抹茶飲んでからマラカス鳴らす

FC東京サポで鷹党のどうでしょう藩士による映画・アニメを中心とした感想ブログ

「きみの声をとどけたい」を皆様に届けたい

 どうも、抹茶マラカス (@tea_rwB)です。

 話題作が続きましたが、3連続で見た作品群のラストです。

 予想していないところで出ちゃいました、今季ベスト級。

 

きみの声をとどけたい 通常版 [Blu-ray]

 

Filmarks4.8点

WATCHA5.0点

 1.日常系かと思いきや

 正直言ってしまえば、これといって強力なフックがあるわけでもないし、役者さんの演技もメインどころは新人さんをオーディションから選んで起用しているので、超絶技巧でもないんです。ただ、自然に胸にすーっと入ってきて気づけば涙がこぼれてしまう、そんな作品でした。

 話は極めて単純です。幼馴染の4人組がいますが、3人は同じ学校でラクロス部に所属。残る1人は強豪校でラクロスをしているが、3人のうちの1人と険悪なまま高校生活を過ごしている。みんなで仲良くしていたい言霊が見えることのある少女、なぎさが主人公となります。

 なぎさが雨宿りに偶然入った廃業した喫茶店はコミュニティラジオの拠点でもあったようで、なぎさは思わず設備を用いておしゃべりしてしまいます。これが思わず放送されており、店の持ち主の娘である紫音と出会い、幼馴染の残りのかえでと雫、さらにラジオを聞いてラジオ論をぶつけにきたあやめ、あやめの連れてきたミュージシャン乙葉の6人で、寝たきりになっているかつてのラジオパーソナリティである紫音の母に届くように夏休みの間にラジオを放送することにします。この放送や喫茶店をめぐる一夏の出来事を描いた映画になります。

 ラジオ放送ということで、女子高生が喋っているだけのシーンが多く登場することになります。いわばけいおん!のような日常系アニメの形式です。日常系アニメでは、成長も事件も起りません。そのため、映画の尺ではどうしても退屈してしまいます。しかし、そこにラジオ初心者がコミュニティラジオを放送していく、ジングルやオリジナル曲を乙葉の力を借りながら作っていく、という要素をいれることでお仕事アニメのように展開し、これによって日常系アニメの弱点をカバーしています。また、ラジオの放送シーンも、重要なもの以外は楽しそうな絵にクラシック音楽などを流すことで実際の会話を垂れ流さないという工夫も見られました。

2.それぞれのキャラの成長

 ラジオ放送を行う6人+幼馴染の残り一人である夕の7人のうち、あやめはラジオのお仕事ものにするため、乙葉は音楽関係を高校生で創作できるドラえもん的役割を与えられているので、一緒になってラジオをやる以外には特にありませんが、他はしっかりと成長が描かれています。

 雫も、やや上記の2人よりです。喫茶店の設備を使ってお菓子やコーヒーを淹れている料理周りの便利キャラですが、途中でパティシエという夢に向かってフランス留学を決意していることが伝わります。

 かえでは、その好き嫌いをはっきり言う性格から夕との関係が悪化し、また部活の方向性で悩んでいました。しかし、夕が強豪校で部長になった途端部員が退部届を出したと聞いて、ラジオ放送を通してライバル宣言、更に夕による放送で、自身も頑張っていくことを決意していきます。

 夕も、地元の有力者の孫娘としてしか見られない、個人として見られないという悩みを抱えながら生きていました。なかなか素直になれなかったものの、開き直りとメンタルの強さ、かえでの放送もあり強く部活にも復帰していきます。

 なぎさは、やりたいことも決まらず、また昔の幼馴染が仲良くないことにも悩んでいました。そんな中で雫の将来への展望、かえでと夕の関係性の変化、そして紫音との触れあいを通して、ラジオ放送最終回ではかなり中心的な位置となっています。あ-、これでなぎさの将来のきっかけがつかめればいいなあ、と思っていたら成人後、ラジオパーソナリティとなった姿が描かれていました。100点ですね。

 紫音は、12年間も寝たきりの母の意識が戻ることを諦めている中で、なぎさと出会ってラジオを続けていきます。起きるわけがない、という思いを燻らせながらも楽しいひとときに、喫茶店の取り壊しを言い出せないなど、やや問題児。ですが、彼女抜きで始まった最終回放送を聞き、自分も一緒に歌い遂に母の意識が回復する奇跡に立ち会うことになります。言霊の力を信じていなかったなかで、一番衝撃を受けていたようにも見えました。

3.不満がないとは言わないけど…

 確かに批判される点はあります。

 乙葉電気屋のおっさんがあまりに便利キャラ過ぎるとか、12年も廃業してる喫茶店のラジオ設備が生きてることや、12年ぶりの放送を偶然聞いてる奴が多いのがご都合主義だとか。

 ただ、そういった文句がありながらも、最後のオリジナルソングを夕含めたみんなで歌う(夕が歌えるのは、一緒にチラシ配りしたりしてた準備期間に練習したからでしょう)ところでみんなの言霊が紫音のお母さんに届いて目を覚ます。そして、紫音はみんなのもとへ。これだけで泣けるようにしっかりと作ってあるんです。

 今まで書いたブログの中で、一番魅力を伝え切れていないように思えます。自分の文章力が嘆かわしいです。昨日の今日であれですが、打ち上げ花火、下から見るか?横からみるか?を見るぐらいなら、どうかこっちを見てください!!お願いです!!

 

10/29追記

そこあにさんの特集リンクを追記しました。

sokoani.com