆電話を設置するわ、ルームサービスが高いと言って自分で洗濯するわ。特にこの洗濯のエピソードは人件費というものを軽く見ていることの象徴に感じていて、本人のwikiを読んだら、世界恐慌時に全従業員を解雇して安く雇いなおしてて、やっぱり感が。

 さらに、自分を皇帝の生まれ変わりだか、血統だかと勘違いする成金思想。まさにお金があればなんでもできる、許される、と考えている節が極めて強い。結局、当初身代金としてゲティが払ったのも税制控除が得られる分だけ。その間に、カリフォルニアにとんでもない大豪邸を作るのだ!と豪語したり、美術品の蒐集に精を出したりと孫を心配することもない。いやーほんと酷いですね。ここまで酷く描き切ったのなら、十分酷い、というかただの金持ちのよくあるパターンではありますが、孤独死よりも、もっと酷い結末を迎えてほしかったな、と思ってしまう程度には嫌いになる良い役でした。

2.撮り直しに気を取られているが…

 クリストファー・プラマーの好演と撮り直しのせいでうっかり見誤ってしまいそうですが、実はそこそこ気になるところが多いのも本作。

 まず何より、主人公のゲイルが全くお金をかき集める気配がない。1700万ドルが途方もない金額なのは分かりますが、祖父ゲティの助けが得られないとわかってからも警察と電話を待ったり、ゲティに掛け合うばかりで親類縁者、友人たちにお金を借りる感じもない。うーん、日本の誘拐物の見過ぎなのでしょうか。

 ゲイルはゲティの息子と離婚する際に、慰謝料や財産分与を放棄した代わりに親権を手に入れていたのですが、ゲティから身代金を得るために親権も放棄することになり、サインを即決でします。この時のゲティもいやらしいのですが、それは別として書面で弁護士同席のもとサインしているわけです。その後に、ゲティの信用を人質に払える、という会見をしたことで身代金も親権も取り戻すゲイルですが、ちょっと待て、と。そんな電報一つで片付けるなよ、と。下手したら電報は公文書として無効だとか言い出しかねない相手だと理解してるのかと。

 そしてラストです。ゲティの死後の莫大な遺産をどうするのか。ゲイルがそれを相続する形になる決断自体もまぁあんまり好きではなかったですが、それよりも何故その権利がゲイルにあったのか。ゲティの孫は14人いるといったことから、多くの子どもがいることが想定できます。それにも関わらず、既に離婚したゲティ家の外にいる人間に遺産相続権があるのは極めて不自然に感じました。

 

 リドリー・スコット監督の共通して描く人の醜い面っていうのはオデッセイやブレードランナーで好きでしたけど、嫌な人の描き方は今回も素晴らしかったですね。振り返れば、敵側のチンクアンタが最終的に逆ストックホルムシンドローム的にパオロの味方になってくれるから、ますますゲティが嫌な奴に映ったんでしょうね。

 エイリアンとかも見たほうがいいのかな…