抹茶飲んでからマラカス鳴らす

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全然アメリカをはめてなかった「バリー・シール/アメリカをはめた男」感想

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 予告編を劇場で見て気になっていたトム・クルーズ主演最新作。またも実話原作の映画です。なんか見てる映画の3割アニメで3割アメコミで3割実話モノ、そんな気がしてきてしまいますね

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Filmarks3.5点

WATCHA3.5点

(以下ネタバレ有り)

  さて、先日タマフルTBSラジオライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル)でも特集されていた日本公開時の邦題。私もタイトルこそリミックスとしましたが、ブログ中表記はGotGvol.2と統一したり、ドリーム問題が起きてたり、11月もソー第3弾がラグナロクからバトルロイヤルに変えられたり、と問題となることが多かったですが、今回もそのケースに当たると思います。

 というのも、今回のトム・クルーズ(奇しくもタマフルではトム・クルーズ総選挙もやってましたね)はちっともアメリカを嵌めてないどころか、アメリカに嵌められ、時代に殺されたと言っていい人物だったのです。

 トム演じるバリー・シールは、腕利きのパイロット。その腕を買われてCIAにスカウトされ、各地の反政府勢力などの偵察写真を撮る仕事に就きます。振り返れば、本人が先走ってたと言うようにここが転落のきっかけだったかもしれません。更にはパナマのノリエガ将軍との伝書鳩まで務めるように。そんな中、給油地で拉致られてメデジン・カルテル、いわゆる中南米を牛耳る麻薬組織から麻薬の密輸を依頼されこれを受諾。まあ、この状況で受諾しないのも命知らずすぎると思いますが。

 その後共産主義国家となったニカラグアを潰すために反政府組織コントラへの銃の密輸をCIAは任務として与えてきます。カルテルはこれをコロンビアに横流しして、コントラへは麻薬を輸送。これをコントラがマイアミへ密輸し、バリーは運び屋業務も継続。薩長同盟みたいな状態が誕生しました。これでどんどん大金を得るバリーは街にペーパーカンパニーを作ったり、資金洗浄に大忙しですがそこに義理の弟JBが転がり込んできます。明確にバリーの運命が傾き始める瞬間です。JBはバリーから盗んだ大金を所持していて捕まり、最終的にカルテルが爆殺。ついにCIAが見放したバリーはFBIやらなんやらから一斉に捕まります。すると今度は司法取引でホワイトハウスのために、カルテルを裏切ることに。そしてこれに成功するも、それがカルテルにバレて命を落とすことになる、と。

 どうでしょうか、バリー自身の意思が介在しているのはほとんどありません。彼の意思で選んだ選択肢に見える部分も選択せざるを得ないように追い込まれているのがほとんどでした。そんなバリーの唯一といってもいい主義が家族を大事にすることでした。妻を愛し、浮気する気配もなければ、家族を愛し、自分の身に危険が迫れば家族を逃がす。バリーの能動性が感じられたのはその程度。逆に言えば、バリー・シールはアメリカを嵌めたのではなく、腕利きのパイロットで家族を愛する小市民なのでは??感が否めません。

 アメリカの側から見てみましょう。腕利きのパイロットを祖国のために働けといって偵察行為や武器の密輸を行わせ、都合が悪くなると関係する資料を抹消し、ホワイトハウスのために最後まで使い切れば、殺されるのを分かっていて収監はしない。冷戦下で色々仕方ない部分があるとはいえ、うーん、これで世界の警察っていうのは…。色々と考えさせられますな。

 まあ突っ込みどこもありました。バリーのパイロット技術の天才性を際立たせるためのコロンビアの短すぎる滑走路。でも、後半チームを増員した後も離着陸できてるんでしょうか??あれ、天才性はどこに…

 また、JBにたいしてF○CK連呼を注意する妻ルーシー。子どもの前だし教育上良くないからだと思ってたら、トムのケツだしは注意せず大爆笑。それでええんか。クレヨンしんちゃんイズムってアメリカにもあったんか。

 1番の問題は隠しきれないほどの大金を手にしてから転がり落ちていくバリーですが、本人にそのことを苦悩している様子もなく、どこか第三者的。そのせいで転がり落ちていく絶望感が足りないように感じました。全体を通して明るくポップなだけに、そこの差異化を図れればもっとぴりっとした名作になったのではないでしょうか。