新年明けましておめでとうございます、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。
結局2017年は年間で17冊しか本を読めませんでした…
今年もこのミスをしっかりとゲットしたので文庫化した際には欲しいモノはしっかりゲットして積読にせずに読みたいと思います。
バラカ/桐野夏生
今年に本をあまり読めなかったのはこいつに手こずったからでした。作家・桐野夏生が3.11をどう感じ、それをどう表現するか。渾身の1作だと思います。それだけにこっちもかなりのカロリーを取られました。
現状でもフクシマの復興が進んでおらず、3.11をモロに題材として小説を書く、しかも福島第1原発が全部爆発という状況設定はかなり勇気が必要だったと思います。一方で、それを書くことは作家としての応答義務といえるかもしれません。そういった点で、書く意義があったと感じられるし、読んで良かったと思う1冊に。これを読んで遠い世界のSFのように感じるのか、実はすぐそこまで足音を響かせているディストピアの予兆と感じるのか。読んだ人と意見交換をしたくなりますね。
乱反射/貫井徳郞
帯に例に出されるオリエント急行殺人事件は、乗客全員が犯人であるが、この事件はある種日本国民、いや全人類が犯人とも言える事件でした。バラバラな群像劇をかなり丁寧に描いてから一気にそれが事故を目前に一点に纏まっていくところは、一気に読み進めてしまいます。ある種、バラカから2冊続いて啓蒙的な部分のある本ですが、此方の方がかなり自分にぐさっときます。実際、主人公が自分もまた、犯人なのだと自覚する行為はやってしまってる時もあるので…
GODZILLA 怪獣黙示録/大樹連司(虚淵玄監修)
GODZILLA 怪獣惑星の冒頭でさらっと扱われる、怪獣出現から人類が地球を追われるまでの物語を様々な人に聴取した報告書の体裁をとっている。東宝怪獣オールスターなので、こっちも映像化してくれ!!という声は多そう。もし映像化するなら、人類が負ける話なので、クローバーフィールドのようになるのでしょうか。個人的にはメガギラスやガバラ、大ダコまで出てくるなら是非ガイガンは出てきて欲しかった。あるいはX星人が本編に出てくるのでガイガンとキングギドラがセットでやってくるか…??
女には向かない職業/P・D・ジェイムズ
読みたいと思って古本屋で買ってから積ん読の一冊を。一見、男臭いチャンドラー風味のハードボイルドを女性主人公でやるかのような本作。途中までは女探偵が事件解決に奔走するわけでタイトル通りではありますが、依頼主が事件の犯人で、目の前で彼を殺され、その犯行隠匿に協力した瞬間、小説の趣ががらっと変化し、コーデリア・グレイは追う者から追われる者へと変化します。そういった意味で、この本の探偵役は最後にコーデリアを尋問する刑事かもしれません。いずれにしても、名探偵コナンでは灰原哀のモデルになった探偵であり、読めてよかったです。