抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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あまりに美しい「リズと青い鳥」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 ファーストデイを利用して見たものの、書いては消し、書いては消しで、言語化に苦しみ感想を出すのにずいぶんとかかってしまった傑作「リズと青い鳥」の感想です。あまりに美しい…。

 過去のユーフォ系の作品の感想は以下に。 

・アニメ2クール目

tea-rwb.hatenablog.com

・劇場版第1弾

tea-rwb.hatenablog.com

・劇場版第2弾

tea-rwb.hatenablog.com 

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 WATCHA5.0点

Filmarks4.9点

(以下ネタバレ有り)

1.ユーフォの名を冠さない決断

 今回の作品は響け!ユーフォニアム2の後、久美子たちが進級し、部長がデカリボン先輩になってからの時系列になります。しかも、監督はユーフォシリーズの石原監督ではなく、聲の形山田尚子監督。タイトルからも響け!ユーフォニアムの文字をすっぱり消しています。勿論、興行的にユーフォを知らないひとたちを排除しないための措置もあるとは思いますが、山田監督あるいは京都アニメーションが独立した作品として送り出すという大きな覚悟だったのかな、と感じました。

 実際、メインとなる希美とみぞれの関係は十分伝わってきますし、麗奈も生意気な後輩、という程度のことはわかります。久美子と麗奈のセッションも何を伝えたいのか、がよく伝わってくるように作られているので、本当に謎なのは北宇治カルテットのあと2人のギャラ泥棒ぐらいではないでしょうか。

2.逆転の瞬間。でも本当に逆転…?

 ストーリーとしては、みぞれと希美の2人の関係の変化を軸に演奏する曲と童話「リズと青い鳥」の世界が並走し、重なっていくようなお話になっています。

 当初、明らかに先頭を切って歩くのは希美であり、ついていくのがみぞれ。TVシリーズ第2期からも想像のつくみぞれの妄信的な希美への友情?愛情?が描かれます。みぞれ自身も、自分をリズに、青い鳥を希美に重ね、リズの気持ちがわからないと嘆いていました。

 ところが途中からこの構図は逆転。みぞれに執着しているのは希美。鳥籠に捕らわれていたのは、みぞれの方。プールに剣崎さんを誘いたいとみぞれが言った時の反応、そして音大に進むとみぞれが言い出してから同調する希美。2人への新山先生の対応の差。こうしたことからもそれは明らか。それを自覚してから、みぞれの演奏は解き放たれ、希美は打ちのめされ、最終的には自分がみぞれを支える演奏をする、と明言するまでに。

 でも、これ本当に2人の構図が逆転しているのでしょうか。

 多分、見た人がそれぞれ考えるところだと思いますが、個人的には逆転していて、逆転していないと考えます。この映画の舞台は学校だけです。プールに行ったのも写真で見せられるだけ。学校に入るところから始まり、学校を出るところで終わる。最初はみぞれが学校に入るのを待っていましたが、出たときは一緒でした。2人ともリズであり、2人とも青い鳥だった。2人とも鳥籠から飛び立った、そういう風に私は解釈しています。

3.距離の絶妙さ。

 この映画でとにかく絶妙だと感じたのはカメラワークです。

 先述の冒頭のシーン。カメラはついていくみぞれの視点。希美は振り返らず、彼女の揺れるポニーテールを追うのみ。振り返ったと思いきや、その目線は画面にはなく、決して2人の視線が交わることはない。

 2人の物理的な距離をつめるのも希美の匙加減次第。しかし、それも希美はみぞれを見てしているわけではなく、互いに相手を見てはいない。希美がみぞれに対してのある種の執着と余裕があることがここからも読み取れると思います。だからこそ、みぞれからの大好きのハグは一度拒絶されます。

 遂に2人が向き合うのが水槽の前。みぞれがついに発した「聞いて」の言葉。そして向き合い、大好きのハグで愛の告白。久美子と麗奈ほどストレートに言葉で表したわけではないにしても、それは確実に両想いな愛の告白でした。

 ですからその後、2人が校舎を出ていくとき、2人は並んで歩いたり、歩道橋では前を歩くのが希美ですが、しっかりと振り返って、その目線がカメラに収まっている。2人が真に向かい合ったことがこうやって描写されていました。

 こうした、カメラワークや距離感の演出がたまらなく良かったと思います。きっと見つけてないだけで読み込める場面はもっとあったはず。

 

 剣崎さん含めオーボエの後輩チームがあまりにも優しすぎて可愛い、とか、前部長の北宇治ファイトーが無いから寂しいとか、練習描写が少ないのでアニメ版と比べて本気で全国金賞取る気あるのか?的なことを思ったとか、細かいこともいろいろありますが、見れば見るほどいろんなことを考える、でもそれを実際に言葉にするのが難しい、とんでもない傑作だったと思います。

 唯一私に合わなかったのは、体と比べて腕・首が細長すぎるように感じて違和感をぬぐえなかったこと。それさえなければ、文句なしの満点でした。