抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

東京マグニチュード8.0と救命病棟24時-震災を描く-

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 さて、昨日で東日本大震災から丸7年が経ちました。そのタイミングで素敵なアニメを見ました。自戒も込めて、忘れないためにも地震と表現に関して少し書き留めておきたいと思います。

(以下ネタバレ有り)

1.東京マグニチュード8.0

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  さて、私は今クールのアニメは勿論なんですが面白そうな旧作アニメも1日1話を目標に見ています。今回取り上げたい作品はタイトルにある通りフジテレビノイタミナ枠にて2009年に放送された東京マグニチュード8.0です。アニメをまだ見てない頃ですが、劇場ではサマーウォーズアバターエヴァの破が公開された年になります。エヴァの破だけは劇場で観てますね。

 タイトル通り東京にマグニチュード8.0の地震が発生。お台場で被災した姉弟2人が力を貸してくれたシングルマザーと3人で世田谷の自宅を目指す、というお話になっています。

 この作品、途中から大きな転換点があり、それを視聴者にはチラ見せしながら悟らせ、明確にする時点と両親との再会というファクターを同時に行わせることで涙腺を崩壊させるという文句なしの大傑作なんです。また、そうした作品としての面白さ、エンタメ性は、2つの家族がそれぞれ離れている、そのことによる焦燥と感情の爆発、そして家族の再生といった話も描かれているためこれがまた泣ける。

 ただ、そうしたエンターテイメントとしての上質さ以外にも着目したい点はあります。それは後述の作品もそうですが、災害シミュレーションとしてもとても秀逸な点です。東京マグニチュード8.0においてはまず建物の倒壊、高速道路の崩落、東京タワーの倒壊、火災の延焼といったマクロな部分だけでなく、クラッシュ症候群やトイレ問題といった医療・公衆衛生に関わる問題、友人やその家族の死、ストレス、あるいは別れと向き合うことや向き合った人とのふれあいといったミクロな視点をしっかりしっかり描いています。

2.救命病棟24時(第3シリーズ)

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 さて、東京マグニチュード8.0を見て思い起こしたのが江口洋介主演の大人気医療ドラマ救命病棟24時の第3シリーズ。2005年に放送された作品ですが、こちらも首都直下型地震の余波を描いた作品であり、災害医療・災害救急に特化して描かれています。

 ちなみに、後に水曜どうでしょう藩士となる私が大泉洋さん東京1本目のドラマである本作品を、それまでの救命病棟シリーズも見ていないのに見ていたという事実に後に出会う水曜どうでしょうとの運命を感ぜずにはいられないのですが、それはまた別のお話。

 もちろん救命病棟シリーズなので、江口洋介演じる進藤先生の凄技を楽しむのが正統だと思うんですが、振り返ってみれば東京マグニチュード8.0同様災害シミュレーションとしても素晴らしい作品でした。

 トリアージ、クラッシュ症候群や震災ストレスによる胃潰瘍といった医療面は勿論、仲村トオル扮する政治家を絡めることによって復興と政治、そして支援物資の問題(食中毒とか)、震災ボランティアといった東京マグニチュードでは主人公を姉弟に据えた為に描かれなかった一面を確かに映しています。そして何より、医師も消防士も含め、みなが人間であり、被災者であるという当たり前の事実も提示してくれました。

3.震災をエンターテイメントとして提示するということ。

 今回取り上げた2作品は首都直下型地震という特殊な状況下における人間の生き方を描いた作品であり、特殊な状況下での人間描写というだけでいうならホラー系の作品やクローズドサークルのミステリなどと変わりは無いともいえます。そんな中で、3.11の起こる前に(阪神・淡路大震災があったとはいえ)これだけの作品を作ったということ、震災に向き合って描いたということは評価されるべきではないでしょうか。

 現在、あれだけの被害があったのですから地震津波をエンターテイメントとして扱うことは、少なくとも映像表現上は不可能と言っていいと思いますし、それは極めて妥当だと思います。再放送も厳しいでしょう。ただ、恐れて触れないだけでなく、こうした作品に触れることで、終わりのない復興に取り組まれている被災地や、来ると言われて久しい南海トラフ地震への備えとするのも大切ではないでしょうか。