どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
インフィニティ・ウォーのネタバレが1mmも飛んでこないので今回の映画ファンがすごいと感心しきりの今日この頃。その前週に公開されたスピルバーグ最新作を今回は扱います。Wiki通りだとダンガンロンパの私様が出てたはずなのだが、ちっともわからなかった…
WATCHA4.5点
Filmarks4.5点
(以下ネタバレ有り)
1.完璧な導入
圧倒的な量の懐かしい文化が登場することが宣伝でも徹底して周知されてる本作ですが、もう入口で100点満点を叩き出してくれました。映画が始まった瞬間は真っ暗で、流れるのがVan Halenの「Jump」の時点でテンションは否が応でも高まります。
そして現れるコンテナを雑に積み上げた町の様相。あたりをドローンが飛び回る中で荒廃した様子が一発で伝わり、ディストピア感を煽ります。ついに本題、オアシスにログインするシーンはもう圧巻です。様々なゲームがまさに目の前で進行しているかのような実在感、没入感で描かれるオアシスの世界にすぐにメロメロになってしまいます。
ある種わかりやすくゲーム的に荒いグラフィックで描かれるオアシス内のアバター。彼らが中心になってのカーレースシーンもまた筆舌に尽くしがたい。AKIRAの金田のバイクで格好良く走るアルテミスも最高だし、マリオカートにしか見えない障害物も、キングコングも最高。最高です。
カーレースだった第1の試練、シャイニング(ホラーが苦手で見てなかった、すいません)に没入する第2の試練、そして第3の試練をクリアするだけ、というシンプルな話の展開も今作ではいいほうに働きました。
2.日本人が見ないで誰が見る!
随所に日本発のカルチャーがおいしいところを持っていきました。
主要キャラクターのダイトウのアバター、トシローは侍姿であることからも三船敏郎なのは明らか。黒沢映画への敬意を払った後はアニメ&特撮作品。最終決戦では、ソレントの操る三式機龍とダイトウの操るガンダムが対決!「俺はガンダムで行く!」は日本語の台詞なので、100%日本へのサービス。たまらんですな。ガンダムは変身の時間制限があったので、おそらくは原作ではウルトラマンが担った役割なんでしょう。いやー、ウルトラマン見たかった。日本へのサービスといえば、ウェイドはそういえば波動拳も放っていましたね。
そもそも、現在インフィニティ・ウォーが公開中のように世界の映画の潮流はユニバース化、スター大集合にある。MCU、DCU、モンスターバースにダークユニバース。そんな中でこれだけのスター競演を成し遂げられるのはスピルバーグの功績あってだと思うが、ちょっと待ってほしい。日本には超大型クロスオーバーを受け入れる土壌があるはずではないのか。ウルトラマンや仮面ライダー、戦隊ヒーローにプリキュアは過去作とも時代を超えて映画で共演しているし、名探偵コナンはルパン三世と対決し、デビルマンはサイボーグ009と戦っている。ゲーム業界に目を転じれば、ロボットが出る作品はアイドルマスターであってもスパロボに参戦し、みんな大好き大乱闘スマッシュブラザーズではピクミンやどうぶつの森までも戦闘するキャラに。猪木のアリと対戦したし、これほど異種格闘戦が大好きなのは実は日本が一番なのではないでしょうか。ってことはですよ、その日本向けのサービスが大量にある本作を日本人が見なくてどうするんですか!クールジャパン機構はこの作品にお金を何で出してないんですか!今すぐ学校で流したっていい作品ですよ、これ!
3.オアシス内描写は最高!だけど…
最高にテンションの上がり続ける映画なわけですが、どうしても気になってしまうところが多いのが現実パートでした。
単純に街中にあれだけのドローンを飛ばしまくり、明らかに違法と思われる強制労働もさせてる企業に対して、行政が何をしているのか。警察が最後に出てきたことで行政機関の権威も残っていることがわかるので、不思議です。
そしてそれほどの企業なのにソレントの部屋の出入りやギアのセキュリティが雑。あげく、人探しをしている最中でも逃げ出せる防犯体制。うーん。
それから街中でオアシスにログインしている皆さん。殺しあう惑星とかもあるのに、車道にバンバン車走ってる中で回り見えないのは危なすぎるのでは。家の中ですらソファから落っこちてたやんけ。
最後に、後は流石に第1の試練のカギ、バックするだけってのはハリデーのヒントが無くてもレースゲームの裏道を考えるやつが5年の間に試しそうな気がするんですよね…
ま、その辺りが若干気になるのは事実ですが、正直見ていてそこまで問題は感じないでしょう。オアシスが舞台になれば没入感もMAXに。そうすれば再びサイコー!!ってアホになれるので。
4.スピルバーグのメッセージ
「ペンタゴン・ペーパーズ」のような社会派作品ではない、究極のこれぞ、エンターテインメントという作品にもかかわらず、スピルバーグはしっかりとしたメッセージを伝えてくれています。
まず1点はゲーム=虚構の世界も捨てたもんじゃない。ゲームをすれば頭が悪くなるとかいうどうかしてる信仰がまだまだ根強い日本ですが、虚構の中でしか生きられない苦悩も描くことでそこに逃げてもいいということを教えてくれません。
第2に、相反するようにも聞こえますが、ゲームに逃げてはいけないということです。ゲームの楽しさも、現実の充実があってこそ。なぜならリアルが一番リアリティがあるから(そこ、藤井聡太とか大谷翔平とか言わない!)。勇気を出して現実にも目を向けるのが、大切ですね。映画、スポーツ、アニメに小説と「物語」に生きている私には、耳の痛い言葉ですが少し生活を見直す…かもしれません。