どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
「僕の名前はズッキーニ」がパペットを用いたある種日本で生まれそうにないアニメ映画だっとするならば、本日扱う作品はまさに日本だから生まれたといえる作品でしょう。「さよならの朝に約束の花をかざろう」です。
WATCHA4.0点
Filmarks4.0点
(以下ネタバレ有り)
1.岡田磨里
なんといっても本作は数々のアニメ作品でシリーズ構成や脚本を務めて、どろどろとした人間関係や感情の機微の描き方が評価されてきた作家さんの初監督作品ということで注目が集まっていました。
ただ、別に昔からアニメを見ていたわけではないので、彼女の携わった名作「あの花」「とらドラ」「花咲くいろは」などは見ていないのです。
彼女の携わった作品で見ているのは、アニメ「迷家ーマヨイガー」「キズナイーバー」映画「心が叫びたがってるんだ」の3作品のみ。そのため期待値はあがりすぎず…な感じで見に行きました。
2.出だしに躓かなければ…
この作品、始まっていきなりの映像美に圧倒されることになります。アニメ界が誇る脚本家のデビューに華を添えるかのごとく、最後まで音響・美術共に全力。それだけで情報量は抜群です。
そんな中で、年を取らずに見かけも変わらないイオルフと人間の愛と別れの物語という、少しファンタジー的な要素が主軸となります。そのため、イオルフ、ヒビオル、メザーテ、レナトといった固有名詞に加え、マキア、レイリア、クリムといった面々の顔と名前まで覚えなくてはならず、ここで躓いてしまうとなかなか厳しいという程度には設定が詰め込まれていました。
3.そして母になる
里を滅ぼされたマキアは拾った人間の子をエリアルと名付け育てていきます。のちにマキア本人が言っているようにこの段階では母の自覚はなく、身を寄せたミドの真似をするので精一杯。ただ、それまであまり持っていなかった感情の動きや愛というものを確実に理解していきます。
その後メザーテに出てきてからは、エリアルと2人暮らし。エリアルのことを第一に考えて生活していくその様はまさに母をやろうとしている姿そのものでした。
エリアルが自立し、戦争になったところでエリアルの妻ディタの出産に立ち会い赤子を取り上げるマキア。ここでマキアは本当の意味で命の重さを感じ、母に本当の意味でなったのかな、と思います。
4.この映画のヒロインは…
レイリア姫やマキアの成長を見守るこの映画ではありますが、一番のヒロイン、1番の萌えキャラは間違いなくエアリルでしょう。
我々は映画を通じてエアリルが生まれたてのころからその生涯を終えるまでを目にすることになります。基本的には、長く生きるマキアの出会いと別れの物語のはずなんですが、エリアル目線でいうと彼の一代記なんですよね。
生まれたての時期を過ぎれば、朗らかに遊びエリアル。ディタたちにからかわれてるのに、それでもお母さんが大好きと主張。可愛すぎかよ。
街に出てからは、初めてマキアに怒られて家出したり、それでもお母さんを守ると宣言。それもとてもかわいい。その思いを抱えたまま思春期を迎えがっつり反抗期。「あなたのことを母とは思っていないから」なーんて発言は、マキアにとっても辛いですが母の外見が全く変わらないまま過ごしていることを考えると無下にもできない…。
橋の上でラングに軍に入ることを志願し、マキアへの思いの吐露するシーンはマキアでなくても感動してしまうところ。軍に入って時間経過の後は、ディタと結ばれ、2人の為に戦い、そして最後はマキアをお母さんと呼ぶ。壮絶すぎるデレですよ。こんな完璧な萌えキャラいます?マキアのことを夫婦ともども子どもにまで伝えていて、やっぱり大好きなんじゃん!と嬉しくなり、またラストで目頭を熱くする。気づけば、自分がマキアだったかのような錯覚すら覚える結果に。いやー、我ながら完璧な息子です。
本当は、多少ご都合主義に見える展開や、時間経過の説明が殆どないので時間軸で混乱したり、クソ国王や王子に報いが無いのが気に入らなかったりします。イオルフの居場所を壊して、同胞を殺されまくったレイリアを妊娠させておいて、彼らに対して愛情を注ぐでもなく、国王に同情されても反論したりしないでいる王子は本当にクソの極みだと思いました。まあでも、エリアルの顔に免じて許してやらないこともないです。